©2025映画「平場の月」製作委員会

2018年の刊行以来、発行部数20万部を突破し、第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみによる「平場の月」(光文社文庫)。中学時代の同級生が時を経て再会。お互い独り身となり、様々な人生経験を積んだ二人が意気投合し、離れていた歳月を埋め、心を通わせていくストーリー。妻と別れ、地元に戻り印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に生活する主人公・青砥健将(あおと けんしょう)を演じるのは、映画主演が『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年)以来8年ぶりとなる堺雅人。その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)を演じるのは、堺とは「半沢直樹」(2020年)以来の共演となる井川遥。また、2人の中学生時代を演じるのは、TBSドラマ「不適切にもほどがある!」のキヨシ役で注目を集め、現在「ちはやふる-めぐり-」にも出演中の坂元愛登と、今年放送の「あなたを奪ったその日から」で好演し、本作で鮮烈な銀幕デビューを飾る一色香澄のフレッシュな面々となっている。

そしてこの度、星野源が書き下ろした「いきどまり」が主題歌に決定!
2010年にアルバム「ばかのうた」でソロデビューしたのち、「SUN」、社会現象となった「恋」、「不思議」、「創造」、「喜劇」など数々のヒット曲を生み出し続け、世代やジャンルを超えて多くの人々を魅了し続ける音楽家・星野源。この度、星野源が新たに書き下ろした「いきどまり」が『平場の月』の主題歌に決定した。まるで降りそそぐ月明かりのように紡がれるピアノの旋律と儚げな歌声は、聴く人の心にやさしく響き、ささやかな希望の余韻を残す、星野源の新境地ともいえる楽曲になっている。本作の主題歌を担当するにあたり星野源は「いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。」とコメント。
主演の堺は今回の楽曲について「曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。」と語る。さらに、かねてより星野源のファンであったという土井監督からは「(主題歌となる楽曲は)愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。」とコメントを寄せた。

さらに星野源が歌う主題歌「いきどまり」をのせた最新予告映像も解禁!
今回解禁された最新予告では、地元に戻って平穏に生活する青砥と須藤が再会し、共に過ごす何気ない穏やかな時間の中で、“なんかちょうどいい”距離へと徐々に関係を深めていく様子が映し出されている。視線や仕草のひとつひとつにお互いへの特別な感情をにじませる二人。中学時代と現在の姿が折り重なるように描かれ、あの頃と今が静かに呼応する。
「私は青砥が一緒にいたいと思うようなやつじゃない」と気持ちを吐露する須藤。「俺はお前と一緒に生きていきたい」とまっすぐに訴える青砥。星野源が歌う主題歌「いきどまり」が、交差する青砥と須藤の想いをより鮮明に浮かび上がらせ、優しい光で包み込みながらささやかな希望をもたらす。そして、ナレーションは中学時代の須藤を演じた一色香澄が担当。初挑戦でありながら、可憐で繊細な表現を見事に魅せて、本作の温もりを際立たせている。

<コメント>
■星野源
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画『平場の月』の主題歌を制作して欲しいというオファーでした。今まで何度もお仕事ご一緒しているけど、こんな風に自分の居場所まで来てくれて3人だけで話すなんて滅多にないなあ、と嬉しかったのを覚えています。いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。劇場の中で、そして貴方の中で、ぜひこの楽曲を聴いてください。

■堺雅人
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当に嬉しく思います。星野さん、ありがとうございました。

■土井裕泰監督
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、勿論そのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は彼の眼にはどんな風に映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。
数か月経って、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。
「切ない、大人の、恋物語」などという惹句ではとても掬いきれない、愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。