――テニミュ4thシーズンの公演の中で、お互いここまで役を突き詰めているのかと感心したことはありましたか?
今牧:六角公演の話なんですけど、二幕頭の日替わりで手塚が登場したんですよ。手塚はなかなかお笑いパートをやるようなキャラクターではないじゃないですか。でも、本当に手塚がこういう場面に直面したらこうなりそうだな、みたいな。僕は今まで健ちゃんの真面目な手塚しか見てこなかったので。今までも日替わり演出はあったんですけど、あそこまではっちゃけたことはなかったです。日替わり演出でこんなことを思うのもあれですけど、そういう時に手塚が憑依してる、すごい、ってなりました(笑)
山田:妄想の話だったのでね(笑)
今牧:あとは、どの公演でも手塚と目が合うんですよ。僕がゾクッとしたのは、これまた氷帝公演の話になってしまうんですけど、手塚がアカペラで歌っているところがあるんですけど、振りかぶった時に一瞬ベンチにいる僕の方を見るんですよ。その時は跡部の方にボールが飛んでいて、でも僕はお芝居で手塚のことだけを見ていたんですけど、そうしたら “託す”という意味合いの歌詞のところでキッと目が合って、すごすぎて逆ににやけちゃいそうになりました。
これまで二人だけで舞台上にいることってあまり無かったんですけど、立海公演で『お前は青学(せいがく)の柱になれ』で二人になった時に、約3年間の絆を感じて、僕的にすごくエモーショナルですごい楽しかったですし、ミユキちゃんとのシーンも観ていて笑顔になれて、毎回感動しました。

――山田さんは今牧さんのリョーマはどのように映っていましたか?
山田:1秒たりとも輝琉が出ないのがすごいなと思って。もちろん似ている部分はあるんですけど、リョーマの可愛さみたいなところが前面に出ているのが輝琉なのかなと。でも舞台上では本当に越前リョーマがいるっていうのを常日頃思っていたので、1秒たりとも役が抜けないところがすごいなって思いました。
今牧:やった!
――同じ役を長い期間演じることはなかなか無いことだと思います。前回の公演からの反省点とどのように向き合って修正していっていたのでしょうか
山田:映像で観た時に、ギャップにびっくりするんです。例えば自分が喋っている声と録音した声を聞くと違うじゃないですか。あれと似ていて、映像で観た時に「もっとここ大きくやったはずなんだけど全然伝わらないな、小さいな」みたいな、セリフの言い方とかも変えてみたりしても全然変わってなかったり。そこのギャップはできるだけ縮めたくて、毎回映像を観るようにしていたかもしれないです。

今牧:僕も同じですね。主にダンスとか歌とかが目に見えて成長が分かりやすいんですけど、当時はそれがベストだと思っていても、後々振り返ってみると、その時は「俺最強にかっこいいじゃん!」みたいに思っていたのが、今観たら何でこんなので満足していたんだろう……っていうのがしょっちゅうです。
山田:分かる……。この前輝琉とも話していたんですけど、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stageの映像を観る機会があったんですけど恥ずかしくなっちゃって。その時はそれが全力だったんですよ。こうやって成長していくんだろうなって思いました。
今牧:毎日その日の公演を振り返るための動画があって、そういうのを観たりしても「今日こういうつもりでやってたけど、俯瞰で見たらそんなに変わってないや」みたいな。変えるところはもっと明確に変えるようにしたり、自分をちゃんと客観視するのは成長するために大事だなって実感しました。今は立海公演が終わって、大千秋楽が今までで1番のベストが出たと思っているんですけど、多分これも2年後ぐらいに観たら「なんでこれで満足してたんだろう」ってなる気がします。でも、そうやって成長している証が残って良かったなって思いました。
――この約3年間を通して、今後のお芝居に繋がるような学びや力がついたと思うところは?
今牧:僕はもう健ちゃんが言ってくれたように対応力は絶対にテニミュで身についたなって思います。例えば舞台上で誰か何か起きたとしても、全員が頭をフル回転させるんですよ。僕だけじゃなくて皆がその時の最善策を考えていて、これは皆テニミュで学んだことだろうなと思います。

山田:輝琉が言った対応力はもちろんそうですし、度胸がついたのかなって思います。テニミュは若手俳優の登竜門とも言われていて、(この舞台で)デビューの人も多いじゃないですか。有名な作品ですごく良いステージが用意されているのは恵まれていますし、初日から大勢の人の前に立つのは、本当に足が震えて。今でも覚えているんですけど3年半前の新テニミュでは、そんな人数の前に立ったことが無いからやばい!ってもう足がガクガクで。でも毎回良い意味の緊張感があって、これはこの先の芸能人生である程度のことは乗り越えて行けるのかなという度胸がついたと思います。あとは謙虚と誠実にという言葉が青学(せいがく)のテーマで、こういう良い環境でスタートしたからこそ感謝の気持ちを忘れずに、やることをしっかりやるというのをこれからも続けていきたいなと思います。

――この後はドリライが控えていますが、今の心境は?
山田:すごく楽しみですね。最後は本当に笑って終われたら良いなと思っているので、楽しみに尽きます。
今牧:寂しいかもしれないですけど、稽古をしていてワクワクの方が勝つので!稽古もずっと楽しくて、本番がより楽しみになります。

――先日公開された青学(せいがく)キャストの白スーツビジュアルも素敵でした。普段は見られない貴重な姿と言いますか
今牧:慣れないですね(笑)。やっぱり不二はかっこいいなってなりました。
山田:タキシード自体そんなに着ないじゃないですか。でも、この時に「僕、ちゃんと王子様だったんだ」って思いました。タキシードを着た時に、そうか、僕らは王子様なんだっていうことを改めて思い出しましたね(笑)
――ドリライへ向け、楽しみにしているお客様にメッセージをお願いします
山田:テニミュ4thシーズンの歴史を感じてほしいですし、テニミュ4thシーズンを観たことがない人でも絶対楽しめるんじゃないかなと稽古をしていて思います。本公演に比べたら公演時間は短いので、一瞬たりとも目を離さずに楽しんでほしいです。
今牧:僕らはミュージカル『新テニスの王子様』Revolution Live 2022も経験したんですけど、その時は声も出せない状況だったので悔しかったですし、お客様もすごく悔しかったと思います。だからこそその時の想いや、中止になってしまった2020年(ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2020)の悔しい想いも全部僕らが背負うじゃないですけど、そういうところも汲み取って、お客様も含め皆で一緒に盛り上がれたら良いなと思っているので、僕らもぶつけるので全力でぶつかりに来てください!