「近代演劇の父」と称されているノルウエーの劇作家ヘンリック・イプセンは、世界中で今もなお上演され続けている『ペール・ギュント』『人形の家』『野鴨』『ヘッダ・カブラー』など、現代を生きる私たちの心にも訴えかける名作を数多く世に残している。
1886年に書かれた『ロスメルスホルム』は、古く凝り固まった時代から新しく解放されつつある時代の中、保守的な思想と進歩的な思想の人々との対立を、緊張感のある心理描写で描いた人間ドラマ。
この、イプセンの作品の中で最も複雑で多面的な演劇という評価がある一方、最高傑作のひとつともいわれる本作品を、2019年読売演劇賞大賞・最優秀演出家賞に輝いた日本演劇界の巨匠・栗山民也が手掛ける。

主演のヨハネス・ロスメルを演じるのは森田剛。ヒロインのレベッカに三浦透子。共演には、浅野雅博、谷田歩、櫻井章喜、梅沢昌代と確かな演技力を持つ俳優が顔を揃えた。

完成した公演ビジュアルは、全体の色味は水をイメージさせるひんやりした青味、そして部屋を照らすのは窓からの光のみ。窓の向こうには物語の鍵となる水車、そして代々続く保守的な家の閉塞感と冷たい雰囲気をドラマチックに表現している。

ロスメルとレベッカの本当の関係にはいったいどのような感情が隠されているのか……ロスメルスホルム(ロスメル家)で繰り広げられる奥深い人間ドラマに期待が高まる。

『ロスメルスホルム』は、10月に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて、その後11月に福岡、兵庫、東京にて上演される。