――既に稽古は始まっているとのことですが、手ごたえはどうですか?(※取材は2月下旬)
稽古のスピードが速くてもう2回通しています。私は地方で撮影をしていたので本読みに参加出来なくて、全体がどういう感じなのか分からないまま立ち稽古に入りましたが、今回の作品は全体演劇なので、最初から最後まで通したことで自分の中で全貌がちゃんと見えてきました。本当に見ごたえのある作品だと思いますし、誰か一人がという感じではなく群像劇なので、すごく目が離せない作品だなと稽古をしながら思っています。
――出演が決まった時の心境はいかがでしたか
今まで舞台でここまで大きな役をいただいたことがなかったので、本当に出来るのかという不安な気持ちもありつつ、今の社会に対して色々な視点で、様々な問題に気づかせてくれる作品だと感じましたし、私の役どころも演じ甲斐のある役なので、演じ切りたいという気持ちの方が強かったです。
――台本を読んだ感想は?
稽古でも感じましたが、色々な人たちの視線が入り混じっていて、二幕の後半ではそれまでに散りばめられたものが、全て回収されていくというか。解決策は見つからなくてもこうしていった方が良いんじゃないか、という未来に向けての提示が怒涛のようにあるんです。それがすごく面白かったです。あと会話のセリフが三浦さん節と言いますか、毒がある感じを持ちつつも、すごくリアルな会話になっていて、台本を読んでいてもすごく面白かったですし、立って稽古をしていても楽しいです。

――橋本香という役を演じるにあたり、意識していることはありますか?
芸能人って世間に見せている面と私生活の面に何かしらの違いがあると思うんです。社会人の方でも、会社で見せている自分と家族と一緒にいる時の自分は違うと思いますが、芸能人の場合はパブリックイメージがあるのでそれがより濃いと思っていて。そういった役どころなので、私生活と芸能人としての自分を演じている時のギャップを意識しようと考えています。でも、芸能人であっても、普通に恋人と一緒にいたり、友人や家族と一緒にいたりするという、普通の女の子だというところは一番大切にしています。
――これまでの稽古の中で、難しさを感じているところは?
今まで自分が演じてきた役が、結構個性が強くパンチの強いものが多く、作品に彩りを加える存在の役が多かったのですが、今回はどちらかと言えば周りの皆さんの彩りを受け取る役で。恋人や友人、家族を演じる方が個性が強くて、香は話を聞く方なので、いつもと演じ方が違ってそれにちょっと苦戦しています。いつもは放つ側ですが、放たれる側という久しぶりの立ち位置に、どうやってやるんだ?という難しさもありながら、皆さんの個性的なお芝居を受け取っています。

――演出の三浦さんといえば厳しい演出をされると言われていますが……
そんなことないです!もうすごく優しくて、俳優が演じていてやりにくいところはないかというのを一緒に解決してくださったり、俳優にすごく寄り添ってくださる方だなと感じています。
――三浦さんの言葉で印象に残っているものはありますか?
三浦さんが「今回の舞台は全員当て書きだ」とおっしゃっていて。私は稽古が始まるまでに三浦さんとお会いできなかったのですが、私の出演した作品を見てくださったみたいで、そこからイメージして当て書きしてくださったそうです。

――ご自身と役で重なる部分はありますか?
やはり事前にお会い出来ていなかったというのもあって、あまり重なるところはないかなと思うのですが、私の雰囲気と全く違うというわけでもなくて。当て書きということで私の軸にある雰囲気のまま演じて良いんだよという意味だと思っているので、そこは作りすぎないようにしようと思っています。丸山(隆平)さんも、当て書きと言われて自分自身に近い感じで演じるのが一番難しいとおっしゃっていました。
――お芝居だけど自分らしさを出すと言いますか
(自分自身に)近くなってしまうと余計分からなくなるので、そこは今模索中です。