――新人広報ガールということで広報の勉強をしたり、岩手の訛りの練習などはどのように行っていますか?
今回はお仕事の内容を伝えることがメインというよりは、どういうふうに仕事に慣れていくのか、由寿の成長しているところがすごく大事なのかなと思ったので、成長していく姿を素直に演じられたら良いなと思って、台本から読み取るようにしていました。
岩手弁に関しては、私は西日本出身の人間なので、全然訛り方が似ている箇所もなく。なので事前に岩手弁のお手本をいただいたのでそれを一生懸命練習していたり、あとは生駒(里奈)さんが秋田出身ということで、厳密には違う部分があるんですけど、若者が使う東北弁は生駒さんも知識があるとおっしゃっていたのでイントネーションとか教えてもらって、自然になるように意識しています。
――乳酸菌を演じるのは橋本さとしさんです。乳酸菌のビジュアルを見た感想は?
橋本さんは佇まいもかっこよくてダンディーそのものというイメージがありましたが、そんなダンディーさが乳酸菌の可愛らしさを演出しているなとすごく感じています。撮影の中で高らかに歌い上げるようにセリフを話されたり、自由に動き回られている姿とかを見るとより可愛いと思う瞬間がたくさんあります。

――橋本さんとはどのようなお話をされましたか?
劇中では由寿と乳酸菌は会話ができなくて、傍にいるけどその存在に気がついていません。それぞれ同じシーンで演じているはずなのに、お互い一人芝居なんです。会話だとセリフを覚える過程で相手がこうやって言ってるから言葉が出てくるという、セリフを思い出す重要なきっかけになるんですけど、自分発信でどんどん情報を出していかなきゃいけないというのがお互いにあるのでそれがまず大変でした。2人が画角にいるのに会話をしていないという不思議な撮影の仕方が、お互い慣れてないから大変ですねとお話しました。あと、乳酸菌は菌のお話とかストーリーテラー的な役割も兼ねているのでセリフが多くて「僕は長年ミュージカルをやったりドラマをやったりしているけど、これだけセリフがあると年々セリフが入ってこなくなるっていうのを今回すごく実感している」とおっしゃっていました。ただ、私からしたら一人芝居なので、そのシーンの文言を一気に覚えるのは単純に大変だと感じているので「そういうことではないと思いますよ」っていう話をしました。
――演じられていて難しいと感じているところはありますか?
突如笑ってしまうような出来事が起こることが多々ありまして(笑)。例えば仕事が終わって家に帰ってきて「疲れた~」って日常にありそうなシーンで、「疲れた~」って言ってる横10センチくらいの距離で乳酸菌に「お疲れさま」って言われたりするんですよね。それをガン無視している状況に対して笑ってしまうことがあって、それでもう1回お願いします、みたいなことはありました(笑)。でも私だけではなくて、東京で働く時の由寿の先輩役で明日海りおさんとご一緒させていただいているんですけど、乳酸菌は見ちゃいけない設定なのに明日海さんが見ちゃうとか、橋本さんが存在感があるので、それを無視しなければいけないというのが撮影している側としては苦労があります。

――撮影現場の雰囲気はどうですか?
とても良いです!1日の撮影量がたくさんあるので大変だと思うんですけど、片桐(健滋)監督を中心に面白いことを言って現場を盛り上げてくださっているお陰もあって、ずっと楽しく撮影させていただいています。それこそ初めての主演なので、座長っぽくどうしたら良いのか、すごく緊張しながらクランクインしたのですが、皆さんの明るさに助けられていて、これで良いのか?って思うほど本当に毎日楽しいです。
――撮影中印象に残っているエピソードがあれば教えてください
スタッフさんのあだ名がすごく個性的なんです(笑)。名前がパッと聞いて近い人が多かったりして、その差別化みたいな感じで“チッチキチー”って呼ばれている方がいて。色んな面白いあだ名で皆さん呼び合っている印象があります。
――先輩の俳優さんたちがいらっしゃる中、主演の振る舞いについて意識していることは?
しっかりしなきゃいけないという気持ちがありましたが、先輩方はどの現場に行っても気を遣って話しかけてくださいます。私は相手に興味があっても話しかけていいかわからなくて話に行けないということが今までにすごく多くて。でもそういうのはあまり考えずに自分から話しかけて飛び込んでみようと、皆さんとコミュニケーションが取れるように意識しています。スタッフさんも含め皆さん素敵な人たちばかりで、私より年下のスタッフさんもいらっしゃるので、そういう方にはいつでも友だちのように話しかけてもらえるような環境づくりを心がけています。

『推しを召し上がれ ~広報ガールのまろやかな日々~』第2話場面写真/©テレビ東京

 

――主演として何か行ったことはありますか?
今回は冬の撮影で外のロケもこれから増えていくんじゃないかなということで、自分でイラストを描いたネックウォーマーを皆さんに配りました。ここで使い倒してもらうだろうという想定で、ドーンとどでかくイラストを描きました(笑)。原作でブルガリア菌とサーモフィルス菌が表紙になっている可愛い絵柄があるんですけど、そのブルガリア菌の方に橋本さんの衣装や髪型を自分でちょっと付け足した絵を描きました。
――作品のテーマにちなみ、鞘師さんが今、推しているものは?
食品サンプル・食玩推しです。今、ガチャガチャの種類がたくさん増えているのですが、チョコレートとかグミとか、お菓子の製品が小さくなってキーホルダーになっているガチャガチャをやったりしていますし、テンションが上がるのは楽屋弁当のガチャガチャです!「オーベルジーヌ」とか「まい泉」、「喜山」とか普段から楽屋に置いてあるお弁当が小さくなったガチャガチャがあるんです。それをコンプリートしたくて、製造している会社の通販を見たら全種類パックみたいなのがあったのでそれを速攻で買いました(笑)
――ありがとうございます。最後に鞘師さんが思う今後の見どころを教えてください
1、2話では、大阪の営業に配属されて、先輩たちに指導してもらいながら新しい環境の中で頑張っている由寿の模様を見ていただけると思います。由寿が岩手で暮らしていた時の人物像やなぜ「明和」に入ろうと思ったのかという背景、推している乳酸菌への愛情も明らかになります。広報ガールとして働き始めていく中で立ちはだかる壁を乗り越えるきっかけが生い立ちにあったりして、今後、ストーリーが進むにつれて、ああいうこともあったね、と思い出す「始まりの部分」なので見逃してほしくないです。登場人物もどんどん増えていき、色んな人の推しているものが出てきたり、愛おしいキャラクターがたくさん登場するのでぜひ見てください。


フォトグラファー:秋葉巧、ヘアメイク:イワタユイナ、スタイリスト:藤本大輔(tas)
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<衣装協力>
NAKAGAMI(NAKAGAMI Laboratory Co.,Ltd/050-1157-2902)
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