本作は、近代演劇の父とも称されるノルウェーの劇作家イプセン(1828-1906)の代表作の一つ『ヘッダ・ガブラー』を下敷きに、現代の日本の芸能界で、愛すること愛されることを求め、ありのままの自分自身でありたいともがく人々を描く。イプセンへの現代的返歌として、演劇集団「範宙遊泳」を率いる山本卓卓が書き下ろし、演出を手掛けるのは白井晃。自身のキャリア史上最年少の作家である山本とタッグを組み、世代の異なるそれぞれの視点から現代社会を見つめ、一つの物語を織り上げる。また音楽を担当するのはサニーデイ・サービスの曽我部恵一。山本、そして白井からのラブコールを受け、劇中歌をはじめ、全ての楽曲を作曲する。

息苦しいネット社会の現代にあって、アーティストとして、夫として、一人の人間として、苦悩する人気ロックミュージシャン・ジンを演じる髙木は、役を演じるにあたり「ほとんど共感できてしまうなというのはありました」と話す。「ジンはロックスターで、僕は普段アイドルをやらせてもらっているのですが、その時に何かチャレンジする時とかの恐怖や、どうみられるかは同じだなと思いながら台本を読んでいました。でも、やりにくいのは、これが僕の気持ちなんじゃないかとお客様に対して、と思われてしまうんじゃないかという点はちょっと怖いですけど、ジンはジンなりの誹謗中傷の受け止め方があったり、自分だったらこうなるだろうなと思ったので、見てくださる方にはそこは違うよというのは、先にお伝えしたいです」と役に共感しながらも、自身との違う面もあることを語る。

ジンの元恋人である人気アーティスト・エート役の黒羽も「台本を読ませていただいた時に、生々しい言葉があったりするのは、この世界にいる身としては共感できる部分もたくさんあります。業種は関係なく、生きづらさは色々リンクしていくなと思うので、むしろ言葉がどんどん刺さっていく印象でした」と作品の印象についてコメント。

そして、ジンの妻であり所属する芸能事務所の社長でもあるショウコを演じる蓮佛は、「所属事務所の社長の役なので、芸能人というよりも支える側で。そして、ジンの世界を見た時に、自分が今までお世話になってきたスタッフさんたちが、こういう気持ちになったことがあるんだなと考えたりはしました」とスタッフ側の目線にもなりながら、「自分も同じ世界に身を置く視点で考えた時に、ちょっとした誹謗中傷がお褒めの言葉よりも刺さってしまうのは分かるなとも思います。あとは普段芸能界ってすごくキラキラした場所に見られると思うんですけど、俯瞰で見た時に幸せそうに見える人が本当に幸せなのか、内容が全然違うことは普段からよく感じるので、それが生々しく描かれているんだなと思います」と述べた。

髙木と黒羽は初共演で元恋人役という役どころだが、お互いの印象を聞かれ、高木は「僕は初めて会った瞬間に、挨拶より先に『かっこいいね!』って。めちゃめちゃ顔が整っててかっこよくて、多分一目惚れってこういうことなんだなっていうぐらい魅力的だなと思いました」とラブコール。その言葉を受けた黒羽からも「なんだ、座長のこのかっこいい姿は、と。きっと僕だけじゃないですけど、稽古期間でたくさん学ばせていただきましたし、焼き肉をご馳走になりました!男としてかっこいい部分を見させていただいて、キュンです!」と相思相愛な一面を見せる。
さらに、蓮佛は髙木について「ピュアで照れ屋です」とし、「稽古から1ヶ月ちょっとぐらいですけど、自分に嘘をつかない人だなと感じて、自分に正直で、自分を大事にできる人なんだと、お芝居からも普段喋っていても感じて。憧れじゃないけど、良いなと思う部分がいっぱいあるので、それはジンとショウコの関係にも通じるところかなと思ったりします」と語る。

そして、今回が白井演出作品に初参加となる髙木は、白井の印象を「初めてお会いさせてもらった時に、この作品をどういうふうにしていこうか、自分の考えをお話しさせてもらって、知識がないので漠然としか話せないんですけど、1言ったら10返してくれるぐらい知識がとんでもない方だなと思いました」と語り、「稽古に入ってからも、こういう気持ちってたとえばこういうのがあるよね、と物語みたいに話してくれて、伝え方がすごく素敵だなと思いました。ガムで言えば、噛み切ってこれが限界だなと思った時に、違う噛み方を教えてくれて、また味がする感じで稽古が進んでいきました」と、白井の言葉で芝居の幅が広がったことを明かす。

対する白井から見た役者・髙木の魅力を「とにかく真摯。演劇に向き合う姿勢がとても真摯で、一番ありがたいのは稽古好き。もう1回やろうって時に、すごい嫌そうになっていく方もいるので、(高木は)喜んで!という感じで、もう1回、もう1回と叩き込みたいタイプなのかなと。だからその分、やるごとにアップデートしていくので、じゃあ今度は違う噛み方もやってみましょうかということになっていったんだと思うんです」と、ストイックに芝居に向き合う姿が語られ、「私自身もその姿を見ていると、よりこういうふうに見えていったら良いんじゃないかとか、逆に俳優の皆さんから教えてもらって、作品の深みを作っていけると感じています。高木さんに限らず、蓮佛さんも黒羽くんも、真摯で真面目です。創作の現場をしっかりと楽しんで愛してくれているなという感じでご一緒させていただいています」と、話していた。

最後に、代表して髙木より「『ジン・ロック・ライム』を見た時に多分この客席に座っている一人一人が違う受け止め方をすると思うんです。それはその人たち自身の心なので、そういう受け止め方で良いと思うんですけど、それだけじゃなく、こういう考え方をする人間がいるんだ、というところを感じ取ってもらえたら嬉しいです。純粋に楽しんで見ていただけたらなと思います」とメッセージが送られた。

PARCO PRODUCE 2026『ジン・ロック・ライム』は、3月10日(火)より東京・PARCO劇場を皮切りに、広島・愛知・大阪・福岡にて上演。