Bunkamuraシアターコクーンが、かねてからクリエイションを熱望していた劇作家・演出家の蓬莱竜太を迎えて上演する『広島ジャンゴ2022』。

『広島ジャンゴ』は、公益財団法人広島市文化財団による、演劇創造を通じて広島と他の地域が“互いに引き合う”ような関係性作りを目指す「演劇引力廣島」プロジェクトの一環として、蓬莱が広島の劇作家と共作し、2017年にJMSアステールプラザにて上演された。

人間の価値観や限られた社会での常識、世間体、シングルマザーなど、現代に通ずる様々な不条理を問いかけた本作。今現在、誰もが想像しえなかったヘビーな現実に日々立ち向かう観客に向けて、「明日が少し元気になるように」、フィクション・エンタテイメント性を高め『広島ジャンゴ2022』と題し、脚本をリニューアル、演出、美術、音楽を一新、豪華出演者にて作品を再構築された。

物語は、ワンマンな町長が牛耳る西部の町「ヒロシマ」を舞台に、広島の牡蠣工場で働く山本のはずなのに、子連れガンマン「ジャンゴ」、工場のシフト担当・木村のはずなのに、ジャンゴの愛馬「ディカプリオ」が、理不尽がはびこる旧態依然とした、男社会で奮闘することになる西部劇。

ダブル主演を務める天海祐希と鈴木亮平は、2009年の映画『カイジ 人生逆転ゲーム』以来13年ぶりの共演となる。
天海が演じるのは、“山本”役と、何らかの罪で追われる凄腕ガンマンの“ジャンゴ”役。
鈴木は、“木村”役と、ジャンゴの愛馬であり、馬でありながら喋れる上にラップも出来る“ディカプリオ”役を演じる。

更に、映像を中心に活躍し、舞台は2015年の『禁断の裸体』以来の出演となる若手実力派俳優・野村周平、透明感の中に芯の強さが混在する独特の空気感で様々な役を演じ分ける中村ゆり、舞台を軸に様々な作品に出演し、近年はフィジカルシアター的要素を持つ作品でも活動する宮下今日子、大人計画に所属し、映像でも個性豊かな存在感を放つ池津祥子、芸人としてはもちろん俳優としても多彩な藤井 隆、そして、シアターコクーンには『プレイヤー』以来5年ぶり、年齢と共に役の幅が広がり魅力が増すベテラン・仲村トオルが出演。他に、着実に活躍の場を広げる注目の若手、土居志央梨、芋生 悠、北 香那など、幅広い層からこれ以上ない豪華キャストが顔を揃えた。

2022年4月5日(火)から30日(土)まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、2022年5月6日(金)から16日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。

<あらすじ>
舞台は現代の広島の牡蠣工場。
周囲に合わせることをまったくしないシングルマザーのパートタイマー山本(天海祐希)に、シフト担当の木村(鈴木亮平)は、手を焼いていた。
ある日木村が目覚めると、そこはワンマンな町長(仲村トオル)が牛耳る西部の町「ヒロシマ」だった!
山本は、子連れガンマンの「ジャンゴ」として現れ、木村はなぜかジャンゴの愛馬「ディカプリオ」として、わけもわからぬまま、ともにこの町の騒動に巻き込まれていく―――!

【作・演出:蓬莱竜太 コメント】
上京し、演劇の専門学校で学んでいた20数年前。シアターコクーンは「いつか辿り着けたら素晴らしい場所」でした。お話をいただいた時は、素直に「演劇を続けてきて良かった」と感激し、自分が年を取ったことを実感した次第です(笑)。今は心地よい緊張感と共に、劇場に見合うスケールの大きな演劇的遊びを天海祐希さん、鈴木亮平さんら素晴らしい俳優陣といかに繰り広げられるかと、うずうずしている最中です。
天海さんは劇団公演を観てくださっていたうえ、“広島が舞台の西部劇”という設定を面白がり、参加を決めてくださいました。エンタテイメントの第一線で活躍し続ける豊富な経験から、僕が教えていただくことも多いと思っています。
鈴木さんとは2019年に舞台でご一緒しており、出身や年齢が近いせいか、最初からなんでもフラットに話せた。真っ直ぐに役と作品に取り組む姿勢が信頼でき、一緒に稽古することが今回も非常に楽しみです。
 今作は縁あって長く関わっている広島の劇場の、地元演劇人を育成する事業の中で生まれました。劇団作品でもそうですが、僕は戯曲が必要とされる限りは更新し、上演の機会を探りたいと考え、実践してきた。今回も新たな座組と劇場で、『広島ジャンゴ』を生み直したいと考えています。
困難の多い時代。それでも諦めずに闘う人々を力一杯応援したいという願いを、僕はいつも作品に込めています。今回ご覧いただくお客様にも、その願いが届けられたら何よりの喜びです。

【天海祐希 コメント】
日本中の方々が忍耐と努力を重ね、ようやく劇場に100%のお客様を迎えられるようになった今。3年ぶりの舞台に自分が立てることに心から感謝しています。
蓬莱さんの作品は劇団公演をいくつか拝見しており、伏線の回収が巧みな戯曲と、俳優、特にオジサマたちを輝かせる演出が魅力的だと思っていました。加えて深い演劇愛も感じられ、ご一緒できることが非常に楽しみです。
広島を舞台にしたウエスタンで女ガンマンを演じる。全く経験のない設定と役柄ですが、鈴木亮平さんや仲村トオルさんはじめ、共演の皆さんが魅力的なことが大きな支え。蓬莱さんと皆さんへの信頼を胸に、精一杯作品に挑む所存です。
蓬莱さんは、登場人物たちが大きな困難に直面しながらも、その先に希望を見出す物語を紡ぐ方。お客様を存分に楽しませたうえ、小さな希望もお持ち帰りいただければ幸いです。

【鈴木亮平 コメント】
「また蓬莱さんと舞台でご一緒できれば」と密かに考えていたところ、思いのほか早く機会が巡って来ました。人間の暗部にまで視線を注ぐ深い洞察力、独特のユーモア、重い設定を最終的にはエンタテイメントに仕上げる手腕。蓬莱さんの、お客様を楽しませようという強い想いは俳優としてとても魅力を感じますし、世代も近く、作品づくりを一緒に突き詰めながら楽しめる貴重な劇作・演出家だと思っています。
西部劇、しかも「馬」も演じるのは初めてのこと。
劇場でナマの舞台を観劇する。その瞬間にしか感じられない、言葉にならないほどの衝撃や感動があると僕は思っています。感動をお客様にしっかり伝えられるよう、全力で作品に挑みます。一人でも多くの方に、その時間を共有していただけたら何よりの喜びです。