
原作は、上野瞭の「ひげよ、さらば」(初版1982年理論社より出版)。1983年に第23回日本児童文学者協会賞を受賞、1984年から1985年にかけてNHKで人形劇が放送された人気作。
物語は、記憶をなくした猫「ヨゴロウザ」がとある峠で野良の隻眼の猫「片目」と出会うところから始まり、そこから始まる愛と裏切りの物語を、猫たちを擬人化して描き出す。
脚本・演出を手掛けるのは、物語の名手とも言われる蓬莱竜太。近年は映像作品において監督を務めるなど表現の幅を広げ、物語の名手とも言われる蓬莱が描きだす本作を音楽で彩るのは、映画・ドラマ・舞台・CMなどの作曲・音楽監督を務め、その作品は国内外において数々の賞を受賞している稲本響。現在放映中のNHK大河ドラマ『どうする家康』でも音楽を担当する稲本が、 このドラマティックな物語にさらに華を添える。
本作の主人公、記憶のない猫「ヨゴロウザ」には、2021年の『ウェンディ&ピーターパン』以来、2年ぶりの舞台出演となる中島裕翔。峠に住む隻眼のアウトローで、孤立しつつも皆から一目置かれている「片目」には、独特の存在感と演技力で異彩を放つ柄本時生。臆病な性格で、その場その場で誰の下について生きればいいのかを判断する「学者猫」には音月桂。猫特有の奔放さを体現する「オトシダネ」に忍成修吾。冷静沈着、頭が切れて非道な犬「ナキワスレ」は石田佳央。縄張り意識の強い猫「黒ひげ」には一ノ瀬ワタル。人間の世界に憧れている猫「星からきた猫」には屋比久知奈。マタタビのやりすぎでいつも酔っ払っているような老猫「くずれ猫」には中村梅雀と、個性豊かな面々がリアルな人間ドラマを届ける。
解禁されたメインビジュアルは、野良犬たちとの闘争、他者との関わり、集団の中の個、個の中の集団、リーダーの苦悩、共依存と愛憎、生きること死ぬこと…人間社会に混在する様々な問題を表現するダークな雰囲気でありながら、それらを乗り越えた先に見えるかすかな希望も感じさせる仕上がりとなった。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ひげよ、さらば』は、2023年9月9日(土)から30日(土)まで東京・PARCO劇場、2023年10月4日(水)から9日(月・祝)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演される。