本作はフランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市・東京を舞台に、人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。終活に向かうマダム・高野すみれを倍賞千恵子、毎日休みなく働いているタクシー運転手・宇佐美浩二を木村拓哉が演じている。

大ヒットを記念して開催された本イベント、公開から約2週間で早くも絶賛の嵐となっていることに木村は「公開して数日が経ったんですけども、こうやって大勢の方に受け取っていただいたおかげで再び監督とも倍賞さんとも蒼井さんともご一緒することが叶いました。ほんとに皆さんのおかげだと思っております」と感謝を述べる。そんな本作の反響について「すごくお久しぶりな方からも連絡をいただいた」と切り出し、「ありがとうって言葉をいただくのがとても嬉しいんですけど、でも自分たちは監督のもと今回の作品を作らせていただいた側なので見てくれてありがとうって僕らが声を大にして言いたいことなんですけど、見てくださった方が自分たちに向けて言ってくださるそのありがとうって言葉がすごく印象的」と感慨深そうに語る。さらにバックパネルに記載されていた『にわか雨のように泣く』という言葉に触れつつ「流れていったストーリーによって感情があたかも反射のように涙が流れるとか感情が動くって作品を残し続けてくれた監督が今回もメガホンを取ってくれてる」と感謝の言葉を貰う理由を説明すると、山田監督は「いや、僕は何もしてませんよ」と発言して会場の笑いを誘う。謙遜する山田監督に笑みを浮かべながら木村は「今、監督の一言に対して客席から笑いが起きるってやり取りも、今まで監督が僕らに提示してくれた作品だったりとか時間だったり思い出に対してそれの延長に今回のこのTOKYOタクシーもある、そこにみんなタッチしてくださってるんじゃないかな、それに対してありがとうなのかなって今思いました」と話していた。

同じく本作の反響について山田監督は「家のポストに黄色いちっちゃいカードが入ってた。見たらパトロールのお巡りさんが書いたメモなんですね。パトロールに来ましたと書いて最後にメモの欄がある、そのメモの欄に小さな字でね『昨日新宿でTOKYOタクシーを見てきました。とてもいい映画でした。監督さんありがとうございました』そう書いてたんですよ」と驚いた表情で喜びつつ「ピストルぶら下げて歩いてるお巡りさんのことはいつも1つ向こうの人だと思ってたけども、急にそのお巡りさんが身近な人に思えてきて嬉しかった」と明かした。後日カードのお礼に派出所に向かうも本人には会えなかったそうだが、また別の日にカードが入っていたことを明かすと「『先日はわざわざお見えになってありがとうございました』って本人の顔は見てないんだけども黄色いカードを通してのお巡りさんと交流が始まったからこれは幸せの黄色いカードというべきかななんて大人と話をしたりします。そんなふうに見てくださる人もいるということはとても作り手にとって幸せです」と『幸福の黄色いハンカチ』にかけたほっこりしたエピソードに会場からは拍手が起こっていた。