
改めて本作の脚本を読んだ感想を山時は「親が子を想う気持ちも、子が親を思う気持ちも、どちらも分かるんですけど正解がなくて、そこをすごく考えさせる作品であると思いました。僕は佑と似ている部分がたくさんあって、共感できる部分もあれば、大変だなとも思って、100%の覚悟で演じたいなと思いました」と振り返る。
続く菅野も「なんて優しい、お互いを想いやっている親子なんだろうと胸を打たれました。私も育児中で、藤村親子の優しさは理想の親子像だなと感じましたし、なんで私にお話をいただけたのか不思議に思いました」と、出演オファーに驚いたことを明かす。
菅野へのオファーについて中川は「役者さんとして素晴らしい方」と前置きし、「僕は運命的なものを感じていて、僕と母が二人であまりドラマを見たことがなかったんですけど、唯一と言っていいぐらい見ていたのが菅野さんの『イグアナの娘』だったんです。母と一緒に見た作品で主演されていただいた菅野さんに、母をモデルにした役をやっていただけるのは、嬉しいし運命的でした」と語る。また、脚本を書く際に意識したことは「映画ってエンターテイメントでありフィクションですが、今回はヤングケアラーという社会問題を取り扱っているので、現実に即したものでなければいけないという意識はしっかりとありました。ヤングケアラー協会が発信する情報を全てチェックして、現実と乖離がないように丁寧に作りました」と、思い入れを語る。

そして、本作の主題歌に起用されている大森元貴の「0.2mm」について、山時は「大森さんが大好きで、今までの曲もたくさん聞いてきて、宝物をいただいたなという印象があります。初めて聞いた時、背中をさすられているような優しさがあって。ハマり具合がすごかったです。これだ!という感覚は今でも忘れられないです」と初めて聞いた時の体感を振り返った。
親子の愛と絆が描かれている本作にちなんで、母から愛されていると感じた瞬間について、「実は今、感じているんです」と答える山時。「母はよく舞台挨拶とかに来てくれるんですけど、今回、この舞台挨拶は来れないと言ってたんですが、登場した時に、母、いました。びっくりしました」と会場を見渡し、「すぐに見つけられるのも愛なのかなと。来ないって言ってたのに、多分時間を作ってきてくれたのかなと感じて、これが愛だなと思いました。ちゃんとティッシュ持ってきた!?」と、笑顔で客席にいる母親へ呼びかける一幕も。
一方の菅野は、「母は私が実家に帰るたびに私の好きなものを買って待っててくれるんですけど、ある時にヨーグルトが好きで食べていたら、3連のヨーグルトを用意してくれていて、食べきれなかったら『これ東京に持って帰りなさい』って言って、お母さん、東京でも買えるよって思ったりするんですけど、それが親心なんだなと」と、微笑ましいエピソードを披露した。
ここで、山時が菅野の母親から預かった手紙を代読するサプライズ。「健康第一でこれからも応援して下さる皆さんに愛される様な女優さんになって下さい」という想いを心を込めて代読する山時を涙を溜めながら聞き入る菅野。手紙を受けて「私一人では本当に何もできなくて、子育ても仕事も母にたくさん手伝ってもらって、やっと今日ここにいられるという感じなので。健康でいてください」と母親への感謝を語る。

会場があたたかい空気に包まれる中、実は菅野へだけでなく、山時へも母親からの手紙のサプライズがあり、今度は菅野が代読する流れに。

「自分を見失わないように、常に謙虚でいるように、と声をかけて来ました。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』呪文の様に囁いてきましたね。あなたの稲穂はまだまだ空っぽに近く、これから沢山の努力と経験で少しずつ実がなっていく事でしょう。その日を楽しみにしていますが、どうかこの言葉を忘れないで欲しいと思います」と山時の母親の綴った言葉を代読する菅野の目には涙が「そして最大の願いはただ一つ。健康に気をつけて自分の道を邁進してください。それだけで十分です。いつも、いつまでも応援しています」と、声を震わせながら読み上げる。

山時も涙を見せ、「びっくりしました。小さい頃、すごい迷惑をかけたんです。スポーツとかもあまりうまくいかなくて、頑張っている姿を今まで見せられなかったような気がしたんです。でも、この俳優という仕事が、僕が一番親孝行できる仕事だと思うので、これからも俳優を続けて、親孝行したいと思います。ありがとう!」と会場の母親へ感謝を伝えた。

直木賞作家・朝井リョウの連作短編小説『少女は卒業しない』で商業長編映画デビューを果たし、『か「」く「」し「」ご「」と「』でも高く評価された新進気鋭の監督・中川駿渾身のオリジナル企画を映画化。母親を看病した経験を持つ監督が、自身と自身の母を重ね合わせてキャラクターを作り上げ、半自伝的映画を生み出した。
難病の母と2人で暮らす高校生・藤村佑役を演じた山時聡真は、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』で主人公声優の座を射止め、ドラマ「ちはやふるーめぐりー」など話題作への出演で注目を集めている。そして難病の母・美咲を演じるのは、『ディア・ファミリー』、『近畿地方のある場所について』と母親役が続く菅野美穂。さらに、美咲が利用する介護施設のケアマネジャー・下村香織役を西野七瀬、佑が所属するバスケ部のマネージャー・松田杏花役を南琴奈、バスケ部員・大平翔太役、田中偉登が出演。主題歌は大森元貴書き下ろし楽曲「0.2mm」。大森元貴の優しい歌声が添えられ、日本中を涙に染める感動物語の公開に期待がかかる。
また、今回のチャリティ上映会の売り上げの一部は、【一般社団法人 ヤングケアラー協会】へ寄付される。
【菅野美穂さんのお母様 お手紙全文】
美穂へ
芸能界という知らない世界に入り
こんなにも長い間お仕事が続くとは夢にも思っていませんでした。
人には言えない並たいていの苦労も多くあったかと思いますが、今迄続けてこれたのは、
会社、マネージャーさん、スタッフの皆様の助けがあり続けて来れたのだと思います。
今は子育て、お仕事と一番大変な時期ですが、
振り返ってみると一番大変な時が一番良かったと思える日が来るはずです。
健康第一でこれからも応援して下さる皆さんに愛される様な女優さんになって下さい。
【山時聡真さんのお母様 お手紙全文】
山時 聡真様
小さい時のあなたは元気いっぱいでやんちゃな子で。
毎日、怪我をしたりしないか、
お友達と喧嘩をしはしないか、
とハラハラしていました。
幼稚園では教室に入ったら全員のお友達と話をするので、
なかなか席に辿り着けません、
とお便り帳に書かれた事もありました。
また、小学生の時も、おしゃべりしすぎて
給食が時間内に食べ終わらず居残りをしたり、
牛乳が飲めなくて初めて飲み切った日はみんなに拍手された、
と聞かされてびっくりした事もありました。
人見知りも全くしないので、
お姉ちゃんの授業参観では自分も一番後ろの席に座り、
ドリルをやったりして馴染んでいましたね。
そんなエンターテイナーな部分と、どこにでも溶け込める性格は、
今こういうお仕事をさせていただく中で役に立っているのかもしれません。
中学、高校ではお友達に恵まれて学校生活を謳歌していましたね。
バスケ部のキャプテンにもなり、試合に出たりもしていました。
私もママ応援団としてよく試合に行っていたので、
この映画のシーンは自分に重なるところがありました。
そして同時にこの頃からお仕事にも恵まれ、
限られた時間を工夫して過ごしていかなければならない状況に
なり、急激に大人になっていったような気がします。
普通では考えられない華やかな経験の中で、
時にはこうやって沢山の皆様から応援していただいたり、
現場では色々とお世話をしていただいても
自分を見失わないように、
常に謙虚でいるように、と声をかけて来ました。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
呪文の様に囁いてきましたね。
あなたの稲穂はまだまだ空っぽに近く、
これから沢山の努力と経験で少しずつ実がなっていく事でしょう。
その日を楽しみにしていますが、どうかこの言葉を忘れないで欲しいと思います。
また、私の好きな言葉のもう一つは「恩送り」です。
自分が受けた恩は忘れず必ず誰かに送ってあげてください。
それが結果として自分を成長させ、強くしてくれるはずです。
そして最大の願いはただ一つ。
健康に気をつけて自分の道を邁進してください。
それだけで十分です。
いつも、いつまでも応援しています。
母より










