――『シンデレラ・コンプレックス』では初の教師役となりますが、オファーが来た時の心境を教えてください
やっと教師のポジションに行けるんだなと思いました。今までは学生役しかやったことがなかったので、教師として教壇に立てるということがものすごく嬉しかったです。今回は不倫をするキャラクターということで、これまで演じてきた中でも一番と言っていいほど悪いキャラクターなので、また新たな表現ができるというワクワクが大きかったです。
――台本を読んでみた感想は?
ひどい話だなと(笑)。陽介が悪過ぎてやりたいってすぐに思いました。これは俺じゃないとできない!と。他の人が演じるくらいなら俺がやりたいと欲が出ちゃって、ぜひやらせてくださいと言いました。
――相沢陽介という役どころについて教えてください
簡単に言うとものすごく人気のある高校の英語教師で、ルックスも良く、同じ高校で教師をやっている相沢舞(宇垣美里さん)とは結婚しています。おしどり夫婦みたいな感じですが、前園由良(田中美久さん)という生徒によってガラッと変わってしまうんです。由良との不倫がどんどんエスカレートしていってしまう、人間の欲望が見えるキャラクターです。

――役を演じる上で意識していたことは?
想像をぶっ壊してやろうと思いましたね。原作の陽介の部分とドラマならではの陽介の部分があるのですが、結構監督が僕に任せてくれて、あえてカットをかけないシーンも多かったので、監督やプロデューサーの想像をぶっ壊して、視聴者の方も全員を取り込んでやろうと。でも、それは由良や舞がいてこそなので、もっと翻弄していかなきゃいけないという思いがありました。
――W主演として一緒に主演を務めた田中美久さんの印象は?
ものすごく頑張っていましたね。なかなか癖の強いキャラクターというか、地雷系JKということで、そんなに馴染みがないだろうから難しいのではないかと思っていたんですけど、すぐに由良を掴んで日に日にものすごく良くなっていって、最後はもう大暴れしています。田中美久様々です!
――作品を作り上げる中で、田中さんとはどのような会話をしましたか?
後半にはこういうことがあるから現段階ではここまでギアを上げておこうという共有をしていました。今回の作品が彼女にとって2作目だったんですよ。なので分からないこともあったようで、そこは監督と僕と3人で話して、全て受け止めるからと伝えて、割と好き勝手にやっていただきました。でも、ちょっと怖かったというか、小悪魔的な可愛さに怖さを感じました。怖さもありながらこんなに可愛く見せられるのがさすがだなと、シンプルに拍手が出ました。僕でもできないなと思います。

――一方、夫婦関係である舞を演じた宇垣美里さんとはどうお芝居を作っていきましたか?
落ち着きすぎないようにしよう、と話していました。夫婦なので落ち着きはあるんですけど、冒頭で最近夜がご無沙汰だよね、みたいな感じの雰囲気からストーリーが始まっていくので。でも、その中にも愛を忘れないでお芝居をしました。愛を忘れたらこの作品が崩れてしまうので、意識していたところです。どうしたら心が痛いかとかいうのを少し話したりしましたね。それで実際に(宇垣さんに)「嫌い」って言われました(笑)。「(舞が)可哀想じゃない!?」と言われたので「うん、すごく可哀想です」と。
――不倫されている舞の立場を考えると苦しくなりますね……。でも演じている方にそう言ってもらえるのは逆にリアリティがあったということですよね
舞には好きに正論を言ってください、という気持ちでした。舞自身も周りに言うのが難しい状況だったと思います。陽介が教師というポジションで学校での立場を考えたり、しかも自分も同じ学校で働いているという、これって現実味のある話だなと思って。学校に限らず、職場では世間体というものがあって辛いだろうなというのはあったので、その辛さが皆さんに共感していただいたり、魅了できる部分かなと思います。
――お話自体はハードですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
本当に不倫のドラマを撮影してるのかな?というぐらいめちゃくちゃ良かったです!色んな登場人物が出てきますが皆さん癖が強くて、何の作品を撮っているんだっけ?というシーンもあります。それぐらい皆さんのお芝居が良くて、色んな目線で楽しめる作品なんだと思います。本当に愛が強いです。

――撮影の中で印象に残っている出来事はありますか?
陽介と由良の2人のシーンがあったんですけど、カメラが2台あってチーフのカメラマンさんが由良を撮影していて。先ほど話したように田中さんが由良をものすごく可愛らしく演じられていて、その可愛さに魅了されてカメラマンさんがカメラワークを忘れたことがあって。カメラマンさんが動かずNGが出たことがありました。
――由良の魔性にカメラマンさんがやられてしまったわけですね
「絶対取材で言うから!」って言って(笑)。でも、それぐらい素敵な画になっているので、僕も楽しみの一つになっています。