
原作は、2021年9月に発売され、瞬く間に話題となった君嶋彼方によるデビュー作『君の顔では泣けない』。数々の名作を世に送り出してきた“入れ替わりもの”に15年も入れ替わったままという独自の設定を加え新たな物語が完成。入れ替わったまま大人になっていくふたりの時間が切なく、そして瑞々しく描かれる。入れ替わってしまうふたり、坂平陸を芳根京子、水村まなみを髙橋海人が演じている。
MCからの呼び込みで登壇者が登場すると、センターで向かい合いハイタッチして立ち位置を入れ替えるという本作ならではの演出に鑑賞を終えたばかりの観客から会場が割れんばかりの拍手が沸き起こった。
この日のジャパンプレミアでついにお披露目となった本作、鑑賞後の観客を目の前にした髙橋は「毎日集中して頑張ってきた作品だったのでやっと皆さんの元に行くんだなってちょっと寂しい気持ちと嬉しい気持ちが半分半分」と吐露。観客の反応が気になるようで「どうでした?」と問いかけ、観客からの拍手に「めっちゃ気持ちいい!」とご満悦な様子で「もう少しもらっていいですか?」とおかわりを希望すると、会場からはさらに大きな拍手が鳴り響き「めちゃくちゃ嬉しい!自分もこの作品1番最初に見た時にドキドキして、今までやらせていただいた役とはもう訳が違かったのでどう映ってるかなって。自分も2回見ちゃった作品でもあるんですけど拍手していただいて、反強制ではありますけど、皆さんに楽しんでいただけたようで安心しました」と笑顔をみせた。
本作の脚本を初めて読んだときの感想を聞かれた髙橋は「自分は入れ替わりがテーマになってる作品に初めて出させていただいたんですけど、まずそこで自分にとってはチャレンジングな作品になっていくんだろうなって思った」と当時の心境を告白。続けて「脚本を見させていただいた時に15年間過ごしていく中での少しずつ心の揺らぎだったり、それぞれが人生をどういう選択していくかとか結構すごくしっかり重たい作品になってると思った」と明かし、難しかったポイントとして「例えば嬉しいことがあった時、自分で言うと例えばライブでファンのみんなと会った時とかすごく嬉しいですけど、それが入れ替わってる誰かの体を借りてる状態の自分だったらそれもただ嬉しい気持ちだけじゃなくて申し訳ないなとかちょっと切ないなとか今相手はどうしてるんだろうとか普通の喜怒哀楽じゃない、2人だけが持ってる喜怒哀楽みたいなところがずっとシーンとしてたくさん描かれていたのでそこはすごく丁寧にやらないとな」と役作りでの苦労を話した。また役作りのアプローチとして芳根のYOUTUBEを見て勉強したことを明かすと、芳根から「絶対間違ってる(笑)ありがとうね」とツッコまれていた。
また印象的なシーンとしてクライマックスの3分間の長回しシーンに触れると「3分間だけかっていう感じですね。もっとなんかこう、喋ってる感覚がありました。それだけ思いを口に出すことがすごくずっと重かったのかなって思うんですけど、あのシーンはクランクアップのシーンだったから集中してましたし、現場もすごい静かで穏やかな空間の中でやらせていただいて自分の中でも記憶に残るシーンになりました」と感慨深そうに振り返った。
最後に髙橋は「皆さんがこの映画を見て、自分の人生を振り返って、自分の人生って唯一無二だなとか愛しいものだな気づいてもらえるきっかけになる映画になったらいいなと思ってます。応援のほどよろしくお願いします」と呼びかけた。
フォトセッションではスチールカメラマンに元気よく笑顔で手を振る髙橋だったが、カメラマンから「手を止めてください」と指摘されシュンとした表情をみせて会場を笑わせていた。