
「HERO」「アンフェア」などの大ヒット作を次々と生みだす秦建日子が23年に発表した小説『Change the World』(河出書房新社刊)は、『サイレント・トーキョー』のタイトルで映画化もされ話題となった『And so this is Xmas』の続編で、三部作構成の二作目となる。
今回秦自らが脚本を書き下ろし、過去に何度もタッグを組んでいるAsk主催により、最速で舞台化。演出は、演劇プロデュースユニット、Moratorium Pantsの主宰、橋本昭博が務め、初顔合わせとなる秦×橋本が化学反応を起こす。
とある大事件が起きた『And so this is Xmas』で描かれた世界から二年後の東京。すでに二年前の大惨事を忘れたかのような日々を送る人々と、それに怒りをもおぼえる二年前の事件の担当刑事たちが、新たな事件に巻き込まれる様を描く。
事件から二年後、新たな相棒と共に不可解な事件の連鎖に巻き込まれていく主人公のベテラン刑事を演じるのは、秦作品に共鳴し出演を決めた松岡充。
さらに、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、剛力彩芽、日向野祥、福圓美里、田中尚輝、塚本凌生、渡辺みり愛、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、大林素子、金子昇ら豪華キャストが集結。総勢27名で誰にでも起こりうる社会派ミステリ作品を創り上げる。
公演初日を翌日に控え、公開ゲネプロ及び取材会を開催され、松岡充、辰巳雄大、剛力彩芽、大林素子、金子昇、原作・脚本の秦建日子が出席。
主演の松岡演じる世田の相棒である天羽史を演じる剛力は、秦作品出演の経験もあるが「今回は舞台は難しい、天羽という女の子は見た目がこれですから、どんなキャラクターなんだろうって、正直最後の最後まで掴み切れない部分がたくさんあって」と役を捉えることに苦戦したと話し、「でも今日やらせていただいて本当に私も一つ何か掴んだ気がするような、ただやっぱり難しいなと思いながらも、お客さんに届けるというのは一つの目的というか、お客さんにも届けないとと思いながら、私自身も心の中で色々なことを考えながら思いながら、皆さんに届くように一生懸命やりたいと思います」と気合を入れる。
刑事でありながらピンク色の髪が特徴的だが、これについては「今は地毛です!染めてエクステを付けています」と話し、「実は最初はウィッグだったんですけど、やっぱり天羽史という女の子を生きていく中で、やっぱり染めたいなっていう……すごい後付けみたいな感じになっちゃうんですけど、本当は染める理由が欲しかったってだけで(笑)」とニヤリ。
すると松岡が「2回ぐらいブリーチして真っ白にしてやるっていうことは、女性にとって髪の毛って命じゃないですか。ましてや女優さんで、あんなにインスタがアップされてネットニュースにも毎日出てますから。その人がこの舞台のために、ここまでやるのは俺はすごい感動しました」と称賛。剛力も「史ちゃんはこの色にして正解です」と手ごたえがあった様子だった。
続けて、世田の元相棒・泉大輝を演じる辰巳は「地毛です!」と自身の髪の毛を指して、松岡も「このためにブリーチしてね?」と乗っかり、「真っ白にして、さらに黒にしました!バッチリ切らせていただきました!」と笑いを誘う。
自身の役について、「前作で世田の相棒で、その時に起こったテロ事件の被害者の一人で、この作品をやるにあたって泉が抱えている問題をリアルに感じるために色々勉強させていただく中で、自分の中にも怖さもたくさん抱えている状況と言いますか。泉が抱えているものはすごく大きなものがあるので、そこはしっかり心に沁み込んで今ここに立てている実感があります」と語る。どのような勉強をしたのか問われると「適切な表現が難しいんですけど、動画を色々漁ったり、テロの資料を読み漁ったり、そういう現場に居らっしゃった方が何を抱えていらっしゃるか、様々なインタビューなどの文を見ながら、泉が体験した事件に近い体験をされた方もたくさんいらっしゃるので、そういうものを見て、本の中だけではない部分は勉強しました」と役への理解を深めていったとのこと。
辰己は松岡とは本作が初共演となるが、「僕自身、高校時代に全くお仕事がない時代があるんですけど、その時にサッカー部で全国高校サッカー選手権を目指すサッカー選手だったんですけど、その時に充アニキのSOPHIAさんの『理由なきNew Days』って曲が全国高校サッカー選手権のテーマソングだったんです。未だに高校のサッカー部の仲間と会うとカラオケで歌うんですよ!なのでその時からもちろん意識していますし、僕の後輩ともたくさん共演されていらっしゃったので、嬉しかったです」と喜びを明かすと、松岡から「たまに歌ってくれるんですけど歌詞全然間違えてます」と暴露され、「いやいやいや!歌いましょうか!?」と焦り、さらに松岡から「後輩の(中山)優馬くんと共演させていただいて、実は(辰己が)見に来てくれるんですけど、この顔合わせの時に『初めまして』って言われました」とバラされる。
しかし、二人の仲は深まっているようで「でも僕はコルベットの助手席にも乗せていただきました。最高でした。レインボーブリッジを二人で渡りました。オープンにしていただいて」と自慢げに話す辰己だった。
稽古場でのエピソードで「ただ、稽古場では充アニキと剛力さんがすごい話し合いを重ねているのを後ろの席で嫉妬しながら見てました。どんどん相棒感が強まっていくので、元相棒としてはものすごく嫉妬心が芽生えてきたので、僕的には『And so this is Xmas』を同じメンバーで……」と松岡と剛力の姿に嫉妬した辰巳が願望を話すと、『And so this is Xmas』に天羽が出演していないため剛力から「ちょっと!」とツッコミが入る。
すると、辰巳は「2作同時上演で!お昼は『And so this is Xmas』、夜は『Change the World』で!」と打開策を提案する一幕があった。
舞台『Change the World』は、2024年6月8日(土)から16日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて全11公演上演される。