
本作で作・演出を務めるのは、鋭い感性とリアルを追求した演出で現代人の葛藤と人間の本質を描き、賛否渦巻く衝撃作を次々と世に送り出している異才・三浦大輔。2024年にTHEATER MILANO-Zaにて上演された『ハザカイキ』では、「芸能界」「マスコミ」という特殊な世界から“時代の価値観の変容に踊らされる人々”を三浦独自の視点で濃密に描き出した。芸能記者・タレント・アーティスト・マネージャーという登場人物やそれを取り巻く人々の人生を切り口にした同作から2年。三浦自身が『ハザカイキ』では描き切れなかったと語る「一般人」「世間」に視点を移し、SNSからあふれ出る情報、多様性などといった新しい価値観に適応していくことが必要とされ、目まぐるしく変化し続ける社会の渦の中で生きる“どこにでもいる誰か”を本作では描く。
登場人物はたった三人、舞台は“居酒屋”のワンシチュエーション。物語はそれぞれ三者三様の人生を歩んできた高校の同級生三人が結婚式で再会し、“居酒屋”で飲み始めるところから始まる。“居酒屋”で繰り広げられる些細でとりとめのない会話から、『時代』の真意、『人間』の根源的な存在意義に迫る三浦の意欲作となる。
出演は、独自の存在感で高い評価を受ける森田剛。自然体で繊細な演技で多くの人を惹きつける鈴木杏。さらに、ロックバンド・銀杏BOYZのボーカルであり、俳優としても活躍する峯田和伸。初共演となる3人が、同じ現代を生きながらも異なる環境で過ごしてきた高校時代の同級生に扮する。
このたび行われた合同取材会にて、稽古が始まり現時点の手応えについて、演出の三浦は「順調に進んでいます。僕が当初イメージしていた通りの感じで、役者さんも動いてくださって、今から本番が楽しみです」と期待を寄せる。
森田も「順調だと思います。良いペースで進んでいて、今日からじっくりやっていくのかなという感じです」と、同じ感覚のよう。
鈴木も「順調だと思います」と続け、「これまででしっかり土台を共有しながら固めることができたので、それをもとに、より深く濃くしていくための第二ラウンドのような稽古が始まるのかなと思っていて、セリフも膨大なので覚えるのが大変ですけど、楽しく日々稽古をしています」と気合いを入れる。峯田も「稽古が始まって1週間ですけど、頑張ります」とコメントした。

3人との稽古を振り返り、三浦は「あまり言うことがない感じです。良い意味で三人のでこぼこしたバランスがとても良いと思っていて、キャスティングが上手くいったなと思っています」とニヤリ。
「書き出す前に、3人に会って色々お話はしたので、その時の僕の印象を大いに取り入れた感じがあり、普段活動しているイメージと重ねて書きました」と話し、稽古を通して3人の芝居の魅了を「人間的な魅力を持ってる御三方なので、立っているだけで惹きつけられるというか、そこは大いに助かっています」と絶賛した。
三浦の演出を受けて、森田は「すごく丁寧で、皆で共有してやってくれているので、三浦さんにもこの作品にも、エネルギーを感じます。ぐっと引き戻すような、力を感じますね」と感想を語る。
三浦作品へ初参加となった鈴木は「皆さん初めましてだったので、どういう感じに進むのか、どういう方なのかと緊張していましたが、初めましてと思えないぐらい、リラックスしています。共有できることはたくさん共有して、役者と一緒に並走しながら作っていってくださるタイプの演出家の印象が今はあって、とても安心感があり、風通しの良い稽古場だなと思っています」と笑顔を見せた。
そして、三浦作品の経験がある峯田は「4年ぶりに三浦さんの舞台の稽古場に入って、独特の緊張感と、帰ってきたなって感じがします。これからだと思います」と静かに語った。
本作で初共演となる3人。互いの印象について、まず森田は「会う前から楽しみにしていて、会ってからも楽しくて。余計なことを考えないで、とにかく今を楽しむ。2人を信じて、自分を信じてもらって、最後まで行きたい気持ちです」と語る。
鈴木は「お二人ともただそこにいるだけで生き物としての面白さを圧倒的に持っていて、その種類が微妙に違うんです。峯田さんは存在してセリフを言っているだけでものすごく説得力がありますし、森田さんは、場の求心力が、引っ張ってくださる力がすごくあって、頼りになるお二人です。2時間ちょっとで3人しか出ていなくて、このセリフ量だったら何かしら起こると思うんですけど、この3人だったら乗り越えられるなという安心感がお二人にあるので、のびのびとさせてもらっています」と信頼を寄せていた。

峯田は、同世代の森田に対して「そんなにたくさん喋らなくても、僕は勝手に分かり合えている感覚があるんです。そういう人と仕事できるのが嬉しくて。どういう人か知りたい部分もあるけど、知らない方が良い感じだなと思います」と通じあえている関係性だと嬉しそうに語る。一方鈴木については「僕の役柄も含めて、最初はシャッターを降ろしているんですけど、だんだん開いていって、そこで遠慮なくバーっと言ってくれて、僕もバーって(返して)、それがすごく気持ちいいです。くすぐられます」と心地よさを感じていた。
同級生の会話劇ということで、関係性を築くために行ったことを問われ、鈴木は「三浦さんを含め皆でご飯に行ったりはしましたが、あとは特にないです。この状況が一蓮托生するしかない状況で、自然とそうなっていった感じはあります」と、特別なことはなかったと語る。
そんな中で峯田より「四人ともタバコを吸うんです。1日で4、5回休憩時間があって、その時に喫煙所で話して、それぐらいですかね」と明かされた。森田も「普段の感じで三浦さんのセリフをぶつけて、それを受けてで、関係性が築けているような感じがします」と、芝居を通して関係性が作られているようだった。

令和を生きる40代の男女3人ということで、それぞれにとって“40代”を聞くと、まず47歳の森田は「1年が本当にあっという間で。自分ができること、できないことが何となく分かって、これでやっていくしかないっていう諦めみたいなこともあるし、子どもの時に思ってもみなかった奇跡的な楽しいこともあるし、そういう感じで今を過ごしています」と話す。
現在39歳の鈴木は、来年迎える40歳に「やっと40歳になれるなって。40代ってどこか憧れがあって、周りの先輩たちも『40代楽しいよ』って言う方たちが多かったから、楽しみです」と期待を募らせる。
48歳の峯田は「衰えていくところは衰えていくので、生き残った部分をどう大事にできるかを考えます」と現実的な回答だった。

舞台『僕らの時代じゃない』は、10月8日(木)から27日(日)まで新宿・紀伊國屋ホールにて、その後、愛知・京都にて上演される。








