本作品は、イギリスの作家ダフネ・デュ・モーリアのゴシックロマンス小説を原作とした、サスペンスとロマンスが絡み合う重厚な作品であり、2008年4月に、シアタークリエ・オープニングシリーズのミュージカル公演第1弾として華々しく上演された。コンパクトかつ濃密な劇空間で繰り広げられたロマンティック・ミステリーは約3か月、全日程完売御礼の大ヒットとなり、2010年4・5月には大劇場バージョンとして帝国劇場でも開幕し、大好評を博した。その後も、2019年にシアタークリエ開場10周年記念ラインナップの締めくくりとしても上演されるなどの人気作品である。そして今回、満を持して7年ぶり4度目の上演となり、シアタークリエに帰ってくる。さらに7年ぶりの『レベッカ』はキャストを一新。

先妻のレベッカの死に関する秘密を隠すミステリアスなイギリスの上流紳士、マキシム・ド・ウィンターを演じるのは、実力派の海宝直人。『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』、『アナスタシア』、『王家の紋章』や、劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』、『ライオンキング』、『アラジン』など数多くの大作に出演し続け、さらに舞台のみならず映像、声優、歌手活動など幅広く活躍を続ける海宝が、このたび新たなマキシムをつくりあげる。

共演には、モンテカルロでマキシムと出会い妻として迎えられる「わたし」は、圧倒的な歌唱力を持ち、ディズニー映画「リトル・マーメイド」でアリエルの声優を務めるなど多方面で活躍する豊原江理佳と、宝塚歌劇団退団後も『シェルブールの雨傘』、『王様と私』など舞台を中心に活動し、繊細な演技が光る朝月希和がダブルキャストで務める。

さらに“マンダレイ”を取り仕切る家政婦頭であり、物語のカギとなるダンヴァース夫人は、現在も公演中の『エリザベート』でタイトルロールを務め好評を博し、近年は『王様と私』や『昭和元禄落語心中』などのミュージカルをはじめ、朝の連続テレビ小説「おちょやん」に出演するなど第一線で活躍する明日海りおと、『マイ・フェア・レディ』、『ラ・マンチャの男』、『ニュージーズ』、『ボニー&クライド』など舞台を中心に圧倒的な存在感を放つ霧矢大夢矢がダブルキャストで作品を固める。

<ストーリー>
広大な屋敷と土地、“マンダレイ”を所有する上流紳士マキシムと、ヴァン・ホッパー夫人の付き人をしている「わたし」は、滞在するモンテカルロのホテルで出会う。マキシムは先妻レベッカの事故死の影を引きずる中、忘れていた心の安らぎを与えてくれた「わたし」を見初め、恋に落ちて結婚する。
ハネムーンも終わり“マンダレイ”で二人は一緒に暮らし始める。義理の姉夫婦は「わたし」を温かく迎えてくれるものの、使用人たちは新しい奥様に距離感を持ち、家政婦頭であるダンヴァース夫人は「わたし」に強く当たる。美しく、賢く、完璧であったレベッカに幼少時から仕え、レベッカ亡き今も家政婦頭として屋敷を取り仕切るダンヴァース夫人は、いまだレベッカに対して想いを持ち続けているため、「わたし」をマンダレイの女主人として認めようとはしなかった。
“マンダレイ”は美しい屋敷だが、その中にはまるで亡きレベッカが生きているかのような面影がいたるところに色濃く残っている。マキシムまでも亡きレベッカの影に苦しみ続け、次第に「わたし」との関係も悪化していく…。
そんなある日、思わぬ事故からレベッカの死体が発見され…。レベッカの死の真相とは、それを知ったダンヴァース夫人は…。