原作『浅草キッド』(講談社刊)は、ビートたけしが芸人として一世を風靡し、映画監督として世界中に名を轟かせるよりはるか昔、まだ何者でもなかった青年時代のとある夏に、のちの人生を決定づける師匠・深見千三郎と出会い、苦楽を共にした芸人仲間や、たくましく生きるストリッパーたちと過ごした日々を描いた青春自伝小説。
過去にドラマ・映画化されてきた本作が、ビートたけし作詞・作曲による名曲「浅草キッド」と共に音楽劇として初の舞台化。
舞台版では、ビートたけし自らが原点と語る、浅草・フランス座で下積み生活を過ごした青春時代、芸人・ビートたけしの誕生と笑いにかけた芸人たちの生き様を描く。

脚本・演出を務めるのは、演劇界のみならず映像の世界でも時代を牽引する福原充則。福原ならではの、深い人間洞察力、観る者の胸を強く打つ詩的な台詞や、大胆な想像力と演出力に加えて、メインテーマ「浅草キッド」や本作オリジナルの楽曲により、芸に生きようとする人々の心情を音楽劇としてより濃く表現する。

主演・北野武役を務めるのは、映画・ドラマで多くの話題作に出演し、繊細な役どころから狂気を秘めた役どころまで演じ分ける振り幅の広い役作りに定評のある林遣都。そして、青年・武の人生を決定づける師匠・深見千三郎を務めるのは、ミュージカルをはじめドラマ・映画で活躍し、確かな歌唱力とダンスの実力を兼ね備える山本耕史。
共演は、武の先輩芸人で裏の顔を持つ高山三太に松下優也、上昇志向が強いが憎めない性格でのちのビートきよしとなる兼子二郎に今野浩喜、後輩芸人でコンビを組むも武へのコンプレックスから次第に悲劇へ突き進むことになるマーキーに稲葉友、作家志望でフランス座の人々を俯瞰で見守る井上に森永悠希、人情味溢れる深見の妻・志の川亜矢に紺野まひる、武が深見に弟子入りするきっかけを作るフランス座のチケット売り場で働く塚原にあめくみちこと、豪華出演者が結集。

音楽劇『浅草キッド』は、10月8日(日)から22日(日)まで東京・明治座にて上演され、その後10月30日(月)から11月5日(日)まで大阪・新歌舞伎座、11月25日(土)・26日(日)に名古屋・愛知県芸術劇場 大ホールで上演される。

<物語>
ある夏の浅草。大学中退後、ふらふらと街を彷徨う、まだ何者でもない青年・北野武は、流れ着いたストリップ小屋・フランス座で働くことになる。ステージの責任者である深見千三郎師匠に弟子入りした武は、芸人仲間と苦楽を共にし、力強く生きるストリッパーや浅草の人々と交流しながら、芸の道で生きていく覚悟を決める。
深見師匠のもとで修業を続ける武は、時代の変化に逆らえず苦境に立たされるも、ある決断をきっかけに大きく風向きが変わる。やがて、武が芸人として一世を風靡する一方、師匠の深見は・・・