――主演を務める丸山さんの印象は?
関ジャニ∞の丸山さんっていうキラキラしたアイドルで、バラエティもやられていて面白くって、というイメージがすごい強かったですけど、それは本当にそのままの丸山さんでびっくりしました。
――稽古場での、丸山さんの座長としての立ち振る舞いをご覧になっていかがですか?
本当にテレビで見るイメージ通り、優しくて面白くてマメで素敵な方だなって思うんですけども、でもやっぱり今回背負っているものが詐欺グループのリーダーで、それだけじゃなくてもっともっと色んなものを背負っている役なので、そういった意味ではきっと丸山さんが他の現場で見せる顔とはまた違うピリッとした表情だったり、オーラだったりがこの現場ではあるんじゃないかなと思います。明るく優しい言動の裏にそういう強い覚悟を感じると言いますか、本当に尊敬出来る座長です。
――今回のお話的にどの役者さんも普段見られない一面というか、ギャップがかなり出る作品なのかなっていうのは感じます
そう思います。これは私が勝手に言っているだけですけど、赤堀さんご自身もそれを狙って書かれているのではないかなと思いました。
――よりお芝居の幅が広がるのではないでしょうか
そうですね。お客さんもきっと嬉しいんだろうなと思います。応援している役者さんの、自分が知らない表情を観られるのはすごく新鮮で面白いことなんだろうなと思います。
――小野さんがシアターコクーンで演じられるのは初舞台である『8月の家族たち』以来となります。シアターコクーンに戻ってこられたお気持ちはいかがでしたか?
本当に感慨深いですね。高校生の時に、絶対このコクーンにまた戻ってくるぞと誓って楽屋を出たのをすごく覚えています。初舞台がケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)の演出で、しかもコクーンで演じられるとあって、当時は色んな人から「あなたは恵まれているよ」「ラッキーガールだよ」ってすごく言われて。それは自分の中でもすごく自負していて、本当にラッキーガールだなって思っていたんですけど、それと同時に、次はラッキーじゃなくてちゃんと自分の実力でコクーンの舞台に立ちたいなって思ったんですよね。ただ、それにはもっと時間がかかるだろうと思っていたので、こんなにも早いタイミングで再び立てるというのは本当にありがたいことですし、感謝とともに、身の引き締まる想いです。

――舞台としては4作品目となりますが、これまでの経験から今作に生かしたいと思う部分はありますか?
私は意外とセリフを飛ばしやすいっていうことに最近気づいたんです。そういえば初舞台も2作目も3作目も、1回はセリフを飛ばしているんですよね。でも自分では、自分強い!と思っていたんですよ(笑)。「あんまりセリフとか飛ばさないんですよね」みたいに言っていたんですけど、ちょっと待てよ、と。1回も失敗せずに舞台を終われたことないなって気づいて。なので、それは今回気をつけたいです。ノーミスを目指したいって思っています。
――小野さんにそんな弱点があるとは……
そうなんですよ!1日すごい不調な日が必ずあって、なんか今日変だったな……って思うとあのセリフ言ってないからだ!とかあるんですよね。私、実は今まで1回もコンプリート出来たことなくて。今回こそはノーミスを目指して、赤堀さんの前で胸を張りたいなって(笑)。「私ノーミスでした!」って言いたいです。頑張ります(笑)
――テレビや映画と様々な作品に出演されていますが、舞台と映像作品で向き合い方は変わりますか?
役を演じるっていうのには一貫しているものがありますので、変わらないですね。ただ、舞台ではお客さんに向けて演じているので声の出し方とか身振り手振りを意識していますが、一方で映像はお客さんというものがいなくて、自分の動きにカメラが合わせてくれます。そういう物理的な違いはもちろんありますが、精神的な心意気的なものに違いはないかなと思います。
――小野さんが感じる舞台の良さは?
やっぱり一期一会の巻き戻しのきかない世界観で、お顔もお名前も知らない何百人っていうお客さんと、2時間、無理心中をするような気持ちというか、この人たちと私は2時間どうにでもなってしまうみたいな、そういう切羽詰まった一体感というか、そういうものは舞台ならではだなと思います。お客さんも一緒に演じてくださっているような気持ちになることがあって、息をのんで一緒にこの世界観に浸ってくれているのを感じる瞬間ってあるんですけど、あの感覚は舞台でなければきっと味わえないなと思いますね。

――舞台『パラダイス』の見どころを教えてください
個人的には、まず一つはやはり丸山さんのギャップですね。私たちの知っている丸山さんじゃない丸山さんを恐らく見られるんじゃないかなっていう特別さと意外性は確実にこの舞台の一つの大きな魅力だと思います。
あとは、詐欺というものに対して理解を深めるのにも一役買うなと思っていて。どこか詐欺と聞いて、なんとなく実態はあるんだろうけど自分の生活圏内には入ってこないし、そういう得体の知れないものが、実際に作品を通して詐欺グループの人たちを見ることによって、より身近になって、なんでこういう人たちがこの世にはびこってしまうんだろうかっていうそういう根本的な問題提起にもなるような気がしています。そこも私はこの脚本を読んでハッとした部分ではありました。
――小野さんの感じた部分が、お客様にも伝わっていただけると良いですね
もしかしたら気軽に観られるようなお話ではないかもしれないですが、確実に観た後に何かが残るような、ずっしりとした作品になっていると思います。
――最後にメッセージをお願いします
こんな世の中ではありますが、この舞台に足を運んでくださった方に損はさせないように、私は必死に赤堀さんに食らいついて稽古をさせていただきますので、どうか一緒に2時間心中していただくような、一緒に生きて、一緒に楽しんでいただければと思いますので、興味が湧きましたらぜひコクーンにお越しいただければと思います。よろしくお願いします。


撮影:Kuro