――デビューされた翌年には、ミュージカル『モーツァルト!』で初出演にして主演という大役を務めましたが、もともと、ミュージカルにも興味があったのですか?
小学校6年生の時に、初めてミュージカルを観て、やってみたいなという憧れはありました。自己表現の一つとして、音楽をしているのも確かなんですが、成長していく中で音楽以外でも自己表現が出来るんじゃないかと思ったんです。歌で感動させるのと同時に、歌だけじゃなくストリーや照明や衣裳など、いろんなことが作用することによってもっと感動の幅が広がるんじゃないかと。6年生の時は、そこまで深く考えていなかったと思うんですけどね(笑)。僕のライブにも、ミュージカルの演出という要素を加えることで、新しいライブが出来ると思うし、あれもやってみたいこれもやってみたいという欲も出てきました。そういった意味でも、ミュージカルとの出会いは大きいです。

――デビューして、翌年にはミュージカルと忙しかったですね。
そうですね。実は、最初ミュージカルをやるというのは、周りは「う~ん・・・。」という感じだったんですよ(笑)。ミュージカルをやるとなると、稽古期間が1~2ヶ月間、本番が3ヶ月間で計5ヶ月間、拘束されてしまうということもあるので。2002年の年明け早々にミュージカルのお話を頂いたんですが、2001年にデビューをして賞も頂いたことで、レコード会社の方も事務所の方も盛り上がって2002年のスケジュールを立てている最中だったんです。でも、『モーツァルト!』は音楽家の物語じゃないですか。だからこそ、運命を感じたし、共感も持てたし、何より“やりたい”と思いました。もし、自分がミュージカルをやっていなかったら・・・と想像したりもしますが、今の現状を生んでくれてることを思えば僕の選択は間違っていなかったんじゃないかなと思います。
――その、これから公演されるミュージカル『OUR HOUSE』のお話もお伺いしたいんですが、中川さんの役どころは?
僕の役どころは、ジョーという16歳の少年なんですが、もう早く大人になりたくて仕方がないんです。僕もそういう経験がありました(笑)。“大人になれば何でも出来る”と思っているんですよね。『ハウス・オブ・ファン』という曲で、「もう すっかり大人だ やりたいことならなんでも出来るぞ よく見とけ♪」という歌詞があるんです。その“なんでも出来る”という落とし穴。その責任もデカいぞという、その辺も僕が十代のころは分からなかったところですね。

――このインタビューを読んでいる方は、どんな作品かというのも気になるところだと思うんですが、簡単に教えて頂けますか?
ジョーが16歳になり、法的にも大人になったある日に、ガールフレンドと一緒に工事現場に入り込もうとするんです。それは、工事現場から見える景色を彼女に見せるためで、ジョーにとってはとても意味のあることなんです。その景色というのは、彼のひいおじいちゃんが作ったカムデンという地域の景色で、それを彼女に見せるということは自分のプライドもさらけ出すということ。だから、彼は進入してはいけないところに進入してしまうんです。それが彼のターニングポイントなんですよ(笑)。その後、警察に捕まってしまった良いジョーと、警察から上手く逃れた悪いジョーの二通りの人生を一緒に見せていくストーリー展開です。