――グループからの卒業そして女優としての第一歩を踏み出すという意味でも、今回の『サニー/32』は北原さんにとって特別な作品になったと思います。改めて撮影に臨んだ際の心境を教えて下さい
もう本当に必死でした。絶対に中途半端にはしたくなかったので、クランクインまでにメンタルを調整して精神統一して、〝やるぞ〟という気持ちで。特に気が引き締まった瞬間は山小屋の2階から飛び降りるシーン。今思い出すと甘えていたとは思いますが、スタントマンの方がやってくださると思っていて……(笑)。雪が積もっているとはいえ結構高さもあったし、飛び降りるのが本当に怖かったです。
――そのあと雪の中ドレス一枚で走り回るシーンがありましたね
雪の中をピンクの衣装で走ったときは、初めて寒くて泣きました(苦笑)。カットがかかった後も、すごく引きの画で撮っていて、私がとても遠くに居たので、救助に誰も来られない状態だったんですよ。一人ぼっちだったことで精神的にきたのかわからないですけど、やっとの思いで道路に出てきた時に、戻って来られた安心感で涙が出てきました。
――この作品に出たから、卒業という一歩を踏み出せたみたいな感覚もありますか?
3年ほど前から映画の話はいただいていたのですが、偶然このタイミングでの公開となりました。その間、NGT48の移籍を経験し、掛け替えのないメンバーとも出会えました。ファンの方も待っていてくださったので、やっとお知らせできて嬉しいです。

――北原さん自ら白石監督の作品に出演を希望していたということですが、監督の作品との出会いというと最初に『凶悪』ですか?
そうですね、『凶悪』を観てとても衝撃を受けました。秋元先生に、「北原はどんな映画に出たいの?」と聞かれた時に「『凶悪』みたいな映画に出たいです」と話したんです。まさか本当にそれが叶うと思っていなかったので、人生何があるか分からないなというか、言霊だなという風に思いましたね。
――その凶悪コンビであるピエール瀧さん、リリー・フランキーさん、実際に会った時のお二人の印象は?
初めてお会いしたのが山小屋で監禁されるシーンだったのですが、日本的な家屋の中にあのお二人が居ると、映画の世界そのものだなと思いましたね。実際お話してみるとお二人とも本当に優しくて、すごく助けていただきました。リリーさんは撮影が終わったら毎日のように「今日も良く頑張りましたね」という労いの言葉をかけてくださいました。