
本作は人気劇団・ヨーロッパ企画と下北沢にある映画館・トリウッドがタッグを組んだ『ドロステのはてで僕ら』(20)、『リバー、流れないでよ』(23)に続くオリジナル長編映画。数々の話題作で脚本を務めてきたヨーロッパ企画代表の上田誠が本作で満を持しての監督デビューを果たす。上田監督が“一角コメディ”と名付けた本作の舞台は下北沢にある実在のビル「シェルボ下北沢」。その2階に入る映画館・トリウッドを中心に描かれる物語。W主演として劇作家のマドカを伊藤万理華、バンドマンのカズマを井之脇海が演じる。

初日を迎えたこの日の舞台挨拶では舞台となった映画館『トリウッド』の座席をモチーフに黄色をワンポイントに入れた衣装で登場したキャスト陣。伊藤は黄色いボトムとバッジを身に着け「みんなで黄色揃えて」とニッコリ、その中でもバッジは劇中でTシャツのデザインも担当しているファッションデザイナーの友人からこの日のために作ってもらったそうで「今回のために作ってくれました!実は隠し暗号をまんま刺繍した」とバッジに書かれた英文をアピールした。黄色で揃えて良いチームワークを見せたはずだったが、その横で全身シックなジャケットスタイルに身を包む井之脇。伊藤が「どこに黄色があるんですか?」と注意すると、井之脇はズボンをたくし上げ「30になったので大人にさらっといこうと思いまして」と黄色い靴下をドヤ顔でみせる。その姿に伊藤は「なんで隠すの!なんで隠すの!」と呆れたように叫んでいた。

今作で上田とはドラマ『時をかけるな、恋人たち』、舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』に続く3度目のタッグとなる伊藤。舞台中に今回の脚本を読んだそうで「文字だけでも面白かった」と初めて読んだときの印象を語る。続けて台本には1ページ目にルールが書いてあったことを明かし「台本にルールが書いてあるということは結構頭使わなきゃいけないし難しいんだろうなと思った。自分が台本で読んだ時の新鮮な笑いをそのままスクリーンで表現できるか」と不安を吐露しつつも、「無事楽しく、スタッフさんも頑張って構造を理解していただいたおかげでスムーズに撮れた気がして楽しかった」と撮影を振り返って笑顔をみせた。また舞台となる下北沢に個人的な思い入れが強いと話す伊藤は「トリウッドで『リバー、流れないでよ』個人的に見に行ってた。だから今回の企画やるってなった時あの場所で見たってのがあるからそういう意味でトリウッドさんでの思い入れも感じる。エモいですね」と感慨深そうに語っていた。

イベントでは本作が描くテーマにちなんで、この瞬間が映画になればいいなと思った出来事を発表する場面も。10歳頃まで大阪に住んでたという伊藤は最近その時の住所がパッと浮かんできたそう。「1人で何か目的があるわけでもなく自分が住んでいたマンションに1人で行く回があって、その時に何かが起きたわけではないけど過去の自分を回収する旅みたいになってなんか泣けてきた」としみじみ、「自分がここにいたんだなって記憶が行くとすごい思い出。だからこういう感情になった瞬間が映画になったらすごく素敵なんだろうなって思いました」と微笑む、その話を聞いていた上田監督が「大阪サルベージ」と妄想の映画タイトルをつぶやくと会場は笑いに包まれていた。








