映画『港のひかり』は、『余命10年』『ヤクザと家族 The Family』などを手がけ、第48回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人監督による最新作で、過去を捨てた元ヤクザの漁師と目の見えない少年との十数年を描く、歳の差を超えた友情と再会のものがたり。
主人公の“おじさん”を演じるのは7年ぶりの単独主演作となる舘ひろし。彼が救いをさしのべる盲目の少年・幸太に、歌舞伎界の新星として注目を集める尾上眞秀、成⻑した⻘年・幸太に人気と実力を兼ね備えた眞栄田郷敦がそれぞれ演じる。12年にわたる運命と絆を、完全オリジナル脚本で描いたヒューマンストーリー。

全国公開を前に、東京プレミアイベントが開催され、冒頭で舘が「私の俳優人生50年の中の集大成とも言うべき映画になったのではないかと自負しております」と挨拶。

続く眞栄田の挨拶では、舘が背中に手を添え、一歩前に出るよう促す場面もあり、「できるだけこの映画を皆さんに盛り上げていければ嬉しいです」とコメント。

本作は、23年11月から12月まで、長期にわたり石川県、富山県を舞台に撮影を行っており、輪島市にも何度も訪れ、多くの方の協力を得て、映画が完成。能登半島地震から間もなく2年を迎える中、10月18日(土)には「この地から、“希望のひかり”を届けたい」という想いのもと、 『ジャパンプレミアin輪島~能登に元気を!~』が開催され、地元の方々と心を交わしながら、作品を通じて“人と人とのつながり”の大切さが語られる温かな空気に包まれた上映会となった。
輪島市での撮影を聞かれた舘は「我々が撮影した時は、朝市はお店が並んですごく賑やかな通りだったのですが、それが全く無くて、ただ草むらがずっとあって。映画の中でちょっとした買い物をするんですが、そのお店がどこにあったのかさえ分からなくて、本当に言葉を失いました」と話しながら、イベントで輪島市の方々と交流し、「皆さんすごく明るくて、逆にこちらが元気をいただきました」と語っていた。

そして、歳の差を超えた友情関係を築く役どころを演じた舘と尾上・眞栄田。
まずは、盲目の少年・幸太の少年時代を演じていた尾上との共演を、舘は「目の悪い少年の役だったのですが、本当に素晴らしい演技をしてくれまして、私が同じ目の悪い老人をやったらあれだけできるのかなという思いでした。ご一緒して勉強になりました」と尾上を大絶賛。そんな尾上は舘との共演に「船に乗っていて、最初は酔いそうだったんですけど、声をかけてくれて酔わなかったです」と、エピソードを明かす。「一日中、船に乗っていて、その日は海が荒れていて、すごく心配そうだったので、もっとわんぱくになって楽しんじゃえ!と言ったら楽しんでくれました」と話す舘だった。

舘とは50歳差の眞栄田は「僕はいただいてばっかりで、舘さんに与えている立場でもないので」と恐縮しながら、「これから僕も舘さんに与えられる存在になって、友達になりたいです!」と役柄のような関係性を熱望。舘も「一緒に飯を食ったり、これからもっと遊びに行こうと先ほど話しました」と明かした。

そして、舘が演じる三浦がかつて所属していた河村組の組長・石崎を演じた椎名は「藤井組に絶対参加したいと思っておりました。ようやく念願叶って入れていただいたんですが、そうしたら主演が舘さんで、非常に緊張が芽生えてきて。舘さんと芝居をするのも初めてなのですが、対峙するハードルが高すぎて、ただ舘さんの胸を借りて一生懸命やるしかないなと思って、頑張ってヤクザを演じました。15年ぶりにヤクザを演じることになりまして、ちょっと楽しくありました」と撮影の日々を振り返り、自身の役のことは「色んな役をやってきた中でもクズみたいな役」とまとめながら「ちょっとは人間味がないと舘さんに対峙する資格がないんじゃないかと思い、憎しみとか嫉妬だけじゃないんだという感情を携えて対峙することに決めました」と役作りについて話す。

さらに、「初めて言いますけど、40年近く前のまだ売れない頃に、犯人役でちょっと『あぶない刑事』に出させていただいて。その時は絡みはなかったのでご一緒とは言えませんが、その当時から雲の上の大先輩ですから、そういう方と40年近く経って対峙させていただいて、とても嬉しかったです。ありがとうございます」と、感謝を述べた。

物語にちなみ「周りで光り輝いている人・光のような人」と発表する場面では、舘が書いたのは「眞栄田郷敦」。「今回ご一緒して、最近見ない、すごい目力の俳優さんだなという気がしました」と称賛。その言葉を受け眞栄田は、「舘さんは本当に素敵な方で、周りへの気遣いもあり、ここまでの方なのにユーモアがあって皆が接しやすいようにたち振る舞ってくださるので、本当に心強かったです」と話していた。

映画『港のひかり』は、2025年11月14日(金)より全国公開となる。