本作は『孤狼の血』の柚月裕子による同名小説が原作のヒューマンミステリー。とある山中で身元不明の白骨死体が発見された。手掛かりは死体とともに発見された高価な将棋の駒。捜査の末、その駒の持ち主は、将棋界に彗星のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士、上条桂介(坂口健太郎)だと判明する。さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、賭け将棋で圧倒的な実力を持ちながら裏社会に生きた男、東明重慶(渡辺謙)の存在が浮かび上がる。

さっぱりと短髪にイメチェンした姿で登場した坂口、公開初日を迎えた感想を聞かれると「初日を迎えるとそこからいきなりお客様のものになるというか、この映画を作っている中でどう感じてもらってどう受け入れてもらえるかっていうのも封切りした瞬間に手元からちょっと離れていくような感覚になる。少し寂しい気もする時もあるけど、やっぱりこの作品がこうやって皆さんに受け入れてもらえて、ちょっとずつ大きくなっていく様を見続けられるってのはすごく嬉しい」と喜びのコメント。SNSでは『心揺さぶられた』などの反応がたくさん投稿されてることを聞いた坂口は「やっぱり嬉しいですね」とにっこり、「台本、共演者の方、監督、いろんなものを信じて1つずつシーンを撮っていくしかないので、それが実際映画となって思いが伝わった声とかを聞くと少し救われたような感覚になります」と大きな反響を喜んだ。

本作で初共演となった坂口と渡辺、『魂の継承』というテーマにちなんで渡辺から継承されたものを聞かれた坂口は「謙さんが役に対して当事者となりきるその感覚、ちゃんとその役を生ききるみたいなことはすごく学ばさせてもらった」としみじみ、坂口からの言葉を聞いて渡辺は「継承って難しいんですよ、僕ら形がないから」と役者業の性質に触れつつ「数値でも測れないし、僕も10年ぐらいしてあの時言ってたこととかあの時やってたことってこういうことなのかって感じて、自分の中で熟成していくものは結構あったりするので僕らはそうやって継承されていくんだと思うんですよね。特にこの映画でこうって言うのではなくて、だから10年後ぐらいを楽しみにしてます」と今後に期待を込めると、坂口は「頑張ります」と背筋を伸ばしていた。
イベントではゲストで原作者の柚月氏からの花束がキャストに贈呈されるなど終始和やかなムードで行われていた。