
昨年、45周年という大きな節目でこれ以上ない集大成を飾った劇団☆新感線。46周年もそのエンタメ魂は燃え尽きることを知らない!ということで、次なる公演はこれまでの王道物とはひと味違う新作を届けるべく、外部の作家としては4人目となる福原充則を新たに迎える。主宰・いのうえひでのりがこれまで書き下ろしてきた“ネタもの”のエッセンスを福原独自の解釈で取り入れたSHINKANSEN☆Rシリーズの新作“RSP”(ロック・スチームパンクの略)。
物語は、大正浪漫を感じる時代設定と江戸川乱歩が描いたようなほの暗い匂いが漂うスチームパンクの世界。登場するのは二人の探偵とそれを取り巻く一癖も二癖もある変な人物たち・・・と深まる謎《ミステリー》。これまでの新感線とは一風変わったアングラの色も滲ませつつ、もちろん“Rシリーズ”ならではの生バンドの演奏で、歌あり、踊りあり、アクションありのドタバタ音楽活劇ミステリーを、今年4月に開業する有明の新劇場でお届けする。
タイトルロールのアケチコ役を務めるのは、22年の『神州無頼街』以来、新感線3度目の登場となる宮野真守。“Rシリーズ”初参戦の宮野は果たしてどれほど歌う、もとい歌わされるのか。そして、16年の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』以来なんと10年振りの凱旋となるWEST.の神山智洋。新感線の舞台に再び立つことを切望していた神山がついに戻ってくる。
さらに、22年の『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』で高い歌唱力を見せた石田ニコルが2度目の出演、劇団イキウメで圧倒的存在感を放つ浜田信也、スーパー戦隊シリーズのヒロイン役で一躍注目を集める志田こはくが新感線に初参加。
そんなゲスト俳優の顔ぶれに並んで、老体に鞭打ちながら、ちょっぴり健康にも気をつけて、粟根まことをはじめとする劇団員たちはもちろん、看板俳優古田新太ががっぷり支え、東京⇒福岡⇒大阪と長い公演期間を全速力で駆け抜ける。

<ものがたり>
みなさんは名探偵・アケチコ五郎(宮野真守)をご存じだろうか?初めてその名を聞く人も多いだろう。なにしろ彼は、なによりも秘密を愛し、自分の素性すらも煙に巻く――少々、いや、かなり風変わりな名探偵なのだから。
大正12年、M県T市。
海沿いの炭鉱の町はあらゆるものが石炭で動き、すべてが蒸気に霞んでいる――。
探偵助手の助手林鳩美(志田こはく)とT市を訪れたアケチコ探偵は、マニラ育ちの帰国子女にして名探偵の新田一耕助(神山智洋)と出会う。
人気劇団「黒ダイヤ歌劇団」のトップ女優・熾火煤の引退が決まり、町は次期トップ争いの真っ只中にあった。新田一は、市長の娘で次期トップを狙う出雲坂めい子に雇われ、ライバル女優・菊川民子(石田ニコル)の汚点や欠点を探っていたのだ。
最終審査の日。出資者たちは市長におもねり、めい子を推す。これでトップは決まりかと思われたが、そこに町一番の大富豪、性別不明の怪人アンダルシアン・クーガー(古田新太)が登場。鶴の一声で民子をトップに指名する。
民子を引きずりおろそうと、めい子はアケチコに調査を依頼。首尾よく、蒸気自転車屋の阿久沢正治(浜田信也)と一緒にいるところを見つけたアケチコは、「黒ダイヤ歌劇団は恋愛御法度だ」と口止め料を請求する。しかし、女優はなにも答えず走り去るのだった。
迎えた新トップお披露目公演。親衛隊隊長・堀田半太(粟根まこと)が見守る中、有終の美を飾る熾火。ところが新トップの民子は忽然と姿を消し、犯人と疑われためい子までも行方不明に――。
かくして、秘密の匂いをかぎつけたアケチコ探偵は、新田一青年とともに怪事件に挑む。だが、その行く手には猟奇、猥雑、倒錯、奇怪! 常軌を逸した愛と欲望の世界が待ち受けていた……!
【作:福原充則 コメント】
25年ほど前、とあるイベントで15分くらいの作品を上演した際に、当時の新感線の社長Hさんが見にきて、「やるじゃん。がんばれば?」と声をかけてもらい、そのイベント限りのつもりだったユニットを劇団化したのが、私の作・演出家としてのスタートでした。あれから25年、すっかり老けきった作家になってから届いたまさかのオファー。何からはじめていいのか迷い、とりあえず革ジャンを買いました。
打ち合わせの際、いのうえさんから出てくるアイデアは、大学生の時に友人と午前4時の飲み屋で話したような話、という印象です。小学生の頃のバカ話とか中学生の妄想よりも、たちが悪い。社会の仕組みを知ってから、なお外すタガ…。
重装甲車劇団の新感線からどんな弾を発射したら楽しいのか、想像しながら書きました。そして出演者の方々へのラブレターだと思って書いたので、人の恋文をのぞき見する気分でお越し下さい。
【主宰・演出:いのうえひでのり コメント】
今回はいつもの<Rシリーズ>からは変えて、耳に優しい(笑)ちょっと古い60年代くらいを意識した音楽でいこうかと。少し冒険的な、いわゆるいつもの新感線とは一線を画す方向で作っていく予定です。もちろんストレートなミュージカルには絶対にならないし、お話としてもちょっと魔訶不思議なアングラっぽくなるというか。今の新感線でそういう世界観をやったらどういう風になるだろう?と思ったんです。福原君は、演劇においてのデタラメみたいなところを書ける人なので、可能な限り福原君の持っている変さ、気持ち悪さ、アブノーマルさを大事にしたい。
マモ(宮野)は歌えるし、エンターテイナー。これまでの『髑髏城の七人』や『神州無頼街』とは違う色の作品がいいなと思いつつ、それでも歌があって、ベラベラ喋りまくるみたいなキャラクターは本人も得意だろうし、そこはマモありきで出てきた役ではありますね。カミちゃん(神山)も、ずっと「また出たい」と言ってくれていて、やっと実現します。彼も歌えるし、お芝居もどんどん上手になっていることは知っているので何の心配もないです。
(石田)ニコルは『薔薇とサムライ2』の時に「こんなに出来るんだ!」と驚かせてくれていたので、今回は音モノで、女優さんの役なので、しっかり歌えて押し出しの強い彼女ならピッタリです。浜田くんは前からずっと、あの妙ないい意味での一癖ある不思議な気持ち悪さが新感線に合うなと思っていて。志田さんは、「一人、若い子を絶対いれましょう」みたいな話になった時に、推薦してもらいました。そうしたら福原くんも彼女を知っていて、面白いことも出来そうだということで今回頑張ってもらうことになったわけです。
粟根さんは見たことあるけどいつもとちょっと違う、珍しいほうの役ではある。古田くんもこれまで演じてきた『ロッキー・ホラー・ショー』のフランク・フルター、『宇宙防衛軍ヒデマロ』シリーズのビリィにはならないように、何とかしたいなと思ってます(笑)。
今までの新感線の王道の作品とは確実に雰囲気の違う舞台になるので、僕自身も楽しみでもあり、ワクワクしています。お客さんはもしかしたら最初とっつきにくいと感じるかもしれませんが、歌も笑いもいつも以上に満載なので!楽しんでいただけると思います、期待してください!!
【宮野真守 コメント】
再び戻ってこられて幸せです!9年前に『髑髏城の七人』Season月《下弦の月》に出演して以来、劇団員の皆さんやスタッフの方たちとは特別な時間を過ごさせていただいています。劇団☆新感線の舞台は、毎回いい意味でバカバカしいことがたくさんあり(笑)、もちろんそれだけじゃなく、本当にカッコ良くて華やかで、観劇するたびに「やっぱり新感線のステージにまた立ちたいな!」と思わせてくれます。
今回の台本をいただいたときは「劇団☆新感線で推理モノ?」と、すごくワクワクしました。脚本の福原さんも新感線に書かれるのは初めてとのことで、これはいよいよ本当にガラッと違うことをやるのかなと、考えながらヴィジュアル撮影に臨んでみたら……「おや?」と(笑)。僕が演じるアケチコも、ハッタリをきかせて根拠のない自信が満々で、口八丁であちこちに口を挟んでいく男で……。「あれれ? これって俺の得意なところなんじゃない?」と(笑)。とはいえ全体的にとても賑やかなので「ああ、なるほど、このハイブリッドな感じで展開していくのか!」ということを、ヴィジュアルの前髪からも理解しました(笑)
そして今回はなんといっても古田さんと初めてご一緒できることに大感激しています。9年越しの念願が叶いました。以前お会いした際はマモちゃんと呼んでくださって、それだけでキュン!としちゃいました(笑)。神山さんとも初共演で、歌唱力がすごいですし、身体能力も素晴らしいだろうから、何かしらの面白い化学反応が起きそうな予感で今、ドキドキしています。
主演ですので、僕としては本当にありがたいですし、大変に気合いが入っています。皆さんの想いに応えられるように楽しいものを必ずお届けいたします。どうぞ、ご期待ください!
【神山智洋 コメント】
「絶対にまた出たい!」と言っていた夢が、ようやくここで叶いました!
前回出演した『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(以下、『VBB』)は、僕にとってお芝居に対する思いや向き合い方が大きく変わった転換点であり、「お芝居って楽しい!」と初めて思わせてくれた作品です。
この10年の間でいろいろな舞台や映像に挑戦し、人間としてもさまざまな経験をしてきたので、僕自身ができるようになったこと、得たもの全てをしっかりと活かしたいと思っています。
今回はこれまで観てきた新感線のお芝居とはまた雰囲気が違う作品になりそうです。僕が演じる新田一はいかにも探偵らしい格好をしていて、きっと形から入る役なんやろうな、と思いました(笑)帰国子女という設定で、とにかくクセが強いことは確かです。
宮野さんは初共演ですが、僕、アニメが大好きなので「わぁ、あの宮野さんだ!」という気持ちがまずは大きかったです。実際にご一緒できることはとても心強く感じています。
そして古田さんとも今回が初共演で、正直かなりドキドキしています。古田さんは、いらっしゃるだけで空間が一気に“古田新太ワールド”になるというか、その場をすべて掌握されるような圧倒的な存在感が本当に素晴らしくて。
以前からずっと拝見してきたので、今回ご一緒できるのが楽しみですし、とにかくたくさん勉強させていただきたいです。
『VBB』では殺陣をやる機会がなく、「いいなあ」と眺めているだけだったので、今回はぜひ、これまで培ってきた運動神経を全面に活かせたら嬉しいなと思っています。
【古田新太 コメント】
今回の『アケチコ!』は、もうちょっとヒドい話にして、もっととっ散らかってたっていいのにと思いましたけど、意外とちゃんとしたものになっちゃってます(笑)。福ちゃんには「もともと変態なんだから、もっと変態芝居を書け!」と言いたいです。いのうえさんが書く脚本は、さほど変態ではなくいわゆる“頭が悪い”系。その中でオイラは変態の役をよくやりますが、子供が言うところの変態。それに比べて福ちゃんは大人の変態がちゃんと書ける人ですから(笑)。
そしてゲストの皆さんがどれくらいオイラたちを楽しませてくれるか。マモ(宮野)なんてきっと、根っから変態だろうから。ぜひともこの機会に、その実態を見せてもらいたいものです(笑) 神山くんは、これまであまり接点はなかったんだけど真面目な人そうですよね。今回のゲスト陣は初めましての人が多いんだけど、初めての人とお芝居することはオイラは好きだし、そんなに心配してません。
一応オイラとしては“いい話”にしたくないので、悪くてヒドい話がお好きな方に喜んでもらえるようにがんばります。それでも、いい話になっちゃってたらごめんなさい(笑)。あとは、上演時間を少しでも短くしたいですね(笑)。





