――本作への出演が決まり、台本を読んだ感想はいかがでしたか?
- 最初に読んだ時は夜だったんですけど、ホラーなので怖くて一気に読むことができなくて、途中で断念しました。また別の日に読もうと思って読み始めたら途中で怖くて断念して、3回目でようやく最後まで読み切ることができました(笑)。前半はすごく怖いなと思いながら読んでいたのですが、結末を知ると物語の見え方が変わってくるような台本になっていました。しかも、(脚本家の)ダニーさんはホラーが好きなようで、台本の最初に前書きのような、ホラーに対する気持ちがポップに書かれていたのが印象的でした。最後まで読んでからその前書きに戻ると、ホラーって面白いなと私自身の印象がすごく変わって、ホラー映画を観られるようになりました。最初は勉強も兼ねて観ようと思ったのですが、観てみると怖いだけじゃない、巧みさみたいなものを感じるようになり、自分のホラーの価値観が少し変わりました。
――本作に向けて勉強のために観たホラー作品などはありますか?
- 最近の日本のホラー映画は結構観ました。あとは、『シックス・センス』はただ好きで観ただけなんですが(笑)。勉強のためというより、怖いんですけどホラーが気になり出して観始めたら面白くて、サブスクにあるショートドラマでもホラーのシリーズがあり、観たりしていました。
――葵さんが思うホラーの魅力をお伺いしたいです
- ホラーはその場に無いものをあるものとして表現していくことだと思うんですけど、今回の作品だとそれが会話や少ない登場人物の性格やバックボーン、組み合わせで表現していくのが面白くて、見ていて没入感もあり、台本も読みがいを感じました。さまざまな伏線もあります。
――舞台のホラー作品に挑戦する心境はいかがですか?
- 映像のホラー作品は経験したことがありましたが、舞台では初めてですし、ホラーと言ってもいろいろな種類があるので、そこが面白いなと思います。今回の作品もホラーですけど、それ以外の要素もたくさんあるので、楽しみ半分、ドキドキ半分という感じです。

――映像作品で培われたホラー作品のスキルは活かせそうですか?
- あまり想像がつかなくて、映像だとカメラワークや照明、音楽や息づかいでホラーを演出すると思いますが、舞台は空間が広いですし。例えば扉があって、その向こうに何かがいるかいないか、といった場合、舞台だと隠せる部分が少ないですし、映像より目線の誘導をしづらい分、どうやって演出していくのか楽しみですし、方法が気になります。
――舞台は毎日同じことをやるわけですが、ホラー作品ということで毎日新鮮に怖がったりしないといけないという部分について、どのように捉えていますか?
- 新鮮さは確かに常に意識しないといけない部分だとは思いますが、全然、難しいとは感じないんです。物語の最初から最後までを演じる舞台が体に馴染んでいますし、逆に途中から思い出すのは意外と難しかったりすると思うんですよね。人によるとは思いますが、私は繰り返すことに対して難しさやストレスがなく、今日の分が終わったらまた次の日に新しい気持ちでできるので。むしろ何回もやることで深まりますし、同じ演目をやっていても体調や気分も毎日違って、それで変わっていくのが面白いです。お客様のリアクションも楽しみですね。
――葵さんは怖いお話や不思議なものは信じるタイプですか?
- 信じていると思います。私は霊感とかも全然ないですし、見えたこともないんですけど、世の中にそういうものがあっても良いのかなと思います。
――台本から、ジェニーをどのような人物だと読み取りましたか?
- 今回は子どもがいるお母さんの役で、自分自身、母親役というのは経験が少なくて、お母さんに見えるのかな?とドキドキしています。でも、この役の上で子どもの存在は大きいので、どうやって役を捉えていこうかなと考えています。旦那さんとの関係性や、母親になりたてで不安も大きい中、子どもへの愛情ももちろんありますが、一人の女性としての意識や価値観みたいなものもまだ残っていて。お母さんになってすべてを割り切ってどしっとしているわけでもないですし、一人で自由に過ごしている女性でもなく、すごく複雑で精神のバランスが不安定な、そんな人生のタームにいる人だと考えていて、それで周りの人たちとの関係性も揺れ動くんだと思います。それぞれの役に皆違う性格や背景がしっかりあって、この母親になりたての若い女性の考え方や不安な感情をしっかり表現できたら、他の役と対面した時に面白く見えると思うので、キャラクターなりの等身大を演じたいと思います。

――夫婦役の加藤シゲアキさんとは何かお芝居についてお話はされましたか?
- 加藤さんとは今日が初対面で、南沢(奈央)さんとも初めましてなんですが、皆さんすごく気さくな方で、作品はホラーですけど明るい稽古場になりそうだなと思っています。
――その中で松尾諭さんとは共演の経験があり、安心感があるかもしれません
- そうですね。松尾さんご本人は愉快な方なので、ホラーではどんな感じなんだろうって思います。明るくて気さくな方で、久しぶりに共演できるのが楽しみですし、色々な役を演じられていますが、今回はどう演じられるのかを近くで見られるのは嬉しいです。
――演出の森新太郎さんとは『冬のライオン』以来、2度目となりますが、その時に感じた森さんの演出の魅力や思い出はありますか?
- 前回ご一緒したのが、私はストレートプレイが初めての作品で、分からないことが本当に多くてビシバシ鍛えていただいたなと思っています。情熱がある方で、演劇に厳しいですし、稽古も終わりが無いと感じるような、毎日濃厚な稽古期間を過ごしていた記憶があります。前回が海外戯曲で時代設定が昔の作品だったので、言い回しや作品の内容も難しく、会話で進んでいくような形だったので、難しかった印象が強いです。でも、作品や役に対して全力でぶつかってきてくださいますし、自分もそれに応えようと思って一生懸命やっていると、気づかない間に自分の今までの限界を超えていっているような感じがあり、すごく勉強になる演出家さんです。
――本作の稽古もどのような感じで行われるのか楽しみですね
- 結構私は緊張というか、前回がハードすぎて、正直かなりビビっています(笑)。でも、3年ぐらい経ちましたし、前回とは違う系統のお話なので、あまり身構えすぎずに、またビシバシやっていただけたらと思います。
――森さんの演出で楽しみにしていることはありますか?
- 一番は、この“ホラー”というものを森さんがどのように演出されるのかが楽しみです。劇場がどんな空間になるのか、これは私の想像ですが、特にホラーは照明や音楽、舞台装置も結構重要だと思っているので、どのように考えていらっしゃるかが楽しみの一つです。あとは、会話だけで全てが進んでいく作品なので、その分、負担はそれぞれあると思いますし、稽古もビシバシという感じだと思いますが、その台詞回しがそれぞれに染み渡った時に、この人数だけでどれだけのエネルギーを回していけるのか、今まで感じたことのない経験になるんじゃないかと思うので、楽しみです。

