
『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)、『未来のミライ』(18)、そして『竜とそばかすの姫』(21)。これまでに国内の数々の賞に輝きし、『未来のミライ』では日本を飛び出し、アニー賞受賞、米国アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネート。『竜とそばかすの姫』では、世界最高峰の権威を誇る第74回カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクション「カンヌ・プルミエール」部門に正式招待されるなど、今や日本のみならず世界中の観客を魅了し続けているアニメーション映画監督・細田守。
最新作となる『果てしなきスカーレット』は2024年末に行われた製作発表会見での情報解禁、先日解禁されたティザービジュアルや特報映像から、今までのスタジオ地図・細田作品とは明らかに異なる主人公の設定や壮大な世界観が話題となった。
今作で細田監督が描くテーマは、“生きる”。「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」という細田監督の想いから始まった本作は、主人公の王女・スカーレットが父の復讐に失敗するも、“死者の国”で再び、宿敵に復讐を果たそうとする物語。『時をかける少女』から19年が経ち、これまでのスタジオ地図・細田守監督作品のイメージを覆す衝撃の最新作が、2025年11月21日(金)に日本で公開!さらに12月12日(金)よりアメリカにて劇場公開される!
主人公・【スカーレット】を演じるのは、多数の映画・ドラマに出演し、その圧倒的な演技力で多くの人々を魅了している芦田愛菜。2012年には「第54回ブルーリボン賞 新人賞」を史上最年少で受賞し、近年では、興行収入62億円を突破し、大ヒットとなった映画『はたらく細胞』(24)で第48回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞したことも記憶に新しい。また、その活躍は実写映画に留まらず、『怪盗グルー』シリーズ(10‐17)や『映画 えんとつ町のプペル』(20)など数々のアニメ作品に声でも出演。そんな芦田が、果てしなき復讐劇に身を投じる中世の王女・スカーレットを演じる。
スカーレットは元々、戦いよりも平和を望む父親を尊敬する心優しき王女でしたが、父親を目の前で殺されたことから、復讐に取りつかれていく狂気を常にはらんだ役どころ。今までの芦田のイメージにはない役柄で、復讐相手に怒りを露わにし、アクションシーンでは声を張り上げたかと思えば、自身の復讐心に対して苦悩する…感情の起伏が激しく、同時に繊細さも求められる難しい役どころです。また、スカーレットの子ども時代のシーンもあり、子ども時代と19歳のスカーレットを当時19歳で同い年の芦田が豊かな声色で演じ分けました。
本作での芦田について細田監督は「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。凄まじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身悶えするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです。」と絶賛した。
一方、芦田演じるスカーレットと旅を共にする心優しい看護師・【聖(ひじり)】の声を担当するのは、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)で「第35回 高崎映画祭 最優秀助演俳優賞」と「2021年度 全国映連賞 男優賞」、『ラストマイル』(24)で「第48回日本アカデミー賞優秀助演男優賞」を受賞するなど、数々の話題作に出演し、その度に高い演技力が話題となる岡田将生。岡田は本作にて、長編アニメ作品初挑戦となる。
岡田が演じる聖は、現代日本で日々命と向き合う生活を送っている看護師。ある日、“死者の国”で目を覚まし、そこでボロボロに傷ついたスカーレットに出会います。傷ついた人を癒すことを使命としている聖は、スカーレットに何の見返りもなく手を差し伸べます。そんな聖に対し、スカーレットは反発するも次第にその関係にも変化が…。なぜ自分が“死者の国”に迷い込んだのか分からないままスカーレットの旅を支え、バディとなる重要なキャラクターだ。
岡田はドラマ「トラベルナース」(22-24)でも看護師役を演じており、アフレコ時には「いろんな仕事が地続きに繋がって(その経験が)生きていることを実感しています。」と感慨深く振り返っていました。また、穏やかで優しい声も看護師である聖の役柄が滲み出ており、細田監督は「岡田さんは、演技が上手くて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました。」と聖というキャラクターを作り上げるのに、岡田の存在が大きかったことを語っている。
芦田と岡田は共に、細田作品は初の挑戦。そんな2人は、映画『星の子』(20)から5年ぶりの共演で、当時の舞台挨拶で芦田は岡田と「次は仲の良い役で共演したい」と話していた。

今作では細田作品初の試みとなる、プレスコアリング(以下、プレスコ)という収録方法で制作。プレスコとは、まだ映像ができていない段階で、キャストの声を先に収録し、その声に対してアニメーションを制作していくという手法。キャストによる声の演技を聞いて、制作側が後からアニメーション表現を組み立てるため、いわば実写作品と同じような作り方となる。芦田と岡田は1年前にプレスコし、今回改めて、シーンにあわせてアフレコ。実はプレスコはそれぞれでの収録だったが、アフレコでは芦田と岡田が一緒に収録することになり、芦田は「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています。」と語り、岡田は「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています。」と語っていた。

また、血に染まるスカーレットが衝撃的だったティザービジュアルとは一転、今回解禁となったのは幻想的な空間の中、聖に支えられながら剣を構えるスカーレットの姿。そして、本ビジュアルにて、岡田演じる聖のキャラクタービジュアルが初解禁された。看護師のユニフォームを着て、救命バッグと弓矢を背負う聖。2人は“死者の国”でどのように出会い、旅をし、支え合うまでの仲になるのか・・・。
“死者の国”で力を合わせ、2人がたどり着く復讐劇の先にあるのは“見果てぬ場所”という希望なのか――
いまだすべてを語られていない物語世界へ想像を掻き立て、新たな細田作品の世界観を表すビジュアルが完成した!
<コメント>
■芦田愛菜/スカーレット
スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。
監督から「現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました。
スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、愛おしく、まっすぐ駆けていく姿は、観てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。
混沌とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。
■岡田将生/聖
長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。色々なアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。
僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘(さや)のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか…感じ取っていただけたら嬉しいです。
細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことは嬉しくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で観たかった…と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。
いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんも是非、楽しみにお待ちください。