©ヨーロッパ企画/トリウッド 2025

上田監督が“一角コメディ”と名付けた本作の舞台は、下北沢にある実在のビル「シェルボ下北沢」。その2階に入る映画館・トリウッドが物語の中心。下北沢で劇作家をしているマドカは映画を観に行く。三軒茶屋でバンドをしているカズマも映画を観に行く。すると、互いの出来事が映画としてスクリーンに映し出されるという、ありえない“構造”が生まれてしまう。さらに映画館の両隣にある「グッドヘブンズ」と「三日月ロック」ではのっぴきならぬ問題が発生。マドカとカズマは、この“構造”を利用しながら解決に奔走するが、互いの映画は次第に影響し合い、事態は斜め上の超展開へーーー。これまで「2分の時差でつながった2階と1階」「2分が無限にループする京都・貴船の老舗料理旅館」と、“場所にあて書きする”作劇を得意とし、その斬新な構造で国内外を驚かせた上田監督が、下北沢の一角にあて書きをし、新たな構造映画を生み出した。

W主演の一人、劇作家のマドカを演じるのは、伊藤万理華。上田とは、ドラマ「時をかけるな、恋人たち」、舞台「リプリー、あいにくの宇宙ね」に続く3度目のタッグとなり、監督の分身とも言うべきキャラクターを躍動感たっぷりに好演。そして、バンドマンのカズマを演じるのは同じく「リプリー、あいにくの宇宙ね」に出演した井之脇海。そのほか、石田剛太金丸慎太郎酒井善史角田貴志諏訪雅土佐和成永野宗典藤谷理子らヨーロッパ企画のメンバーも出演。多様な文化が集まる下北沢ならではの個性的なキャラクターを演じている。

©ヨーロッパ企画/トリウッド 2025

今回の劇場公開決定に合わせて、ティザービジュアルが完成。トリウッドの館内で映画を観ているマドカとカズマという、一見何気ないポートレートで2分割された1枚画に付けられたのは、「なにこの構造。」というコピー。スチールは、『リバー、流れないでよ』に続き、ヨーロッパ企画とも親交が深い写真家・濱田英明によるものとなる。

公開決定を受け、上田監督、伊藤、井之脇からのコメントも到着。上田監督は「はじめて映画を撮りました。ずいぶんひねりました。映画側もはじめてだったでしょう」と手応えを明かしつつ、「僕らは映画だし君も映画です。映画を観て、映画に観られてください」と本作の斬新な構造を匂わせるコメント。また、伊藤は「こんなことがしたかった!を上田さんとこのチームでご一緒できたこと、とても幸せでした」、井之脇は「おそらく映画史上でも前例のない撮影方法に挑みました。その複雑な構造に、全員で試行錯誤しながら向き合った時間は、映画愛に満ちていて、改めて「映画作りが好きだ」と強く感じました」とそれぞれが熱気に満ちた撮影時を振り返る。
そして現場の様子を収めたメイキング映像も解禁。「とんでもないものが見れるんじゃないか」「何がどうなってるか自分でもわからん」「めちゃくちゃややこしい」「初めての映画体験になる」と撮影の混沌の中にいるヨーロッパ企画のメンバーが興奮気味にこぼす中、上田監督の「カット!」の声で締めくくられ、完成に期待が高まる映像となっている。

【上田誠(監督・脚本) コメント】
はじめて映画を撮りました。ずいぶんひねりました。映画側もはじめてだったでしょう。
普段は劇団をやっていて劇作家ですが、いつか映画を撮るかも、という気持ちと、それをすると人生の間尺が足りなくなるなあ、という両方の思いを持っていました。でも自分しか撮らない種類の映画があるなあ、それを撮らずに終わるのはどうなんだ、とか。
つまり撮りたくてしょうがなかったので、エイヤで初監督しました。
ほんとにエイヤで、企画の立ち上げから撮影まで4か月足らずでした。
考えすぎるよりもこのくらいがちょうどいいや、と思って踏み切りましたが、実際慌ただしく、脚本から準備までひとときも止まらずやりました。無理かもと思いました。
魔法のように素敵なキャストとスタッフが集まってくれて、まったく魔法じゃないアナログなやり方で、あるギミック撮影にチャレンジしました。ロケ地であるミニシアター・下北沢トリウッドさんと、その両隣のお店・グッドヘブンズさんと三日月ロックさん、そして階下の古着屋・CHICAGOさんの全面協力が不可欠でした。下北沢の一角を舞台にした、またとないギミック映画ができました。劇団ならではの映画になったし、実際に今回は劇団のことを描いてもいます。かたやバンドの物語でもありますが。
ずいぶん野心的な構造であり撮影でして、全身で乗っかってくださった伊藤万理華さん・井之脇海さんはじめ、キャスト・スタッフの皆様には、感謝が大きすぎてどうしたらいいかわかりません。1カットごとに拍手が沸き起こる、全員映画初めてかな、くらいの熱狂でした。
つまりは青春映画であり映画青春です。僕らは映画だし君も映画です。映画を観て、映画に観られてください。

©ヨーロッパ企画/トリウッド 2025

【伊藤万理華(マドカ役) コメント】
上田さんが映画を撮られるというお話を聞いて楽しみにしていたら出演のお話をいただき驚きました!
舞台の現場を通して宇宙を巡り、絆が深まってきたところだったと思います。
『君は映画』は初体験といっても過言ではない挑戦的な技法をたくさん取り入れています。
頭をフル回転させ、この撮影現場に関われることの喜びを噛み締めながら励みました。
こんなことがしたかった!を上田さんとこのチームでご一緒できたこと、とても幸せでした。
ぜひ映画館で観ていただきたいです。

【井之脇海(カズマ役) コメント】
見たことのない構造の映画ができました!
今回は、おそらく映画史上でも前例のない撮影方法に挑みました。
その複雑な構造に、全員で試行錯誤しながら向き合った時間は、映画愛に満ちていて、改めて「映画作りが好きだ」と強く感じました。上田誠さんをはじめとする最高の座組に、心から感謝しています。
この作品は SF&コメディであると同時に、“映画を愛するすべての人へのエール” になっていると思います。
ぜひ映画館で、受け取っていただけたら嬉しいです。