――ハイチとドミニカ共和国で撮影されたということですが、あまり治安の良い所ではないそうですね。撮影はいかがでしたか?
日本からは、キャストとスタッフを含めて40人くらいで現地に入り、ドミニカのスタッフの方、セキュリティーを含めて多いときには120人くらいいました。大所帯でロケをし ていたんですよ。常に、安全を第一に考えいてくれて、私がトイレに行くときも銃を持ってる人が常に付いていてくれました。無事に撮影を終えられて、ホントに良かったです。私は危険な目には遭わなかったんですが、実際に発砲騒ぎがあったり、スラム街での撮影が多かったので危ないときもあったみたいですけど・・・。
――大きな事件もなく撮影が終わって本当によかったですね。劇中では、フランス語を話してましたが、かなり練習されたのでは?
5,6年前、フランス映画が好きでフランスに行きたいと思っていたんです。でも、フランス語なんて話せないので、1年間学校に通ったんですよ。だから、今回の映画で初めてフランス語に挑戦したわけではないんですが、もうすっかり忘れていて(笑)。昔使っていた辞書を引っ張り出してきたり、急遽フランス人の先生に発音のチェックをしてもら ったり、現地でもスタッフの中でフランス語を話せる方にチェックしてもらったりしてました。

――大勢の子供たちが出てきますが、小山田さんのフランス語でコミュニケーションを取ったり?
ジャック役のスタンリーという男の子は、ハイチの現地の子なんです。だから、フランス語しか話せないので、最初はどうしようかなぁと思ったんですけど・・・、人とのコミュニケーションって言葉だけじゃないんですよね。後半になると仲良くなって、スタンリーが休みの時はホテルに、「サユリは何をしてるんだい?僕はいまカフェにいるんだ!」って電話がかかってきたりもしました。だから、日本に帰る頃は、もしかしたらもう二度と会えないかもしれないと思って、凄く悲しかったですね。
――キャストの方も錚々たるメンバーですよね、共演されていかがでしたか?
緒形拳さんと共演できたことは自分にとって、大きいことでしたね。とても穏やかな方で、「どうですか?楽しんでますか?」と気を使っていただきました。山本耕史さんは、歳も近いということもあり、すぐに打ち解けられました。彼は何でも出来るんですよ!歌も演技もそうですけど、待ち時間はギターを持って歌ったり踊ったり(笑)。
――山本さんが踊るなんて、ちょっと意外ですね(笑)!
踊ってましたよ。アドゴニーも陽気な人だから2人でセッションみたいになってました(笑)。本当に楽しかったですね。撮影は大変でしたが、それを通り越した楽しさというのを学びました。

――この作品で注目してほしいところは?
私は、この作品に関わるまでハイチが何処にあるか、どんな所なのか、全く知らなかったんです。たぶん、普通に生活している日本人の方は、ほとんど知らないままだと思うんです。私は、幸子と一緒に現地で見て、聞いて、感じて、知ることの大切さを学んだので、まず皆さんにも、見て知ってもらいたいです。
――どんな方に観てもらいたいですか?
教育映画ではないですし、子供から大人まで楽しんでもらえる作品になっていると思うので、皆さんに観てもらえたら嬉しいです。あと、20代の働く女性が観ても、幸子の奮闘は共感してもらえると思うので、是非(笑)。
――小山田さんは、今後どんな役をやってみたいですか?
20代の頃は、この監督と仕事をしてみたいとか、こういう作品に出たいという思いがあったんですけど、30歳を過ぎてキャリアを重ねていくうちに、囚われなくなりました。自分で枠を設けてしまうと、縮こまってしまう気がするので、敢えて“この役で”と決めずに、いただいた役を一生懸命演じることが、私にとってベストだと思っています。
――では、プライベートでやりたいことは?
海外に行くと視野が広がるので、休みがあれば行きたいですねぇ・・・。女性の一人旅は危険なので、いつも行く先に友達がいる所へ旅行するんです(笑)。
――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
本当に映画『ミラクルバナナ』を撮って、幸子と一緒に成長できたと思うし、知ることの大切さを知りました。知らなければ、何も始まらないし、何も分からない。だから、 是非劇場に足を運んで、何か感じてもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。