
本作は1992年に音楽座ミュージカルで初演され、紀伊國屋演劇賞・団体賞や読売演劇大賞優秀作品賞などを受賞、「日本のオリジナルミュージカルの到達点」と評された傑作。苦悩の底にあった夏目漱石が小説『坊っちゃん』の執筆を通して自己を回復していく姿と、それを受け止める妻・鏡子。史実とフィクションを織り交ぜ、漱石の日常と小説世界がシンクロする巧みなオリジナルストーリーと演出が高い評価を受けた本作を、東宝製作により上演する。
演出は、劇作家としても活動し、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』、脚本・作詞・演出を務めたミュージカル『モンパルナスの奇跡~孤高の画家モディリアーニ~』やミュージカル『SPY×FAMILY』など、多彩な作品で観客を魅了しているG2。
出演は、『エリザベート』、そして本年12月は『ダディ・ロング・レッグス』、来年2月には『大地の子』と精力的に活動するミュージカル界トップランナーの1人、井上芳雄が主人公の夏目漱石を務め、劇中の「坊っちゃん」役には、ミュージカル『ジェイミー』、ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!、『デスノート THE MUSICAL』と大作・話題作で舞台をけん引している三浦宏規。三浦は本公演で井上とミュージカル初共演になる。
また、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役、『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役などで圧倒的な歌声と存在感を放つ小林唯が「坊っちゃん」の親友「山嵐」役を演じ、『るろうに剣心』 明神弥彦といった少年役から、『GUYS AND DOLLS』のミス・アデレイド役などさまざまな役柄を演じ宝塚歌劇団の娘役スターとして活躍、惜しくも先日歌劇団を退団した彩みちるが、漱石の兄嫁である登世役に。彩は本作が退団後初の舞台となる。
「坊っちゃん」の「赤シャツ」を演じるのは、『タブリンの鐘つきカビ人間』『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』など、確かな演技力で作品世界に深みをもたらし、舞台のみならず映像、エッセイ、イラストなど多岐にわたり活躍する松尾貴史。同じく「坊っちゃん」を支える「清」役には、ミュージカル『マタ・ハリ』のアンナ役、舞台『千と千尋の神隠し』ではロンドン公演と上海公演で湯婆婆・銭婆役を務めるなど、多彩や役どころを演じる春風ひとみ。
そして、音楽座ミュージカルで数々の主演を務め、その代表作の1つ『リトルプリンス』主演の王子役で第47回菊田一夫演劇賞を受賞、その後も『モダン・ミリー』『チョコレート・アンダーグラウンド』など幅広く活躍する、土居裕子が漱石の妻・鏡子役で出演する。
【井上芳雄 コメント】
僕は元々音楽座ミュージカルのファンなので、今回この日本のオリジナルミュージカルの傑作を、今のお客様に観ていただけることが大きな喜びです。
夏目漱石のような有名な、気難しい文豪を演じたことがないので、新しい役柄を開拓できるという意味でも、そして土居裕子さんと夫婦役をやらせて頂けるということも、大変光栄で嬉しいです。
今は、多彩なキャストスタッフの皆さんと新しい『アイ・ラブ・坊っちゃん』を作れる期待で一杯ですが、漱石や坊っちゃんに詳しくない方でも、もちろん詳しい方でも楽しんでいただける素晴らしいミュージカルですので、ぜひ期待して劇場へお越しください!
【三浦宏規 コメント】
音楽座さんが生み出した日本を代表するミュージカルに、しかも自分が坊っちゃん役で出演させていただけるとは思っていませんでしたが、実は僕は昔から父親に時々「坊っちゃん」と呼ばれているので、これも何かのご縁かもしれません。
そして今回、井上芳雄さんと初めてミュージカルで共演できて、すごく嬉しいです。ご一緒して多くの事を吸収しながら、楽しんでお稽古したいと思っています。
小説の「坊っちゃん」をまだ読んだことがない方でも楽しんでいただける作品ですので、ぜひ、ご家族やお友達と観にいらしてください。お待ちしています。
【小林唯 コメント】
今回、「山嵐」を演じさせていただきます。
「坊っちゃん」役の三浦宏規さんとは年齢も近く、普段から仲良くしているので、今回は親友役の間柄ということで、良い関係性が築けるのではないかと思っています。
また、井上芳雄さんとは舞台初共演になるので楽しみです。
素晴らしいキャストの皆さんと共に、精一杯、熱い物語をお届けしたいと思いますので、どうぞご期待ください。
【彩みちる コメント】
夏目漱石の兄の妻・登世役を演じる彩みちるです。
宝塚歌劇団を卒業してから初めての舞台出演となりますが、これまで客席から拝見していた素晴らしい皆さまと共演させていただけることを、大変光栄に思っております。
宝塚在団中も和物作品に出演する機会はございましたが、まだまだ学ぶべき点は多くあると感じております。
一つひとつ大切に、楽しみつつ精一杯努めてまいります。劇場でお待ちしております。
【松尾貴史 コメント】
この作品に出ることが子供の頃からの夢でした。そんなわけないですね。しかし、そう言いたくなるくらいに出演することが喜ばしいです。また、華やかなキャストの皆さんとご一緒できるのがすごく楽しみです。
「赤シャツ」という嫌味で有名なキャラクターが持っている世界観やイメージにどうやって近づくか、或いは追い越したり、ちょっとデフォルメしたり、シックにやってみたり、色々と試行錯誤しながら、役を組み立てていこうと思っています。
劇場は出演者とお客様のみんなで一緒に作る空間だと思いますので、ぜひ存分に楽しんでいただけたら嬉しいです。
【春風ひとみ コメント】
1993年に『アイ・ラブ・坊っちゃん』などで音楽座さんが紀伊國屋演劇賞の団体賞を受賞された時に私が個人賞をいただき、土居裕子さんと一緒お写真を撮りまして、今も自宅の机の上に写真を飾っているのですが、まさかこの作品で共演させていただけるなんて、もう幸せでしかありません。
井上さんほか共演者の方々も皆さん知ったお顔が多く、三浦さんを支える「清」役を演じられるのがとても嬉しいです。
皆さんが良く知っているキャラクター達が動き出すという本当に楽しいミュージカルですし、私たちならではの『アイ・ラブ・坊っちゃん』をお届けできたらと、私も今から、お稽古が楽しみでなりません。
【土居裕子 コメント】
『アイ・ラブ・坊っちゃん』は、私が音楽座へ在籍している時、初演に出演しました。まさか再び鏡子役を演じさせていただけると夢にも思っていなかったので、非常に光栄に思い、感謝の気持ちでいっぱいです。
夏目漱石は1つの言葉の中に深い意味を含ませていて、寂しさ、優しさ、悲しさ、厳しさなど、人間の心模様を丁寧に描いている作品ばかりだと思います。この作品も「坊っちゃん」を通して、夏目漱石の、心の中に苦悩を持ちながらも新たな作品を作る原動力にする人間の強さ、底力みたいなものが表現されていますが、周りの人々の彼を包み込む優しさもあり、私なりの鏡子を演じて、漱石さんを支えていきたいと思っています。
本当に面白いミュージカルですので、ぜひ何度も観にいらしてください。
<ストーリー>
1906年、39歳の夏目漱石は教師を辞め、小説家として独立したいと願っていたが、家族を養う安定した生活のためにふんぎりがつかず、鬱々と日々を暮らしている。
妻の鏡子や幼い娘にイライラをぶつける毎日。妻の鏡子は漱石の癇癪をものともせず、明るく日々を送っているかのように見えたが、実際は心通じ合えぬ夫に言い知れぬ寂しさを深めていた。
ある日漱石は、訪ねてきた高浜虚子に新しい小説のプランを話す。タイトルは「坊っちゃん」。
江戸っ子で曲がったことが大嫌いな坊っちゃんは心に闇を抱えた漱石とは正反対のキャラクターだったが、漱石はいつしか坊っちゃんに自らを、結核で亡くなった親友の正岡子規を山嵐に重ね、自分では叶えられなかった冒険物語に筆と心を躍らせ、執筆に没頭する。
やがて漱石は登場人物たちに周囲の人間を重ね自らの闇に向き合い、時に飲み込まれそうになる漱石の筆は坊っちゃんに教え子の反抗や学校組織による理不尽な人事といった数々の試練を与えるが、坊っちゃんと山嵐はそれらを必死に乗り越えながら漱石を励まし続けるのだった。
なぜ生きるのか。苦しみ続ける漱石は、果たして「坊っちゃん」を書き上げることができるのか―。




