本作は、1960年代のロンドンを舞台に誰もが経験するティーンエイジャーの恋の駆け引きや悩み、葛藤を描くミュージカルで、土曜日の夜に巻き起こる一夜の出来事を30曲を超えるロックンロールにのせて送る。世界中で300回以上上演され、9か国語以上の言語で翻訳されるほどの人気を博し、多くの人を魅了し続けている。

日本では92,93年の上演以来約30年ぶりの上演となり、大人には懐かしさを、若者には新鮮さを感じさせる作品として新たに誕生する。
演出は、近年話題の2.5次元公演やストレートプレイ、さらにブロードウェイ・ミュージカルまで様々なジャンルの作品を手掛け、その場に立つ俳優の実感を、空間演出により最大限に引き出す手法に定評がある元吉庸泰が務める。

公演初日に先駆け公開ゲネプロと取材会が行われ、取材会にはキャスト11名が出席。

シャイで無邪気だが、魅力的な主人公・リックを演じる河下楽は、「始まる前は心臓が爆発するぐらい緊張すると思うんですけど、ほんまに素敵な共演者さんたち、演出家さん、スタッフさんたちと作り上げたこの最高の作品を信じて挑みたいと思います。どうか応援よろしくお願いします!」と緊張を覗かせながらも意気込んだ。

リックが憧れるイケメンで自信家だがいざとなると臆病なゲリー役の神里優希は「ようやく本番の日が来たなっていう感じで、めちゃくちゃ楽しい気持ちでいっぱいです。というのもやっぱり今回は客席、いや、劇場全体がステージになっていますので、皆さんと一緒に楽しい空間を過ごしていきたいと思っていますし、僕としては二人のスーがいらっしゃるので、皆さんにたくさん見に来ていただけたらなと思います」と、作品の特徴にも触れる。

チンピラだが目を離せない魅力の持ち主であるエディ役の一色洋平は「この作品は本当にお客様がいないと完成しないというか、お客様がいないときつい!だから今日(の公開ゲネプロ)は本当にありがたかったです!僕は多分この作品の本当の楽しさはまだ知らないんだろうなって思っています。ステージ数も結構ありますので、ぜひともこの作品を一緒に育てていくというような気持ちも含めて、この『CLUB A Go-Go』でお待ちできたらと思います」と期待を寄せた。

テリー役の石川新太は「こんなに早くお客様が入ってほしい、早く初日の幕があいてほしいと思うこともなかなかないなという感じなんですけども、皆さんが言っている通りお客さんありきのこの作品、お客さんが入っての化学反応がどうなるのかとっても楽しみです。頑張ります」とコメント。

自分に自信がなくコンプレックスを持つスーを演じる黒沢ともよは「結構振り切った役なので、思いっきり楽しんでできたらいいなと思っていますし、共感してくれる側面がある皆のためにも、丁寧に大切に演じていきたいと思います。超楽しみです!」と元気に語った。

そんな黒沢とWキャストのダンドイ舞莉花は「私は明日が初日になるんですけど、今日の初日も見させていただくことになっているのですごく楽しみで、ダブルキャストならではの演じることはもちろん、見ることもできるっていう両方の楽しみを味わうことができて。本当に毎日楽しくて、今日の初日も客席でぶち上ろうと思います!」と笑顔を見せる。

かわいらしく恥ずかしがり屋のシャロン役の熊谷彩春は「こんなにお客さんと一緒に作っていく作品に出演したことがないので、本当にアトラクションみたいな感覚で楽しんでいただけたらなと思っております。そして個性豊かなキャラクターたちがいっぱい出てくるので、この人、この人、ってフォーカスを置いて感情移入して見ていただけたら楽しいんじゃないかなって思います。お待ちしております。頑張ります」と呼びかける。

男子に人気があり女子のリーダー的存在のブリジット役の高田夏帆は「この時代に、コンプライアンスをフル無視のミュージカルは本当に大胆で自由で、こういう作品こそもっともっとたくさん出るべきだなって思っていたので、ここから皆さんの目に留まって、どういう反響があるのかというのがすごく楽しみです。私は初ミュージカルなので、ブリジットとしても私としても、ここに立って皆を感じながら楽しめたらいいなと、頑張っていきたいと思ってます!頑張ります!」と力強く語る。

生意気だが誰よりもセクシーで物知りのペニー役の田野優花は、「こんなミュージカルは見たこともないし、こんなミュージカルがあったんだなって感じたことも今まで生きてきてなかったので、そんなミュージカルに出られて本当に光栄に思います。皆さんの仲が本当に良くて、もうがっくん(河下)が本当に愛されるキャラクターで、スタッフさんからも共演者の皆からも愛される素敵な人柄なので、この作品の良さを皆さんに伝えて、皆さんも全然ふざけてもらっていいので、楽な気持ちで楽しんでいただけたらなと思います」と述べた。

そして日本にタップダンスを広めた第一人者でもあり、振付だけでなく自身も俳優として活躍しているHideboHは常連客のボビーを演じる。「アトラクションとか自由っていう言葉が出てるんですけどこれは本当に珍しい形だと思っていて。そして本当に出演者の皆のムードが良いですから。僕と慈英さんが世代は離れておりますけど、それを全く感じないで、楽しく苦労なくやらせていただいています」とコメント。

92,93年の上演時にも出演しており今もなお第一線で活躍する川平慈英が、ティーンエイジャーたちを見守るクラブのオーナー・エリック役。「若人の中に初老が混じってて、でも一番楽しんでるのは僕たちではないのかっていうぐらい、ものすごくハートフルなキャストに恵まれて本当に感謝しています」と話し、「今も自粛とか規制だらけの社会で、生きるのに大変な毎日なんですけど、ここ『CLUB A Go-Go』はそんなの一切ありません!気が付いたらあなたが私たちのメンバーになってるかもしれません。ですからここにいらして、日頃のストレスや溜まったものを全部私たちが出させてあげますから。ぜひ一人でも多く『CLUB A Go-Go』に足を運んでください。素敵な仲間がお待ちしております」と呼びかける。

本作がミュージカル初主演となる河下。稽古の感想を聞かれると「まず稽古が始まった時に、皆、歌もお芝居もダンスも上手すぎて、ついていくのにすごい必死やったんですけど、でもそうやって悩むたびに演出の方や共演者の方が助けてくれて、僕が主演で良かったっていう言葉まで何回もいただいたりして、それで今ではこんなにすっかり馴染むことができて、本当にありがとうございます!」という謙虚な姿勢に、周りから「抱きしめてたくなるね!」という声が上がる。
劇場に入った感想は「バンドの音が心臓に響くぐらい迫力があるので、自分もすごく心が躍ります」と笑顔を見せた。

見どころを聞かれた川平は「全部でしょう」と即答。「でもやっぱりエリックとシャロンのシーンは……」と話し出すも自身の役名と河下の役名を間違えるハプニングがあり、共演者から総ツッコミが。
仕切り直して「リックとシャロンのラブシーンというか、これは本当に胸キュンで、袖でも皆ががウワー!って。皆さんが忘れかけた胸キュンを思い出すためにも、ぜひこの二人の素晴らしいシーン、そして皆のエネルギッシュな生き様っていう言葉がキーワードだと思います。若かろうが年寄りだろうが、生きるエネルギーに溢れたナンバーばかりなので、一曲一曲に心躍るシーンになります」と見どころをアピール。さらに、「あとはボビーの飛び道具!ものすごいタップシーンがあります。これは初演ではありませんでした。1964年の話なんですけど、演出家の元吉さんが総合芸術として素晴らしい色んな仕掛けが出てきますので、色んな角度で楽しめます」と、初演とはまた違った演出になっていると明かした。

若いキャストとの共演について、HideboHは「若さは保っているつもりなのでそこのジェネレーションギャップは全然なかったんですけど」と笑いを誘いながら、「歌をここまで色々やらえてもらえるという機会が少ないのと、今回実はタップもすごく意味のある、生き様というかこの時代背景とその気持ちをタップとして表現するのをやらせてもらってるんですね。30年前にはそのタップダンスというシーンは入っていないですし、慈英さんから当時の話をたくさん聞きながら、本当に歴史のある作品なので。でも真面目な話、この時代に色々ダメなこと、気をつけなきゃいけない、気にばっかして生きているわけなんですけども、この作品は良い意味で風刺にもなっているんじゃないかなと、ある意味強い素敵なメッセージだと思っております。苦労は全く無くですね、僕は今この舞台では20代のつもりでやってますから」とコメント。

そして、稽古中の印象的なエピソードについての質問が。
キャストから話を振られた一色が「(セットの)一番高いところから飛ぶはずだったんですけど、ステージ数もあるからちょっとそれはってことで、経由したジャンプを披露しているんですけど」と話し出すと「靴もすぐ壊しちゃうんだもんね?」という声が。「靴も衣装さんからいただいて1日で壊してしまいまして、新しいのをもらったらそれも壊してしまって。ごめんなさい、って謝った経緯があります」と明かす。

続けて「でも僕が印象的なのはやっぱり……がっくんの芝居は誰も真似できないなって!「あ、はい」っていうセリフが3回繰り返されるんですけど、全部ニュアンスが違くて!「あ、はい」でこれだけニュアンス違く言えるのって無いなと思って」と称賛すると、「ありがとうございます」と嬉しそうに答える河下。
「芝居してる時何を考えてる?」と聞かれた河下からは「焦ってます。シャロンに対して焦ってます」とピュアな反応が。そんな河下の答えに、「ナチュラルだよね。それがリックなんだよな〜」と納得する川平。
シャロンとして河下と芝居をするシーンも多い熊谷は「毎回素でポーンと返ってくるから、お芝居をしていて自分もシャロンとしてなのかリアルなのか分からないくらい、まんまリックなので、やっててすごく毎日楽しいです」と共演シーンを振り返り、その言葉に「ありがとうございます!そんな褒めていただいて光栄です」と恐縮しっぱなしの河下だった。

さらに黒沢から「ずっと舞台上に居続けることが一幕は多くて、それは稽古しながら段々決まっていったことだったんですけど、その時にいつ飲み物を飲めるんだろう?ってなって。じゃあ本当にバーカウンターで飲んじゃおうよ!ってことになって、今は本当に飲みながら演じさせていただいているんですけど、そうすると今度は誰がどのグラスか分からなくなって大変だったので、どうしようかなって言っていたらなんと、ラベルにそれぞれの役名がこっそり忍ばせてある小道具を作ってくださいました」と小道具についての裏話が。
「中身はお水ですよね?」という確認に、「もちろんです!」と声が上がる中、「たまにヘパリーゼが入ってます」と川平が冗談を言う場面もあった。
そう言ったスタッフの心遣いに対して川平は「本当にスタッフにも本当に感謝です。一枚一枚貼ってくれて、袖でスタンバイしてくれたり。落書きも塗ってくれたしカウンターも移動するし、もう頭が上がらないですね。世界一のスタッフです」と感謝を述べた。

最後に代表して河下が「見に来てくださる方には絶対後悔させない自信があるので!ぜひ足を運んでくだされば、絶対に楽しませますのでよろしくお願いします!」とメッセージを送り、「抱きしめ合おう!」と言う川平からの提案でぎゅっと固まり笑顔を見せ、取材会を締め括った。

ミュージカル『スライス・オブ・サタデーナイト』は、11月3日(金・祝)から19日(日)まで東京・有楽町よみうりホール、11月21日(火)から23 日(木・祝)まで大阪・松下IMPホール、11月28日(火)・29日(水)に仙台・電力ホールにて上演される。

<あらすじ>
イギリスのとある地方都市のサタデーナイト。
地元の人気店『CLUB A Go-Go』は人生の学校、青春の世界。ティーンたちが集い社会のすべてを知る為に学ぶ場所。
無邪気なリックと優しいシャロン。シャイな二人は互いに好き合っているのに恥ずかしくて言い出せない。
気弱なスーは崇拝しているゲリーと付き合っている。
けれどハンサムで自信家のゲリーはセクシーで魅力的なペニーや他の女の子にもちょっかいを出す。
男の子たちは、粋がっているエディに、クールなリーダー格の女子ブリジットを閉店までに口説き落とせと挑発している。
個性豊かなティーンエイジャーたちが織りなすロマンスや葛藤をクラブオーナーのエリックは揶揄いつつも励まし、見守っている。まるで家族のように。
1960 年代ティーンズのファッションと彼らを取り巻く様々な青い体験をネオノストラジックな 30 曲超のナンバーに乗せてお贈りします。
さあ!土曜の夜は『CLUB A Go-Go』へ!!