――映画『天文館探偵物語』に出演が決まった時の気持ちを教えてください
- オール鹿児島ロケということで、鹿児島県民として故郷でお芝居させていただくという目標が叶い、それが嬉しかったです。天文館は慣れ親しんだ街なので、思い出はたくさんあります。
――台本を読んだ感想はいかがでしたか?
- “守りたい人たちがいる。その想いが勇気になる”という台詞がキャッチコピーになっているのですが、それぞれにその焦点が当たる人物がいるなと感じました。私が演じる凪は、その対象が息子の翔真なので、初めての母親役ではありましたが、息子という存在を原動力に演じられたら良いなと思いました。
――初めての母親役で、どのように役にアプローチしていったのでしょうか?
- まず、母親らしくいようという想いを捨てるところから始めました。というのも、繕って母親らしく見せようというよりは、翔真と接している姿が結果的に家族という形に見えたら良いなと思ったので、あえてそこはそぎ落としました。あと、容姿の部分では、撮影当時が24、25歳だったので、メイクさんが大人っぽく見えるように濃いめのメイクをしてくださったのですが、自分の中では自分の容姿を気にかけるより、息子のことを考えている時間の方が多いのかなと思ったので、諸江(亮)監督にご相談して、なるべく素の状態で出たいということをお伝えしました。なので、前髪を伸ばしたり、髪の毛もあえてうねりを残したりしたまま撮影に挑んだのがこだわりの一つです。

――お芝居の中で意識していたことはありましたか?
- 監督が凪の生い立ちをすべて文字に起こして渡してくださって、彼女の夫婦関係とかだけではなくそれまでの家庭環境など、もっと細かく教えてくださったので、凪という人物像が自分の中で明確になり、しっかりと軸がある状態で現場に入れたのはすごくありがたかったなと思います。
――難しかったところや苦戦したところがあれば教えてください
- 私は故郷で撮影ができる喜びを噛みしめていましたが、凪はある事情を抱えて鹿児島の街に逃げてくるという設定なので、故郷の方言を使ってはいけないというのがもどかしかったです。せっかく故郷で撮影しているなら、方言で喋りたいなとは思っていました。
――鹿児島に逃げてきた凪がレストランで働くシーンは、生活のためという母親としての想いが伝わるシーンで印象的でした
- 凪はたまに選択を間違ってしまうこともあるんですが、それでも登場人物の方々に支えられて、息子のためにひたむきに頑張る姿は、私自身も演じていて印象的でした。
――撮影現場の雰囲気はどうでしたか?
- 限られたスケジュールの中、結構ハードな撮影スケジュールではあったんですが、諸江監督も穏やかな方で、鹿児島の空気感も相まって、穏やかな現場だったなと思います。諸江監督とは撮影に入るまでにお話をしっかりさせていただいたので、現場では全てを受け止めてくださいました。
――翔真役の俳優さんとはどのようにコミュニケーションを取って撮影に臨んでいましたか?
- 撮影が初めての子だったので、とても緊張していて、人見知りもしていたので、現場で少しでも楽しんでもらえたら良いなという想いが何よりもありました。撮影の空き時間でもなるべくずっと手を繋がせてもらって、この手を放しちゃいけないなという想いが役にも繋がったのはありがたかったです。一緒にゲームもしたりして遊んでいました。

――主演を務めた寺西さんの印象を教えてください
- 寺西さんとは今回が初めての共演だったのですが、どんなシリアスなシーンが控えていようとも、とてもフラットな状態で現場にいらっしゃる方だったので、その寺西さんの優しさが伝染して、温かい現場になっていたのはありがたかったです。
――凪の元夫・靖幸を演じた室龍太さんと対峙するシーンもありましたが、室さんはどのような方でしたか?
- 室さんも初めましてだったのですが、すごくフレンドリーに現場に居らっしゃって、その明るさに私自身もすごく救われた印象があります。
――撮影中に印象に残っているエピソードがあれば教えてください
- 寺西さん演じる蓮と凪の出会いのシーンが個人的には印象的で、本来は笑うシーンではないはずなんですけど、とてもシュールな環境で私がツボに入ってしまって、何回もNGを出してしまったのが申し訳なかったなと思っています。
――オール鹿児島ロケとなりましたが、撮影の際にご家族には会えましたか?
- 撮影期間中は実家から通っていました。役として抱えるものがすごく大きかったので、良い切り替えになっていたなと思います。
――舞台となった天文館で、何か思い出はありますか?
- 高校卒業まで鹿児島に住んでいたので、地元の友だちとゲームセンターに行ったり、商店街で一緒に食事をしたりしたのも思い出ですし、休日に家族全員で出かけて、山形屋というデパートがあるんですが、そこでラーメンを食べるのが最高の贅沢でした。
――大原さんの思う鹿児島の魅力やアピールしたい素敵なところを教えてください
- まずは人の温かさですね。街にいると「おかえり」って言っていただいたり、鹿児島県民の方に応援していただいたりすることがすごく嬉しくて、帰ってくるたびに、少しでも大きくなって帰ってきたいなという想いが励みになっています。
あとは何といっても食べ物が美味しいので、ぜひ天文館に聖地巡礼に行っていただいて、美味しいグルメも楽しんでいただきたいなと思います。
――おすすめの食べ物はありますか?
- 山形屋のラーメンもそうですし、あとは黒豚しゃぶしゃぶが好きです。

