――映画『秒速5センチメートル』に出演が決まった時の心境を教えてください
本当にびっくりしましたし、とても嬉しかったです。オーディションで明里ちゃんを演じた時、本当に楽しくて、私がこの役を演じたいと強く思ったので、決まったと聞いた時はとても嬉しかったです。
――オーディションの時に意識していたことは何かありましたか?
オーディション当日に台本をもらったので、とにかく覚えるのに必死でした。相手役の男の子の目をしっかり見て演技をすることを意識して挑みました。
――出演が決まって、周りの方の反響はいかがでしたか?
家族も皆で一緒に喜んでくれて、友だちも「絶対観に行くね!」って言ってくれました。
――『秒速5センチメートル』のアニメーション映画はご覧になったことはありましたか?
存在は知っていたのですが、観たことは無くて、オーディションに受かった後、観ようと思っていたら、監督に「役作りのためにあえて観ないでほしい」と言われたので、観ていませんでした。
――撮影が全部終わってからアニメの方はご覧になりましたか?
最初は、役作りのためにアニメを観たいと思っていましたが、監督から「自分らしく演じて欲しいから観ないでほしい」と言われて、その時は正直驚きました。けれど撮影では、監督が明里ちゃんについて丁寧に説明してくださり、そのおかげで安心して撮影に挑むことができました。その後アニメを観たのですが、監督が説明してくださった明里ちゃんも、原作の明里ちゃんも、どちらも素直な女の子で共通点がたくさんありました。

――奥山監督はどのような方でしたか?
とても優しくて、いつもにこにこしている方でした。説明する時も分かりやすく伝えてくださるので質問もしやすかったですし、オーディションの時から「本当に優しくて良い方だな」と思っていました。
――監督とはどんなやり取りをしながら、役を作り上げていったのでしょうか?
「自然に演じてほしい」と監督から言われていたので、どうすれば本当に自然に見えるかを一緒に考えていきました。シーンごとに明里ちゃんの気持ちをたくさん考えて話し合いながら作り上げていきました。
――普段、役作りをする時はどのように役にアプローチしていくんですか?
台本をしっかり読んで、監督と相談しながら、自分なりの答えを見つけて演じています。
――役を演じる時に意識していたことはありましたか?
明里ちゃんはとても素直な女の子なので、どうすれば素直に見えるかを常に意識して、監督と一緒に考えながら挑みました。
――明里ちゃんとご自身は似ているところはありました?
たくさん笑うところだと思います。また、面白かったら笑って、悲しかったら泣くような、感情を素直に出すところが似ていると思いました。
――演じる時に自分を投影しやすかったのかなと思うのですが、そんな中で白山さんご自身が出ているかな?というシーンもありますか?
アドリブのシーンでは、自分の素の部分を混ぜながら演じることができました。シーンの中でアドリブを求められたことで、自然に自分らしさを出せたと思います。
――演じる際に苦戦した部分はありましたか?
泣くシーンが得意ではなかったので、とても緊張しました。前日は、涙がちゃんと出るかな、どんな感情で挑めばいいのかなと不安でいっぱいでした。でも、明里ちゃんの「早く会いたい」と願う気持ちと「来てくれるかな」という不安な気持ちを大切にしたら、自然に涙があふれてきました。監督のアドバイスにも支えられて、大事なシーンを乗り越えることができたと思います。

――貴樹くんを演じた上田悠斗さんはどんな方でしたか?
普段は、同じクラスの男の子と一緒にいるような感覚で楽しく過ごしていたのですが、撮影がいざ始まると、貴樹くんにしか見えなかったので、その切り替えが本当にすごいと思いました。
――明里ちゃんと貴樹くんが雪の日に桜の木の前で会うシーンはこの作品の見どころの一つかと思いますが、あのシーンの撮影の裏側はどうでしたか?
撮影当日はとにかく寒くて、演技に支障が出るのではと心配もありましたが、スタッフの皆さんがかまくらを作ってくださったり、カットがかかるたびにカイロやコートを持って来て温めてくださったりして、本当に助けられました。寒かったですが、それ以上に温かい現場にいられたことを改めて感じられたシーンでした。
――他に撮影で印象に残っているシーンはありますか?
全てが印象に残っているのですが、特に桜の踏切のシーンです。電車が重なるタイミングが限られていたのでとても緊張しました。その分、特別な瞬間を撮影できたと思います。