――ドラマ『エリカ』に出演が決まった時のお気持ちを教えてください
出演のお話をいただいてから初めて原作を読ませていただき、すごくゾッとする怖さを感じつつも、先の読めない展開にハラハラドキドキしながらあっという間に読み終わってしまって、とても魅力的な作品だなと思いました。なので、出演できると聞いた時はすごく嬉しかったんですけど、原作のこのシーンはどうなるんだろう、実写化されるとどう表現するんだろう、という部分が結構あったのでワクワクしながら撮影に挑みました。
――作品のテイストとしてはサイコホラーとなりますが、サイコホラー作品にはどのような印象をお持ちですか?
ホラー作品は、次に絶対これが来るだろうな、と予測できる作品も多いと思いますが、『エリカ』では全然展開が読めなくて、次にどんな動きをして、どこに向かっていくのか、それが読めないのが魅力だと思います。
――『エリカ』のホラー要素は、人が予想外の行動を起こす、得体のしれない怖さがあるなと思いました
そうなんですよね。そこがまたリアルで、より自分も変なことをしないように、言わないように気をつけようと思いました(笑)。でもこういう怖いのが苦手な人でもすごく見やすい作品だなとは思います。

――茅島さんが演じる閉野恵里佳という役にはどのような印象を受けましたか?
エリカという役にフォーカスを当てた時に、全く怖い子ではないというか、青嶋先生(渡辺大知さん)にただただ愛してほしくて、一途で真っ直ぐで、青嶋先生の行動や言動に一喜一憂する、すごく乙女で可愛らしい子だなという印象と、高校生の割に幼いというか、親から愛されてこなかったからこその幼稚さも感じました。
――演じる上で気をつけた部分はありますか?
普通の高校生の年齢よりも幼く演じたいと思い、無邪気さとかは大事にしていました。あとは青嶋先生のことが大好きだという気持ちは根本に絶対あるようにと思いながら演じていました。
――難しかったところや苦戦したところはありましたか?
アクション的なシーンが多くて、今まであまりやったことがなく、初めてぐらいの挑戦だったのでそこはすごく苦戦しました。あとは表情がコロコロ変わる子なので、そういった一つ一つの表情も難しかったです。

――コロコロと表情や声のトーンが変わるお芝居で、ご自身の中でどのように切り替えていったのでしょうか?
エリカは青嶋先生以外見えていないので、そういった意味では、とにかく青嶋先生への愛を常に心に持っていれば、それ以外の人に対してはこういう接し方になるよね、と現場ではすんなりとできました。
――アクションシーンをやってみて、今後もやってみたいという意欲は湧きましたか?
とても難しかったんですけど、仕上がりを見てこんな風になるんだとまた新しい発見もすごくあって、今後はガッツリとしたアクションにも挑戦してみたいと思いました。
――役を作り上げるにあたって、監督から言われて印象に残っている言葉はありますか?
常に話し合いながら撮影をしていて、困ったらすぐに聞きに行ったり、監督も「こうしてほしい」と言ってくださるので、全体としてコミュニケーションは取れていました。ただ、1話の一番最後のシーンは複雑な感情を表情に出さないといけなくて、そのシーンは何回もテイクを重ねてしまい、結構苦戦しました。監督にも「色んな感情を出してほしい」と言われていたので、それをもとに撮影に入りました。
――確かに、1話の最後の表情はどんな感情なのか分からない感じが特に印象的です
あのシーンは先生が家に来てくれなかった悲しさや怒り、虚しさなど、感情を1個にフォーカスせず色んな感情を混ぜて撮影に挑みました。

――エリカの愛し方は、茅島さんご自身としては共感できますか?それとも理解しがたいところがありますか?
私自身としては、ここまで狂うほど誰かを好きになることも、物にそんなに執着することも無いので共感はしがたいですけど、理解はできると言いますか。恋する乙女な部分をエリカは持っているので、それが行き過ぎてしまっているだけであり、そういった意味での理解はできるかなと思いました。
――撮影現場の雰囲気はどうでしたか?
私が人見知りだということもあり、なかなか自分から話しかけられなかったですが、渡辺さんや岡本(玲)さんがすごく親しみやすく声をかけてくださるので、ほんわかと穏やかな空気感で撮影ができました。

――本作では主題歌『distortion』(7月30日配信リリース)も茅島さんが担当していますが、主題歌が決まった時の心境はいかがでしたか?
今回が2曲目で、アーティスト活動に関しては全然まだまだなので、ありがたいなと思うと同時に、とにかく必死に頑張らなきゃとプレッシャーはすごく感じました。
――『distortion』を聞いた時、どのような印象を持ちましたか?
ダークな部分もありつつ、サビはポップで、でも歌詞はちょっと重たい愛を語っていて、その不気味さや狂気さがドラマのイメージにぴったりで、素敵な曲だなと思いました。聞いていて癖になる曲です。

――MVではダンスにも挑戦されているんですよね
ダンスを踊るドラマやCMに出させてもらうことが何度かあり、馴染みがあるものではあったんですけど、こんなにもガッツリと、しかも自分の曲で踊ることになるとは思っても無かったので楽しみです。振付も変わっていて、曲調やドラマに合わせて不気味で個性的な振りが多いので、中毒性のあるMVになるんじゃないかなと思います。
――この作品の注目してほしいところや視聴者の方に楽しみにしてほしいところはありますか?
アクションシーンは結構迫力があるシーンになっていると思うので見てほしいです。あとは、エリカ自身が可愛らしい部分から狂気的な部分までコロコロと表情が変わったり、青嶋先生以外の人にはすごく冷たい声になったり、そのギャップに注目して見てほしいなと思います。

――ここからは茅島さんご自身についても伺います。俳優としての活動を開始してから約6年が経ちます。これまで出演してきた作品の中で、ターニングポイントだと思う作品やお仕事はありますか?
役者のお仕事では、初めて舞台(『Romeo and Juliet-ロミオとジュリエット-』/2021年)に出演させていただいたのが色んな意味でターニングポイントになったと感じています。それまでは映像を通してお芝居を届けていましたが、舞台では初めて生のお客様の声が返ってきて、すごく達成感がありつつ、毎公演、緊張や震え、怖さがあったのを覚えています。稽古も合わせて3ヶ月ぐらいあったので、こんなに役について考える時間もありませんでした。
――舞台だと作品によっては映像より役と向き合う時間が長かったりしますよね?
ただ、終わった後に舞台芝居というのが抜けなくなってしまい、どの現場に行っても「芝居が大きいね」とか「舞台やってた?」と言われることが多くて、自分では全くそんなつもりが無かったので、なかなか苦戦した時期でもありました。舞台芝居が抜けなくなった時の焦りや、どうやったら元に戻るんだろうという怖さがありましたが、何よりも達成感が大きかったですし、お客様の生の反応を見られる機会もなかなか無いので、また舞台に挑戦できる機会があれば良いなと思います。
――今回の『エリカ』でもかなり挑戦的な役だと思いますが、今後、演じてみたい役はありますか?
警官役など、アクションシーンが多そうな役には挑戦してみたいなと、『エリカ』で経験して思いました。あとは今まで学生役が多かったので、医療ドラマなど、大人になったからこそ演じられる役、やったことのない未知の役に挑戦したいです。
――最後に、作品を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします
この作品はスタッフの皆さん、キャストの皆さんとたくさん話し合い、こだわって作った作品です。ホラーが苦手な方も、原作ファンの方も、色んな人が楽しめる作品になっていると思います。エリカの表情やアクションシーンにも注目しながら、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。


撮影:秋葉巧