――今作が鞘師さんにとって地上波連ドラ初主演となりますが、出演が決まった時の心境を教えてください
“地上波連ドラ初主演”というすごくギラギラした文字面に多少戸惑いはありました。ですが、ソロ活動を始めてから3年ほどお芝居をやってきて、今回、初主演の機会をいただけたことが率直に嬉しいです。
――すぐに実感は湧きましたか?
あまりにも普段の自分と違う感じがして……。最初はちょっと不思議だなと思っていたんですけど、クランクインする1週間ぐらい前から撮影が始まるまでに徐々に実感が湧きました。
――見えない存在である乳酸菌が出てくるという斬新な世界観の作品ですが……
不思議ですよね(笑)。乳酸菌が存在していることはファンタジーなんですけど、お話自体は自分の生活や視聴者の皆さんの生活とも結びつく部分が多く、日常に寄り添ってくれる作品だなと思いました。例えば仕事でもっと上に行きたいんだけど頑張り切れない部分があるとか、自分の好きなものや推しているものを周りの人に自信を持って伝えることにちょっと抵抗があるような部分とか。その推しが日々の活力になっていることは、視聴者の方が好きなもので日々が潤っていることとすごく近い部分があると思います。

――役柄についてどのような印象を受けましたか
私が演じる朋太子由寿という女の子は、社会人1年目で岩手県の田舎から急に大阪に出てきて働くことになり、途中から東京に転勤になるという、多分本人からしたらあまりにも展開が多すぎて戸惑っているような状況だと思うのですが、目の前のことに真面目で、自分が大切にしているものに対して真っ直ぐな気持ちを向けていて、演じている立場として、由寿のその姿は素敵だなと思う要素が多くて。由寿が頑張っている姿、成長していく姿に感銘を受けて応援したいと思ったので、ちゃんと私が体現してあげなきゃと思うような、私にとって守りたい存在です。
――役から学ぶことはありますか?
初心の気持ちを思い出させてくれるような子だと思いました。私はダンスがやりたくて12歳から芸能界に入ったわけですが、その中で自分が憧れていた先輩たちと仕事ができる、頑張ろうという気持ちや、楽しいだけじゃなく苦労した部分もあったなと昔の自分を思い出しますし、その気持ちを忘れたくないなと思わせてくれます。

――鞘師さんの思う由寿の魅力は?
人間関係や自分の好きなもの、自分の身の回りにあるものに対してすごく誠実な子だなと思っています。都会に出て慣れない環境で迷いながらもがくシーンもあるんですけど、自分が信じているものや信念に対してはすごく意志が強い子だなと思ったんですよね。そこが彼女の魅力の一つだなと思いますし、もう一つは周りの人に面倒を見ていただいたり、助けていただく中で、自分の身にしていっていることがたくさんあるなと思います。先輩にご飯に誘われて、ご飯を食べて打ち解けて会社に慣れていって、仕事を頑張ろうってきっかけをもらうとか、そういう場面があったりするので、助けてあげたくなるような、放っておけない感じの可愛らしさもあるなと思います。

『推しを召し上がれ ~広報ガールのまろやかな日々~』第2話場面写真/©テレビ東京

 

――ご自身も似たようなタイプですか?
周りの人の話を聞いている感じでは、私が物に躓きやすくて、普段の生活でもステージの上でも躓くことが多いんですけど、ちゃんと階段を登りきれたらファンの方に拍手されるとか、そういう節があるんですよね(笑)。そういう意味ではシンパシーは多少感じます。

――経験してきたことが役に生きていると言いますか
自分でも台本を読み込みますが、周りのスタッフさんとも内容を共有したり一緒に考えたりする機会もあって、そういう時に「あなたのすっとこどっこいのところはそのままでやればいいよ」って(笑)。色んな人から客観的な意見でそういうことを言われたりすると、なるほど、という感じであまりしっかりしようとしすぎなくて良いのかなと、気持ちが楽になりましたし、ナチュラルに演じていればそんなに遠い女の子ではないのかもしれないなと思いました。
――乳酸菌の名前など馴染みのない単語も多く出てきていますがどう覚えていますか?
由寿がハマっているブルガリア菌とサーモフィルス菌のBL小説があるんですけど、物語になっていたり、キャラクター化されることによってスッと入ってくるんですよね。難しい言葉でガーって書かれているんじゃなくて、分かりやすくエンタメに昇華していくことによってこんなにも楽しく文字が入ってくるんだと実感しています。