――前回のインタビュー取材から約5年が経ちました。当時から比べてご自身で成長を感じる部分はありますか?
前回から比べると、物語の中で背負う分量の大きさが変わってきたなと思いました。5年前は出演シーンの中で少しでもそのシーンが面白くなったら良いなとか、印象に残るような役になれば良いなという気持ちでやっていましたが、今回の『海老だって鯛が釣りたい』では、物語のメインストーリーを背負っていく役柄でもあるので、演じ方が違ってきているかもしれません。このシーンはこういう面を見せて、そのために次のシーンはこういう風にしていこう、と、一本道を辿っていくような演じ方が強くなってきている気がします。
――この取材はドラマ『海老だって鯛が釣りたい』の2話放送直後に行わせていただきましたが、放送が始まり、何か反響はありましたか?
2話は結構大人なシーンが多くて、ありがたいことに「体が鍛えられてたね」というコメントをもらったり、SNSのフォロワーが増えたり、反響をいただけました。
――体作りは普段からされているんでしょうか?
普段から鍛えていますが、2話でのシーンのためにより鍛え始めました。事前に上裸のシーンがあると聞いていて、監督からの「(映像が使われるかは)当日の仕上がり次第」というプレッシャーもあり(笑)、でも当日「ちゃんと鍛えてきてくれたから予定通り撮っていこう」となって、安心しました。

――本作のお話が来た時の心境や台本を読んだ感想を教えてください
このドラマを企画したプロデューサーの方が名指しで僕に声をかけてくれたということを聞いて、すごく嬉しかったです。以前、助監督さんとしてお仕事をされていた時にご一緒したことがありました。その時のことを覚えてくださって、今回、その方の初プロデュース作品に水沼という大事な役どころで呼んでもらえたのは、現場でお芝居を見てくださっていたこととか、助監督さんは現場では役者と近い存在としてお仕事をされているので、お話しする機会も多く、普段の僕も知っている上でオファーをしてくださったということは、その役に近いものがあると感じ取ってくれたのかなと思い、自信になりました。普段の僕も演じている時の僕も知ってくれている方がオファーをしてくださっているので、自分の魅力も出して演じられたら良いなと思いましたし、この期待に応えたいなと思いました。
――中川さんが演じる水沼は“沼男”とも言われていますが、役にはどんな印象を持ちましたか?
前の話の延長線上で行くと、これが僕のイメージなのかな?って(笑)。どの部分が僕っぽかったのかは聞いてみたいぐらい、普段の僕とは結構かけ離れている役というか。でも設定というよりキャラクターの雰囲気、飄々としている感じが役のイメージに合っていたのかな?と……結構自分とはかけ離れているなと思いました。
――水沼が纏う雰囲気は中川さんぽい柔らかさがあるなと感じました
雰囲気は確かにそうかもしれません。生活部分はかけ離れている部分があって想像しないといけないところはありましたけど、優しい感じというか、飄々としているところは似ていますし、そういうところを見てオファーをしてくれたのであれば嬉しいです。
――5年前にインタビューした際、今後演じてみたい役柄を伺って、“素が柔らかくてほんわかしたタイプなのでそういう役をやってみたい”とおっしゃっていました
本当ですね。夢が叶ってますね(笑)

――水沼を演じる際に意識していたことはありますか?
監督は去年放送された『パティスリーMON』というドラマでご一緒した河原(瑶)さん。監督ご自身もすごく恋愛ドラマが好きで、恋愛ドラマを撮ることも好きな方だと思っています。どうしたらかっこよく映るかとか、どういう声だったら相手役の人に刺さるかということをすごく意識される方です。かっこよく映るということが大事になってくる役で、特にこのドラマは恋愛ドラマなので、見せ方は意識していました。あとは、水沼の“沼感”。海老子はよく水沼に会いに来るんですけど、なぜ会いに来るのか?を監督と話し合った時に、一緒にいて心地良い部分があるからなのではないかということになり、確かにそれって沼だなと思いました。同性・異性に限らず、気を遣わない相手には会いたくなると思うので、2人で話しているシーンでその空気感を作れたら良いなと思いながら演じていました。

――海老子こと、海老原唯子を演じる田辺桃子さんはどのような方ですか?
田辺さんとは、以前に一瞬だけ、『金田一少年の事件簿』のドラマで同じ話にゲスト出演していて、それ以来の共演でした。田辺さんはすごくお芝居が上手な方という印象があったので、安心感がありました。
――この『えびたい』ではコミカルなお芝居が素敵ですよね
真面目なドラマもたくさん出られていますし、コミカルな演技も面白くて、すごいなと思いました。
――撮影現場の雰囲気はどうですか?
監督の撮りたいイメージがものすごく明確に決まっているので、そこに向けて皆がきびきびと動いていて、すごく良い現場でした。