
2022年に公開された映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は、小さな広告代理店のオフィスを舞台に、社員全員が同じ一週間を繰り返していく「オフィス・タイムループ・ムービー」。3館から上映がスタートした本作は、最終的に80館超の映画館で上映され、ロングランヒットを記録した。
その話題作が、上演台本・演出のウォーリー木下、ポップ・ユニット□□□(クチロロ)の三浦康嗣の音楽によって、オリジナルストーリーを加えた音楽劇となって舞台に甦る。
主人公で映画オタクな広告プランナー兼営業の村田賢を演じるのは、Hey!Say!JUMPの薮宏太。村田の同僚や先輩、上司のメンバーには平間壮一、南沢奈央、森田甘路、岡田義徳、大空ゆうひ、梶原善。さらにオーディションを経て参加の吉本実憂、松尾敢太郎が複数のキャラクターとして劇中に登場し、実力派が勢ぞろいした。
公演初日を翌日に控え、行われた開幕前会見には主演の薮宏太をはじめ、平間壮一、南沢奈央、森田甘路、岡田義徳、大空ゆうひ、梶原善、上演台本・演出のウォーリー木下、作詞・作曲・音楽監督の三浦康嗣が登壇。
薮は、「今回、映画でもすごく人気の作品というのは僕も存じ上げていたので、その作品の舞台化で、原作のファンの皆さんにも楽しんでいただけるように、そして初めて『MONDAYS』を見る方にも、舞台だとこういうふうに表現するんだと、面白さが伝わればいいなと思って日々稽古してきました」と意気込む。自身が演じる役柄については、「村田は一見するとどこにでもいそうな人物なんですけど、映画オタクで、映画の話になると特に捲し立てるように話してしまうぐらい映画が好きで、しかも同じ映画を100回以上見ているという」と語り、「しかも真面目に仕事をしているように見えて、実は社内で起こっている良い話や悪い話に聞き耳を立てて、人の噂話が大好きという、人によっては性格が悪いと思う人もいるんじゃないかなという、そんな役です」と説明した。
また、舞台版ならではの魅力を聞かれ、薮は「客席の色んなところに皆さんの目があるので、タイムループしていく中で、自分で目線を選べるのが舞台の素晴らしいところだと思います。喋っている人だけじゃなく、それぞれのタイムループがあるので、1回で楽しめると思うんですけど、何回もこの作品を見ていただくと、沼にはまる作品じゃないかと僕も稽古してて思ったので、それは映画版とは違う繰り返しが楽しめると思います」と答える。
そして、上演台本・演出を担当したウォーリー木下は、舞台化にあたり「すごく面白い映画なんですけど、これを舞台化して映画を作った方たちに迷惑かけないかなということは最初は思っていたことで。やるならまるっきり反対で、二度と同じことができないライブで、毎日同じことをしなくちゃいけない設定のタイムループものを作ることで何か新しいことができないかなと思いました」と心境を明かし、「とにかくそれぞれが仕事をしている中で、タイムループに気づく人が現れていく世界線なので、すごい同じことをするんです。全部タイミングドンピシャで、全部同じ演技で、でもそれが生なのでちょっと違うんですね。抜け出る快楽をお客さんと一緒に体感しながら目の前で行われていく演出をしたいと思って書きました」とコメント。さらに「音楽劇にすることで、辛い設定なんですけど、その辛さの中にある楽しみや喜びを、セリフや演技以外部分で音楽監督の三浦さんにたくさん増やしていただいて、多分見にきた人は、それぞれ思うことがたくさんあると思うし、それを受け取ってもらって色んな感想を持っていただけると嬉しいなと思います」と、音楽劇ならではの楽しみ方を語る。
音楽を担当した三浦は「シーンごとの曲を書いていくより、最初に本読みの段階の録音を何かに使えるんじゃないかと、もらったんです。台本にここでコーヒースイッチを押すとか、ト書きみたいなのがあって、本読みの音源に1個1個、ここでぶつかるとか、書類をトントンするとか、全部作ったんです。そういう物音みたいなものから音楽がだんだんできていくみたいな。そこからが地獄の始まりだったんですけど。俺含めて全員にとっての地獄の稽古の始まりでした。そんな地獄担当・三浦康嗣です」と笑いを誘った。
タイムループという設定の中、稽古中で印象に残ったことを薮は「ただでさえタイムループしているんですけど、誰かのセリフを聞いたらそれをカウントとして認識するみたいなところもあって、僕自身、5周目なのに7周目を喋ってるなって回もあって」と、タイムループ設定ならではの苦労があったそう。「我々がたくさん稽古しててもそういうことが起きるので、見ているお客さんは不思議な感覚になると思うんですけど、見ているお客さんはタイムループしていることに気づいていて、我々は気づいていないということにならなきゃいけないという、そういうギャップみたいなものは面白い作品になってます」と話す。
そんな薮の話に、岡田は「カウントの夢を見ます。カウントに襲われる夢を見ます」、森田は「稽古場で音が流れた瞬間に体が勝手に動いて、音に調教された俳優たちが誕生しました。調教済みの我々を見てほしいです」と、話していた。
会見の最後に、代表して薮から「映画版とはちょっと違う結末が待っております。オフィスの中のすごい狭い空間の話なんですけど、話自体はすごく広がりがあって面白いですし、毎週、月曜日がちょっと億劫だな、来週嫌だな、と思っている人がこの作品を見て、少しでも次の月曜日はちょっと楽しみだな、来週は何が起きるのかなとか、そういう些細な変化とかを楽しめるような作品になってもらえるように精一杯やっていきたいと思います」と、メッセージが送られた。