
原作は、2000年に刊行され、25年経った今も世界中で愛読されている村上春樹の傑作短編連作『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)。同著に収録されている4編をベースに一部時代設定を変更、1995年から2025年の30年にわたる物語として新たに生まれ変わった。誰もが抱く孤独をマジックリアリズムを交え描き出し、別々の時代・場所に生きる4人の物語が時空を超えて未来へ繋がってゆく。先の見えない現代を生きる私たちが、今見るべき希望の物語が誕生した。
この度、原作・村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』から新たに紡がれた物語に共鳴する各界著名人より絶賛コメントが到着。
宇多丸(RHYMESTER)は「恐らくこれまでで最も「村上春樹を読んでいる“あの”感じ」に肉迫した映像化だと思う」と、これまでの幾多ある村上春樹による原作の映像化の中でも特出していると絶賛。「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」が大きな話題となっている文芸評論家の三宅香帆からは「戦うあなた自身の物語が、ここにある」と力強いコメントが到着。文筆家・映像作家・俳優など幅広く活動している小川紗良からは「本作をスクリーンで観られる日を待っていた」とドラマから更にパワーアップした本作について、期待のコメントが到着。大島育宙(芸人/映画・ドラマ評論)、イム・キョンソン(作家)、岡室美奈子(早稲田大学教授)、新井英樹(漫画家)のほか、北川れい子、竹島ルイ、折田侑駿など映画評論家・ライターたちからも絶賛コメントが到着した。
あわせて、本作の公開を記念し、神戸を拠点に様々なメディアで活動しているイラストレーター・遠山敦によるオリジナルイラストも到着。
1995年、片桐と共にみみずくんを倒し、東京を救ったかえるくん。それから30年の月日が流れた2025年、みみずくんが再び地中で蠢き出したのをきっかけに、記憶のない片桐(佐藤浩市)の前に再びかえるくんが現れる。現代の東京で、片桐と共に地下へ降りて行った2人はどうなってしまうのか――。箱が積み重なるかのように密集するビル群の下で、繰り広げられているであろう戦いの様子が絵本のような柔らかいテイストと色合いでキャッチーに描き出されている。
そして、解禁された本編映像は、30年におよぶ物語の始まりを映し出した冒頭シーン。
暗闇の中に差し込んだ光によって浮かび上がる謎めいたシルエット。岡田将生演じる小村の声によって1995年の“かえるくん”の物語が幕を開ける。フラフラとした足取りで、みみずのように揺れる赤い廊下を歩く小村はどこへ向かっているのか。ラブホテルの一室に場面が切り替わると、「二人は、みみずくんに勝てるのだろうか?」とベッドに横たわるシマオ(唐田えりか)に問いかける小村。
映し出された暗いトンネルの中は黒い砂のようなものに侵食され、30年で日本を揺るがした様々な出来事を想起させながらも、「僕たちは、物語が語られるのを待つしかない――」という台詞からは何かがはじまるという希望が感じ取れる。
【コメント全文】
恐らくこれまでで最も「村上春樹を読んでいる“あの”感じ」に肉迫した映像化だと思う。その上で、さらにその先に突き抜けんとする最終章……実写版かえるくんから、目が離せません!
――宇多丸(RHYMESTER)
私たちはずっと、戦ってきたのだ。
心無い言葉、邪悪な軽視、 優しくない視線、どうしようもない絶望。
そういうものと戦うあなた自身の物語が、ここにあるのだ。
――三宅香帆(文芸評論家)
それまでと地続きの時間を生きられなくなった人たちの傷と混乱と祈りを閉じ込めた村上春樹の連作短編集を一篇ずつ読んでも一冊通読しても読者は力強く揺らぎ続けるように、実写ドラマと映画が重なり合いながら、別の色で燃え続ける。
――大島育宙(芸人/映画・ドラマ評論)
本作をスクリーンで観られる日を待っていた。
「何かが起きる」という予兆が、異なる時代をつないでいく。
私たちは「地震のあと」を見つめがら、同時に「地震のまえ」を生きている。
――小川紗良(文筆家・映像作家・俳優)
喪失を経て空っぽの箱になった孤独な人間たちが、人と関わりながら自らと向き合い、やがてひっそりとしたやり方で世界にコミットしていく道程が見えてきたとき心が震えた。
――岡室美奈子(早稲田大学教授)
『神の子どもたちはみな踊る』は、作家・村上春樹の最も繊細で柔らかい部分が、悲しくも美しく宿っている小説である。
その物語を想像力豊かに映像化した本作を観ながら、私はふと立ち止まり、もう一度考えさせられる。
今という時代を生きる私たちに、いったい何ができるのか、と。
――イム・キョンソン(作家)
「これさえあれば人間」なんて条件はなくても
「これが欠けたら人間とは呼べない」ってことはきっとある。
この時代に敢えて選んだ
この誠実で不親切な語り口が美しい!
――新井英樹(漫画家)
謎の小箱にUFOの話?
焚き火男は冷蔵庫の悪夢に怯え、夜の野球場に迷い込んだ男は夢中で踊る。
そしてそんな彼らの影の救世主の”かえるくん”。
リアルと不思議が背中合わせの村上春樹世界に、
軽やかに挑む井上剛監督の、びっくり箱的作品である。
――北川れい子(映画評論家)
村上春樹的マジックリアリズムを、真正面から実写化するという大胆な試み。
現実と非現実の境界にさらされながら、
いまだ癒えることのない傷をやわらげてくれるような映像体験。
――竹島ルイ(ポップカルチャー系ライター)
“1995年”からはじまる物語は、章が進むにつれてアンリアルな展開になっていく。
“2025年”を生きる私たちの現実世界はどうか。
もう何が起きても不思議ではないだろう。
喋る大きなカエルが現れても──。
――折田侑駿(文筆家)