ミュージカル『ダブル・トラブル』はボブ&ジムのウォルトン兄弟によって書かれた抱腹絶倒のミュージカルコメディ。

作詞家のボビー・マーティンと、作曲家のジミー・マーティンの兄弟2人が、ハリウッドのメジャームービーの曲を書くという大チャンスをつかむ!が、与えられた時間はたったの数時間、気に入ってもらえなければ即クビ!恋に仕事に大奮闘!果たして兄弟の運命はいかに…。

本作の出演者は2名のみ、演奏はピアノだけ。
歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じながら、映画会社の社長や秘書、演出家、司会者、スター女優など…次から次へと現れる登場人物、およそ10人もの人物をたった2人で演じる。
翻訳・訳詞は今作で第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞(2021年)を受賞した高橋亜子、演出は、従来の“演劇”の概念を超え新しい挑戦に挑み続けていることから、「第27回AMDアワード」を受賞し、ミュージカルやストレートプレイ、ライブ演出など、ジャンルレスな活躍をみせるウォーリー木下が務める。

TeamDの開幕に先駆け、公開ゲネプロ及びTeamD・Eのキャストが集結する、開幕直前取材会が行われた。
取材会には、TeamDの浜中文一(兄・ジミー)と室龍太(弟・ボビー)、TeamEの上口耕平(兄・ジミー)と水田航生(弟・ボビー)、演出のウォーリーが出席。

開幕に向けた心境を聞かれると、「次のTeamEに繋げるということで、僕たちでいいスタートダッシュを切れたらなと思っております」と話す浜中に、室から「すげえ真面目なコメントやった」と指摘されると、「いいじゃないですか!僕だって真面目に話すときあるから」と反論。

室は、「個人的に初ミュージカルなのですごい緊張しますけど、全公演何度も言いますけど楽しんで一公演一公演大切にしていきたいと思います」と意気込んだ。

上口は、「TeamDが先に始まるということですごい色んな反響があると思いますので、お客さんも盛り上がっていく中で、しっかり僕たちもバトンを繋いで、そこから同時期に公演していくので、どんどんブラッシュアップしてくようなそんな日々になったら良いなと、今からすごく楽しみにしています」と期待を寄せる。

水田は、自由劇場の舞台に立つのがこの取材会が初めてだと言い、「こんな感じなんだっていうのを思ったんですけど、この劇場をTeamDとTeamEで年末年始、年を跨いでエンターテイメントを届けられること本当に嬉しく思いますし、体調管理をしっかりして、TeamEはあと10日くらいの稽古をしっかり終えて、この劇場に帰ってきたいなと思います」とコメントした。

浜中は今回は兄・ジミーを演じているが、前回の”2022夏 Season A”では弟・ボビー役だった。違う役での出演で苦労した点については「別にこれ苦労したなっていうのはないんですけど」としながら、「前回のお兄ちゃん二人(相葉裕樹さん、日野真一郎さん(LE VELVETS))の良いところをちょっと受け継いでやりたいなっていう風に思ってやりました」と話す。

そして今回ミュージカル初挑戦となった室は「一人5役で、しかもキャラごとに歌とかもあったりするので、色んな役を入れ代わり立ち代わりで演じるのがすごく苦労しました」と大変だったところを語る。
浜中からアドバイスがあったのか?という問いかけには「あの……『しっかり本読もか』ってアドバイスをもらいました」と少し言いづらそうに答える。
これには浜中からも「基礎中の基礎のことを言うてるから、あんまり載せてあげるとね、と思って……」とフォローするも「全然載せてください!僕はそれを糧に頑張って行きますから!これから先!」と力強く返す室。
「こんだけやっててまだ本読めへんのかと思いました。びっくりしましたけど」と続ける浜中に、室は「また違う読み方を教わりました。今までとは。だからすごく稽古の段階でも為になったというか、自分の力になりました」とポジティブに語った。

そして、TeamDのゲネプロを見た感想について、上口は、「すごく自然体な部分を多く感じて、色んなことが起きてるんですけどスーって見れて入り込めるなっていう感覚がすごく素敵だなと感じました」、水田は「へっちゃら感と言いますか、緊張してるのかなっていうのが全然見えないというか。二人ならではの昔からの関係性も垣間見えたり。個人的には序盤から一緒に稽古をさせてもらったので、最初の頃からどんどんレベルアップされてて、いい刺激をもらいながら裏で見ていました」と話す。
タップダンスをやったことなかった室のゲネプロでの姿を見て水田は「ちょっとマジ泣きそうになりましたもん、最後。あれだけ言ってたのにめっちゃやってるやん!って」と感動。その言葉に室は「マジですか!ありがとうございます!!嬉しいですね」と喜びを見せた。

現在も稽古中のTeamE。今の雰囲気を問われると上口は「本当に一日中一緒に居るんで、家族みたいな感覚がちょっとあります。今日、劇場に入るのが僕のが少し早かったんですけど、不安でした。早く来てよ、待ってるよって連絡しました」と話し、水田は「優しかったんです。劇場の楽屋口が分からなくて、どうやって入るんだろうなって思ってたら連絡が来て、『航生、入り口分からんから』って動画で入口の場所を教えてくれて、わざわざ送ってくださって。普段から仲良くさせてもらってます」と上口の優しさを明かした。

12月15日(木)には通算上演数100回を迎える本作。演出を務めるウォーリーは「今日のゲネプロを見て、当たり前のことなんですけど一人として同じ人がいないというか、今日のこの二人にしか出来ないことをずっとやっていて、だからそれ見て演出ってなんなんだろうって思います。もはや演出っていうのはあくまでも箱の形ぐらいしか決められなくて、中身は特にこのお芝居に関しては役者さん二人の漫才に近い感じというか、人間性やキャラクターとか、その日のコンディション含めて全部出るので、そういうものを楽しんでもらえたらいいなと思います。だから色んな役者さんにやっていただいて嬉しいですし、それをたくさんの人に見ていただけると嬉しいなと思います」と作品の魅力を語る。

ウォーリーから見たそれぞれのチームの個性について質問が。
まず、TeamDは「本当に今日感動して、この二人は水と油というか、陰と陽なんですけど、混ざり合わないのがこんなに面白いのかっていうか、こういう形の『ダブル・トラブル』が見られて本当に新鮮で、目から鱗でした」と称賛。「なので上手く伝えられないですけど、今まで見てきた人も新しい『ダブル・トラブル』を見られると思うので、ぜひ見ていただけると良いな、幸せな気持ちになれるので」と続けながら「……仲良くしてね」と浜中と室に向かって一言。
室は「仲良いですよ!仲悪いとかやめましょう!ね?」と訂正するも、「勝手に仲良いって言われて困ってて……」と仲の良さを認めない浜中。
「仲良いですやん!なんでそんなこと言うんすか!記事になるから!」と必死になる室は、「仲良いです!めちゃめちゃ仲良いです!」と強引に肩を組んで記者にアピールした。

一方のTeamEは、「この作品をやるために二人は長い役者人生を送ってきたんだなと思うくらい、技術とか人に魅せる力とかもちろん息もぴったりで、ブロードウェイにこの二人の作品を持っていきたいぐらいの全部が綺麗に伝えられる作品になっています。それぞれ全く違う作品になってます」と魅力を語った。

最後にキャストからお客様へメッセージ。

室は「この自由劇場で2022年年内最後、ぜひ今年笑い残した分をここで笑っていただいて、楽しい新しい年を迎えられるように劇場にぜひお越しください」

上口は「この作品はセッション感というかライブ感をものすごく楽しめる作品だと思ってますので、毎回色んな何か違うことが、色んな奇跡が起こるような気がしていて、なのである意味ライブに来る感覚でぜひこの劇場にお越しください。待ってます」

水田は「残り10日間、僕たちチームEは稽古をギリギリまで色んなことを詰めていって、また新しいものを生み出していって、100回もやっている作品に出演できるのが本当に嬉しく思いますし、チームEならではのものも見せつつ、この劇場をブロードウェイにしたいなと思っております。年末年始ですけどたくさんの方に見ていただけるよう頑張ります」

浜中は「年も跨ぐので、健康に気をつけながら、正月はゆっくり休みながら、でまた年明けにバチッと良いスタートを切れるようにこの4人で自由劇場を盛り上げていきたいなと思っております」

そして、退場する際にも「仲悪いです!」と会場に向かって言う浜中に対して、「仲良いです!ホンマに仲良いって書いといてください!」と最後まで必死にフォローする室だった。

ミュージカル『ダブル・トラブル』=2022-23 冬=は、2022年12月12日(月)より自由劇場にてTeamD公演よりスタート。