2011年に上演された、劇団☆新感線としては異色の、いのうえ歌舞伎でもなく、ネタモノでもなく、“Rシリーズ”でもない、シェイクスピアの『オセロー』を翻案した青木豪書き下ろしの『港町純情オセロ』。
部下イアーゴの計略によって破滅へと突き動かされる軍人オセロと妻デズデモーナを描いたシェイクスピアの四大悲劇の一つ『オセロー』。人間の本質となる喜怒哀楽を綴ったこの物語が、人間の業を暴き晒し出すセリフの魔術師・青木によって、戦前・戦中の関西らしき場所にある港町を舞台に、混沌とした時代に生きるチンピラヤクザたちの人情悲喜劇に大胆に翻案され、新感線主宰・演出のいのうえひでのりによるダイナミックな演出で新たな産声を上げ、この和製『オセロー』は、より深く感情ほとばしる作品として、観客の心を強く揺さぶり大きな話題を呼んだ。

そして今回、『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇』として12年ぶりに甦る。
物語の舞台を戦前・戦中から、戦後のアメリカ文化が流れ込んできたポップな時代に改めて書き直し、装いを新たに上演が決定した。

主人公・オセロを演じるのは、新感線初参加となる三宅健。シェイクスピア初挑戦で新境地に挑む。初演で劇団員の橋本じゅんが演じた泥臭いヤクザの組長を、一本気で純情な「愛」に生きるヤクザ者として演じる。
共演には、オセロの美しい妻・モナに松井玲奈。知らず知らずのうちにオセロを追い詰める悪計に加担する事になるオセロの部下・汐見丈に寺西拓人。
さらに劇団員からは、モナ横恋慕する市議会議員の三ノ宮一郎に粟根まこと。そして初演では田中哲司が演じた言葉巧みに人を操りオセロを奈落の底へと突き落とすべく追い込む役柄を、今回は設定をアレンジし、先代組長の未亡人アイ子として、看板女優・高田聖子が演じる。

製作発表には、キャストの三宅健、松井玲奈、粟根まこと、寺西拓人、高田聖子、劇団主宰・演出のいのうえひでのり、作の青木豪が出席した。

冒頭の挨拶で「まずこの新感線からお話をいただいてとても嬉しかったです」と喜びを見せる三宅は、「今回新感線に出演することも初めてですし、シェイクスピアの作品に出演することも関西弁を喋るのも、ハーフ役をやるのも初めてで、とにかく初めてづくしの作品だなと思ってます。すごく楽しみにしております」とコメント。

松井は「私は『シレンとラギ』を初めて劇団☆新感線で観劇して、それを見た時に本当に胸を掴まれて面白いと思って、いつか劇団☆新感線の作品に出ることが自分のお芝居をしていく中の人生での目標の一つみたいに感じていて、今回こうして劇団☆新感線の組に呼んでいただくことができて、夢が一つ叶ったような気持ちではあるんですけれど、でもそこから夢ではなくちゃんと自分が与えてもらった役をしっかり全うして、この作品の中のモナという素敵な役を生きていけたらいいなと思っています」と夢の実現に喜びながら、「私も関西弁を喋るのはあんまり慣れていないので、稽古中はまだまだ四苦八苦しながら、変なイントネーションで喋ったりもしているんですけれど、でも本番にはバッチリ港町の空気を皆さんに感じていただけるように頑張りたいなと思っています」と話す。

劇団員である粟根は「青木さんがおっしゃったとおり、12年ぶりの再演ではありますけれども、設定がかなり変わっておりますので、ほぼ書き直しということで、演出も作り直しということで全く違うアプローチを試しているところです。魅力的なゲストもお三方来ていただきまして、ごっそりとキャストも変わっておりますので、新鮮な気持ちで取り組みたいんですけれども、私だけは12年前と同じ役です。セリフもほとんど変わっておりません。新鮮な皆さんに囲まれて、ロートルが同じことを喋るということになってしまいますので、なるたけ新鮮に取り組みたいと思います」と笑いを誘った。

寺西は、「本当に緊張しております。こんな素敵な会場で、こんな素敵な皆さんと会見をさせていただくというのもすごく緊張しますし、稽古場でもいつか参加したいと思っていた劇団☆新感線さんの実際の現場で、生のいのうえさんだったり、生の劇団員さんを見て緊張して、また(事務所の)先輩である三宅くんと初めてお会いして緊張して、とにかく緊張緊張なので、皆さん優しくしてください。よろしくお願いします」と恐縮しっぱなしだった。

そして粟根と同じく劇団員である高田は「私は以前『オセロ』という作品に参加したことがあるんですけど、その時にはイアーゴの妻のエミリアをやったんですね。イアーゴを横目に、なんか大変そうだなとかなんでそんなに嫉妬に狂うのかなと思いながら見てましたけど、まさか自分がイアーゴをやるとは夢にも思いませんでした。でも、先日皆さんと本読み稽古があって、初めて皆さんのすごく魅力的でフレッシュな声を聞いて、『ああ、嫉妬できるな』と思って。皆さんのフレッシュさとキラキラを糧に嫉妬の炎を燃やしたいと思います。追い詰めていこうと思います。あと関西弁のことは聞いてください」と笑顔を見せた。

劇団主催・演出のいのうえは「今回オマージュものではありますが久しぶりにシェイクスピアをやることになったのは、この2年半、コロナ禍になってどちらかというと楽しいもの、歌って踊れて明るいものを意識的にやろうと心がけてきたんですが、ここらへんでガッツリそろそろ芝居らしい芝居、セリフを中心とした芝居をやろうということで、このシェイクスピアの『オセロー』を基にした『港町純情オセロ』をやることになりました」と上演するにあたる経緯を語る。

一方、脚本を手掛けた青木は「いのうえさんから『港町純情オセロ』を12年ぶりに再演したいんだけど、というようなお話をいただきまして、色々キャストを伺ったら橋本じゅんさんが元々はオセロだったんですけど三宅さんになる、それから田中哲さんでイアーゴだったところが高田聖子さんになると。再演と言うより書き換えだなと(笑)。いのうえさんから役者をとにかく魅せたいっていう想いが伝わってきましたので、僕としては役者さんが生き生きと輝けるようにセリフに力を込めたいなと思って細かく書き直したつもりです。これが舞台に上がって皆さんのところに届くのが楽しみでなりません」と12年ぶりの上演に期待を寄せた。

劇団☆新感線初参加となった三宅は、出演が決まった時のことを尋ねられると「僕で務まるのかなって正直思いましたけども、元々初演は橋本じゅんさんがオセロ役を演じられていたので、大丈夫ですか?っていのうえさんにお伺いしたら『いや、大丈夫だ』と。『全く別物になるからそれは心配しなくていい』って力強い言葉をいただけたので、じゃあもういのうえさんに全て預けて頑張りたいなと思って受けました」というやり取りがあったことを明かす。
戯曲を読んだ感想については「面白かったですね。四大悲劇の『オセロー』が悲劇なのに喜劇でもあるっていうか、でもそこにだからこそもの悲しさが生まれてくるような気もしますし、初めてシェイクスピアに触れる人たちもすんなり入っていくんじゃないかなと思いました」と語った。
初挑戦となる関西弁についても「難しいですね、やっぱり」と苦労しながらも「何聞かれても関西弁でこたえられるぐらいになりたいですね。公演が終わる頃には。大阪でも2、3週間あるので、せっかく大阪の地でやるので、少しは関西弁に順応できるようになりたいなと思います」と気合をうかがわせる。

同じく松井も劇団☆新感線初参加となる。劇団のイメージについて聞かれると「エンタメを凝縮したようなステージングが多いなっていうのは感じていて、でもその中でも今回みたいなお芝居をしっかりやる作品でも、見せ方に華やかさがあり、それがバンと舞台の上でハマった瞬間が気持ちよくて、こっちも思わず拍手したくなるような。今回の作品にもそういう場面がいくつかある気がしているので、これからどういう風に演出がついて、自分たちがその世界の中に入っていくのかがとても楽しみです」と期待を寄せる。

夫婦役を演じる三宅と松井は、今回が初共演。
お互いの印象を聞かれ、松井は三宅について「目がすごいキラキラされていて、結構目を見たり見つめ合うみたいなシーンがあるんですけど、吸い込まれちゃいそうな気がしていて、でもその純真さがあるような視線っていうのが今回の亜牟蘭オセロという役にすごくぴったりだなと思っていて、モナが惹かれる気持ちが分かるなと思いながらお芝居をしています」と魅力を語る。
対して三宅は松井について「本当にお互いに愛し合っている仲なので、距離が近いシーンが結構あるんですけど、すごく肌が綺麗です」と絶賛。「僕見ちゃうんですよ。女性の肌の質感を。本当にどうやってお手入れしてるのかなっていうぐらいつるつるですね」という三宅の言葉に松井は「ちょっと今震えました。稽古場にすっぴんで行けないなと思って(笑)」と顔を赤らめた。
普通の夫婦の感じではないセリフの応酬もあるとのことで、三宅は「結構ぶっ飛んでるんで、どうやって楽しんでそのシーンを二人で作っていくのかっていうのも、稽古の中で生まれるものを一つの楽しみにしたいと思っています」と話す。

そして、寺西も劇団☆新感線初参加。劇団のイメージについては「セットだったり演出や衣装といった目から入る情報がド派手で、歌とかもあってライブ感もすごくてエンタメ感が強いなっていうのがすごく印象としてあります」と話し、戯曲を読んだ感想は「うさん臭さというか、クスッと笑っていただけるようなお芝居ができたらいいなって持っております」とコメント。

12年前に同じ役を演じていた経験者である粟根から新感線初参加のキャストに向けては「大体新感線にゲストの方がたくさん来ていただく時には、一人か二人は何回か新感線を経験したことがある方がいらっしゃることが多くて。新感線流の稽古の進め方、本番のあり方もちょっと変わっているところがあるので、新感線の経験があるゲストの方が初めての方にちょっとアドバイスしたりするっていうシーンがあるんですけれども、今回はお三方とも新感線初参加で、しかも関西弁で全部喋らなければならないという色んな足枷がある中で大変だとは思うんですが、とりあえず頑張ってくださいとしか(笑)」と笑いを誘いながら「初めての方ばかりで初めての挑戦が多いので、割り切ってどーんと身をゆだねていただければ、劇団員ががっちりとフォローいたします」と頼もしさを見せた。

そして、高田が演じるアイ子は嫉妬の炎に身を委ねるような変わった役柄だが、「強すぎる愛情とか嫉妬って笑えるんです。傍から見たらすごく馬鹿馬鹿しかったりするし、でも本人たちはもう大真面目だしっていうところがやっぱり面白いなと思って、そんな風になれば色んな見方ができて楽しいんじゃないかと思います」と語る。
いのうえからは「ごく妻のイメージも持って僕は作ろうと思って、ビジュアル的には完全にそういうシーンもありますから」と見どころを明かした。

新感線について事前に噂を聞いていたりしたか?という問いかけに三宅は「V6だと森田(剛)くんが2作(2005年『荒神~AraJinn~』、2008年いのうえ歌舞伎☆號『IZO』)出演していて、僕もどちらも見てますけど、その時にいのうえさんが手取り足取り演出をしてくれるっていう話だけは聞いていたんで、今回そのいのうえさんの演出を受けられるのはすごく楽しみにしています」といのうえの演出を楽しみにしている様子。
そんな三宅についていのうえは「手ごたえは十分あって、勘もいいと思います。ただ、どうしても段取りを先にがっちり固めるっていうのが新感線の芝居の作り方の特徴なので、そこに自分の情感とかここに動く動機みたいなものを心情的に組み立てていくのはこれからの作業なので。でも大丈夫だと思います。この間、ちょっとかじる程度の稽古でしたけど、いけそうな気がします」といい感触だったと。その言葉に三宅は「いのうえさんみたいな演出スタイルを受けることが初めてなのですごく新鮮で、でもいのうえさんの頭の中を覗き見しているような気持ちになれて面白いです。やっぱり役の方向性を師事してもらえるっていうのは、役をゼロから自分で生み出していくっていう作業よりは、一緒に作っているって感じがしてすごく心強いです」と語った。

劇団☆新感線ならではの稽古だと話す三宅は「毎回必ず15分くらいストレッチをするんですけど、それがいいなって思いました。強制的にやってくださいってことなんで、誰かサボってる人もいないので、そうなると必ずやらなきゃいけないから怪我しづらくなるじゃないですか。各々やってくださいっていうとやらない人も出てくるじゃないですか。それが素晴らしいなと思いました。どの稽古場でもそうしたらいいのにって」と稽古前のストレッチの良さを話し、寺西も「僕も思いました。素敵な試みというか。ストレッチして休憩も入れてくれるので、またスッキリしてできるというか」と続ける。
すると粟根から「でも皆でストレッチしたら自分が一番硬いなと思ったんでしょ?」と暴露。どうやら寺西の身体が硬いようで、「僕おそらく若手の方に入ると思うんですけど、今回の現場で本当に僕が一番開脚が開いてなくて、恥ずかしいから『ちょっと緩めにやってます』みたいな顔して、本当は一番硬いです。優しくしてください」とお願いする一幕が。

そして事務所の先輩・後輩でもあり、役柄でも上司と部下の関係となる三宅と寺西。
三宅との共演に寺西は「役柄的にも兄貴って慕う関係なので、それが素の部分でもできるようになったらいいなっていうのはあります。今はお名前をお呼びしたこともないぐらいなので、緊張しております」と緊張しながら、三宅の印象は「かっこいいしV6さんって本当に同性から見てもかっこいいなと思うグループだったので、最近作品を見させていただいてご一緒出来るのがすごく楽しみです」と語る。

一方の三宅は、以前寺西が出演していたミュージカル作品を見に行っていたということだが「僕覚えてなかったんですけど、見に行ってたみたいです」と記憶が曖昧だったようで、「うちの林翔太と一緒に寺西くんが出てて、僕ジャニーズの人じゃないと思って聞いたらジャニーズの人だっていう話で。『君もジャニーズの人だったんだ』っていうことがあったみたいです」と思い出していた。
さらに三宅から「僕も硬いんですよ……」と身体の硬さについて告白が。「開脚して皆さんお腹を床にくっつけるんですけど、周りを見渡したら皆ちゃんとペターってなってて、僕はテディベアみたいに身体が起きちゃっててこれ以上行かなくて……。たぶんその後ろにもっと硬い寺西くんが居たんだと思います。柔軟性もどんどん柔らかくできるようにしていきたいです」と目標を明かす。

また、新感線の稽古でのエピソードとして松井が「いのうえさんが動きを付けてくださる時に、代わりに一回動きを演じてくださるんですね。もちろんモナの動きもやってくださるんですけど、もうそれがすごい可愛くて!ちょっとじたばたして地団太踏みながら3歩下がる、みたいなのとかをやってくださるのがもう可愛くて、私にこの可愛さを超えられるだろうかと思いながら、恥ずかしさもあるんですけど、それを打ち破っていかなきゃいけないなと思いながら果敢に挑んでいっています」と明かすと、三宅も「本当に可愛いんですよ、いのうえさんが!本当に皆さんにお見せできないのが悔しいぐらい本当に可愛くて。なんなんですかね、この愛らしさ……」と続ける。
「ひとたびいのうえさんが動き出せばそこはもうお花畑になるみたいな感じがするんですよね」と語る三宅に対して、付き合いの長い高田は「うーん……まあ、ある意味お花畑です。でも多分いのうえさんの理想とする女性像をすごく託したい役柄でもあり存在なんだと思います。だからより力が入っているんだと思います」と苦笑い。

そんな可愛いと絶賛されたいのうえは「(オセロとモナは))ピュアの塊、純愛の塊で両方ともそれで暴走している感じがあるんですね。そこはやりたくて、そこ以外考えてない感じがあります。普通もうちょっと頭のいい人だったらそんなことはしないだろうっていう。だから二人とも純粋に好き好きっていうのがそのまま出ちゃうのが動物的っていうか犬が嬉しいと跳ね回るみたいな、そういう動きになるという」と、自ら解説した。

最後に公演へ向けて一人ずつメッセージ。
いのうえは「12年ぶりですが新感線が久々にやる面白シェイクスピアです。なかなかこういう機会もない女優が大活躍します。新感線は基本的には少年活劇冒険ドラマが多いので、こういう作品はなかなか珍しいと思いますので、ぜひお見逃しなくご期待ください」

青木は「本当に役者さんが全員魅力的に見えるように書かせていただいたつもりです。いのうえさんの演出でさらにすてきな芝居になっていくと思いますので、どうぞ素敵な役者さんをご覧になりに皆さんお越しいただければ幸いです」

松井は「モナというとても大きな愛情を持ったピュアな女性を私も真っ直ぐに演じていきたいなと思います。見に来ていただいたお客様に楽しんでいただけるよう、精一杯頑張りたいなと思います」

粟根は「シェイクスピアの悲劇と聞きますとやはりちょっと足が遠のきがちかと思いますが、いったんその気持ちは忘れてください!もうとにかく悲劇ではあるんですけれども、面白いシーンがいっぱいありますし、歌もありますし、魅力的なゲストをお迎えして、むしろ下品な感じになっているところもあるぐらいの作品になっていますので、どうぞご気軽に劇場にお越しくださいませ」

寺西は「見に来てくださるお客様、作品のファンの方、新感線のファンの方皆さんに『再演もよかったね』って言っていただけるように頑張ります」

高田は「本当に愛に溢れた作品だと思います。溢れすぎてるんだと思います。なので、エンタメの新感線ですけど、エンタメ部分はそのままにドラマの部分もぎゅっと濃厚に楽しんでいただけるように頑張ります」

そして最後に三宅は「初めて劇団☆新感線を見にいらっしゃる方も、そしてずっと劇団☆新感線を見続けているファンの方にも楽しんでもらえるように、稽古、これから日々精進していきたいと思いますので皆さんぜひお越しください」と締めくくった。

2023年劇団☆新感線43周年興行・春公演 Shinkansen faces Shakespeare『ミナト町純情オセロ ~月がとっても慕情篇』は、3月10日(金)から3月28日(火)まで東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、4月13日(木)から5月1日(月)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて上演される。

<あらすじ>
復興と共に新たな混沌が生まれつつあった1950年代の日本。
シノギの世界でも血で血を洗う争いの末、新たな勢力がのし上がりつつあった!
その中の一つが、関西の港町・神部をシマに戦後の混乱の中で勢力を拡大した沙鷗組である!その中心にはブラジルの血を引く若頭筆頭、亜牟蘭オセロ(三宅健)がいた。
図抜けた腕っぷしと度胸を武器に、若頭補佐の汐見丈(寺西拓人)とシマを広げてきたオセロ。しかし、四国の新興ヤクザ観音組に組長を射殺された現場で、オセロはその場に居合わせた町医者の娘、村坂モナ(松井玲奈)に惚れ、組を抜けてカタギになることを決意。
これが「オセロを二代目組長に」と考えていた、先代組長の未亡人アイ子(高田聖子)の恨みを買う!アイ子はモナに横恋慕する市議会議員の三ノ宮一郎(粟根まこと)も利用して、裏切り者オセロを地獄に突き落とすと心に決める……。
襲名辞退を知った沙鷗組の上部組織・赤穂組は、四国から船で来襲する観音組を倒すことを条件にオセロの足抜けを認める。そこでオセロは瀬戸内の漁師を束ねる顔役に力を借りて、観音組を海上で迎撃!作戦は見事に的中して観音組は壊滅に追い込まれた!
だが、アイ子の奸計によって、オセロは次第に友や恋人に対する嫉妬、そして不信の心を掻き立てられていく。その渦は周囲の人々を巻き込み、逃れることのできない悲劇へと誘うのだった。

撮影:田中亜紀