
本作は、自閉スペクトラム症の兄の大貴(安田章大)と、兄を幼い頃から支えてきた妹の希(のん)の兄妹が、希の結婚話をきっかけに、お互いのこれからとこれまでに向き合うことになる、心あたたまるヒューマンドラマ。
安田章大が、劇団ふくふくやを主宰し女優としても活躍する山野海のオリジナル脚本に感銘を受けて、旧知の佐藤現プロデューサーに「これを映画化できないだろうか?」と持ち込んだことから企画が始動。そこに企画に共鳴した小林聖太郎監督も加わり、自閉スペクトラム症(ASD)の専門家の方々に監修を仰ぎながら約2年をかけて脚本を練り、企画の実現にこぎ、地元・大阪を舞台に、兄と妹の感動の絆の物語を完成させた。
公開から2週目も好調となり、興収1億を突破した『平行と垂直』。キャストファンだけでなく、本作を劇場で観たASD当事者やそのご家族、映画評論家などからも絶賛の声が寄せられ、今もなお注目を集めている。
舞台挨拶の冒頭では、本日登壇が叶わなかったのんより、ビデオメッセージが寄せられ、「この映画を通して、私自身もより家族への想いが強くなったというか、改めて想いを伝えることってとても大事なんだなと気付かされて、以前よりも感謝や自分の気持ちをたくさん伝えるようになりました」と、作品を通して自身の変化を語り、「安田さんと過ごした時間は私の中に宝物のように大切にしまってあります。紡いでいった時間が本当にキラキラとして、役者をやってて良かったなって思えるような時間でした」と感謝を伝える。
その後、のんとW主演を務めた安田章大をはじめ、原案・脚本を担当した山野海、小林聖太郎監督が登壇。
のんのメッセージを受け安田は「いてくれたら嬉しかったけれども、きっとここにいるだろうと信じています」と一緒に登壇している感覚だと話し、「宝物はあまりしまいすぎてほしくないですね、って思ってます。でものんちゃんがいてくれたからこの作品が仕上がったので、感謝しています」と言葉を返していた。
観客動員数が10万人突破を聞き、「嘘みたいで、本当に嬉しいです。これからも広がっていくんだなと思うと、喜びと同時にまた先に進みたいって思います」と喜びを口にしながら「何が一番分かりやすい計算式なんだろうなって喋った時に、『東京ドームで2回公演してんねんで』って言われて、すごいですね。それが全国で広がっているのが嬉しいです」と微笑んだ。
また、山野との出会いから3年を振り返り、安田は「改めて人とのご縁が全てが作るんだなと実感しているし、諦めてしまったら作品が生まれていなかったなと思うと、自分が生まれてきた意味も感じるし、海さんが生まれてくれてるから、この作品が作れていて、そこに聖太郎さんがいてくれて、ご縁がなければあかんねんな、って思っている感じがどんどん深まります。これからも自分たちで動けば何かが起きるんだと、実感できる体験です」としみじみ。
山野は「最初の頃、私の脳内にあったものを安田さんが引きずり出してくださったんです」と表現し、「出会って3年7ヶ月経ってるんですけど、正味会ったのは10日ぐらいなんです。もちろん電話で打ち合わせしたりはありましたが、物語を作るために、人は10日しか会わなくてもできるんだなと、奇跡を感じています」とコメントすると、安田が「お仕事で考えたら今日が2回目でした」と顔を見合わせた。

そんな山野の構想を聞き、即決でやるべきだと思った理由を改めて安田は、「人それぞれ自分の考え方ありますから。なのに、それをねじ伏せられる、それをすぐ誹謗中傷化させるという、わけのわからない世の中になってるから、まずは受け入れようよって。味方も絶対いるし、誰かが誰のそばにいれば、何かしら大きく変わっていくよな、と思ったのが大きいです」とまっすぐ答える。「どんな理由であれ、0から1を作らないと変えていくことができないと昔から思っていたので、その中で人それぞれで良いんだから、それぞれを伝えようと、そこに大きな言葉を届けるきっかけだったのが大きな理由です」と感銘を受けたと語った。
この作品は大阪府堺市が舞台となり、劇中の会話は関西弁で繰り広げられているが、関西弁もこの作品の色を生み出す要素となっている。W主演の安田ものんも兵庫県出身、小林監督やスタッフ陣も関西出身が多い中で、東京出身の山野は執筆に苦労したようで、「マジで腹が立ちますよ!本って皆で作っていくものですから、喧嘩しているわけじゃないんですけど、特にこの監督が『ここは“ね”』だとか『ここは“ん”』だとか。関西弁警察うるさい!って言ってました。すごくうるさかったです」と熱く語る中で、安田は「僕はそれを静かに見てました」と明かした。
また、舞台挨拶では、9月11日に誕生日を迎えた安田、本日16日が誕生日の山野、そして本作の大ヒットを記念し小林監督へ、サプライズで花束の贈呈が行われ、佐藤現プロデューサーより3人へ手渡された。
手元の花束に安田は「普段、出歩かない人間なので、お祝いだから外で食べようみたいな人じゃないので、嬉しいですね」と笑顔。「映画のヒットのお陰でこうやって花束がもらえていると感じます。自分の誕生日でいただけているというより、めでたいことがあったプラスアルファで自分の誕生日みたいな感覚です」と謙虚な姿勢を見せながら「なので、このお花がずっと枯れないようにフリーズドライにしようかな…フリーズドライ?ドライフラワーやな」と、言い間違える天然な一面も見せた。

最後に安田より「それぞれ一人じゃないなと思ってもらいたいです。生きていて苦労することはそれぞれあると思うんですけど、その苦労は自分じゃない誰かを助けるために起きていると覚えていてください。自分が乗り越えるためではなく、誰かを助けるための苦労である。そうすると、誰かのために自分が生きられるようになると感じてもらえたらなと思っています。それが初めて誰かを一人にしない、味方になれるということだと思います」とメッセージが送られた。






