【作品概要】
綿子と夫・文則の関係は冷め切っていた。綿子は友人の紹介で知り合った木村とも頻繁に会うようになっていたが、あるとき綿子と木村の関係を揺るがす決定的な出来事が起こってしまう。平穏に見えた日常の歯車が、徐々に狂い始める――過去を振り返るうち、綿子は夫や周囲の人々、そして自分自身と向き合っていくことになる。

本作を監督するのは、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞、『ドードーが落下する』で第67回岸田國士戯曲賞を受賞するなど演劇界で注目を集め、本作がオリジナル脚本・長編監督映画2作目となる加藤拓也。
主演・綿子役を務めるのは、『愛の渦』(14)での演技が評価されTAMA映画賞最優秀新進女優賞、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞を受賞、『二重生活』(16)で映画初主演を果たした門脇麦。
さらに綿子の夫・文則役に・田村健太郎、その存在が大きな転回点となる男・木村役を染谷将太、綿子の親友・英梨役を黒木華と豪華キャスト陣が本作を彩る。

主演を務める門脇は本作について「この物語は1人の女性のとある時期の点と線を描いた物語です。物語というより観察、記録、にも近い感触が残るのではないかと思います。」と語り、「映画のメッセージも答えも全て観てくださる方に委ねられている作品です。是非劇場に足をお運びください」と呼びかけた。

<キャスト&監督コメント>
■門脇麦(綿子役)

人生には誰しも何かを選択せねばならない瞬間が何回かあって、その瞬間は点でもさまざまな過程が入り混じった線があるからこその今に至る、その繰り返しが人生なのだと思います。この物語は1人の女性のとある時期の点と線を描いた物語です。物語というより観察、記録、にも近い感触が残るのではないかと思います。
映画のメッセージも答えも全て観てくださる方に委ねられている作品です。是非劇場に足をお運びください。

■田村健太郎(文則役)

目の前には門脇さん演じる綿子がいて、ガラス細工のような台本があって、「やってみましょう」と加藤監督がポツリと言って始まり、役者、照明、撮影の歯車を変えてもう一度やってみる。その繰り返しでした。
そうやって静かに淡々とひとつに向かう、皆が職人のような、工房のような現場でした。とても幸せでした。
組み上がったものを思い出すと、人間を不思議に思ったり、生々しさに後ろめたくなったり、また雲間からのぞく三日月みたいな業に不覚にも見とれてしまう瞬間もあったりで…この作品に今だに掻き乱されてます!

■染谷将太(木村役)

自分を見つめる事ほど難しい事はありません、様々な関係性の視線の先に自分が居るとするならば、自意識も1つの視線でしかない、綿子が1歩踏み出した自分を求める旅路を加藤監督は細部まで見事に映画に落とし込んでいて圧巻でした。
加藤監督の書くセリフはとても繊細な言葉達で、会話を作り上げるのがとても楽しい作業でした。
皆様にはスクリーンであの緊張と緩和の空気に揺さぶられて欲しいと願っております。

■黒木華(英梨役)

加藤さん演出の舞台に出演させていただいてから、この人とは必ずもう一度仕事をしたい、と思っていました。それからあまり日を待たず、今度は映画という場でご一緒することができ、大変嬉しく思います。
「ほつれる」という単語を皆さんがどう捉えられるか、映画を見ていただけるのが楽しみです。

■加藤拓也監督
この作品では当事者性を感じることができない、またはしないで、向き合うことを諦めているある一人のもつれが描かれています。それが小さなことから大きなことまで、いかに繰り返されているのかということが、私にとって二本目の映画になりました。