――その2人から肉体的に殴り殴られというハードなシーンもありました
もう凶悪コンビにいたぶられるのは、大歓迎(笑)! 実は殴られる演技が得意で、『マジすか学園』の頃から「殴られるの上手だね」と言われていたので、そこには少しだけ自信がありました。
――印象的だった覚醒シーンは1日で撮影されたとか
人生で一番集中した日だったかもしれません。終わった瞬間、集中力が切れる音が本当にしたんですよ、ブチっていう(笑)。終わった瞬間にソファーで死んだように寝てしまって。

――覚醒シーンからクライマックスにかけての鬼気迫る演技の中には、教え子への母性も感じられました。そういった心境の移り変わりは演じていてどうでしたか?
ほぼクランクインと同時くらいに(教え子役の蒼波)純ちゃんと一緒に撮影してから、その後全く会っていなかったんです。この会ってない時間が逆に(蒼波が演じる)向井さんと向き合う時間になりました。現実でもなんだか純ちゃんのことが恋しくなってきたというか、離れてみて改めて向井さんの事が気になるみたいな、そういう心情の変化もすごくリンクしているし、順番撮りしてもらったおかげで気持ちを作りやすくしてもらったなと思います。
――白石監督がおっしゃっていたような“アイドル映画らしさ”というのはどの部分に現れていたと思いますか?
今は本当に誰でもアイドルになれる時代。ネットが進化していて、ツイキャスだったり、インスタグラムだったり。そんな時代の中で、サニーはネットの中で神格化されている実体のないアイドル像だと思いました。アイドルって漢字では偶像って書くと思うので、〝職業アイドル〟という意味でのアイドル映画というよりは、〝偶像〟という意味のアイドル映画になったんじゃないかなと思います。
――最後に北原さんから見たこの作品の見所を教えてください
アイドル映画ではありますが、今まで誰も見た事がないアイドル映画になっていると思いますし、白石さんにしか撮れないアイドル映画になっていると思います。ぜひ映画ファンの方にも、アイドルファンの方にも観ていただければ。アイドルファンが映画を好きになるきっかけになればいいし、映画ファンがアイドル好きになるきっかけにもなったらいいなと思うので、いろんな人に観てもらえたら嬉しいです!


写真:秋葉 巧、文:水出綾香