2011/05/16
<牧田哲也>『アベックパンチ』インタビュー
――アベックのルールや設定について、どのように思われましたか?
アベックのルール上、手を繋いで向かい合って立つと女性の前に男性が立つことになるんですよ。イサキが悩むのと同じで、いくら格闘技をやっている人でも女性を殴るっていうのはどうなんだろう、どういう感覚なんだろうって思いましたね。あとは、お笑い芸人さんが本番終わった後に、コンビでダメ出ししあっているように、アベックにもそういうコンビ間の言い合いって相当あると思うんですよね。女性に「あなた弱いね」とか男のプライドをズタズタにされることもあるでしょうし、コンビ愛、コンビプレーって難しいなと思いました。架空のスポーツだったので、自分たちでリハーサルの時に自分たちで技を作ったりしたんですね。僕のパートナーの水崎綾女ちゃんは、アクションの経験がすごくある子なので、彼女が出来るアクションをやって、横に居る僕がそれにどのように合わせるかっていうのを考えてやったりして。うまくいっている時はうまくハマるんですけど、うまくいかないときはすごくギクシャクしちゃうっていう。コンビ愛が試されましたね。
――アクションシーンはどのくらい練習しましたか?
2週間の間に、2~3時間のリハーサルが4回位ありましたね。
――それだけですか?!
そうですね。あっても5回位だったと思います。

――メバル役の水崎さんとの息のあったアクションを実現するために、工夫したことなどがあれば教えてください。
全くの初対面の人と手を繋いでアクションって少し抵抗があるじゃないですか。彼女とは舞台『吸血鬼』の時に共演していてある程度知っていて、お互い言いたいことは言える仲だったのでそういう抵抗は無く入れたのは大きかったですね。
――冬のとても寒い時期に撮影が行われたそうですが、牧田さん流の寒さ対策などはありますか?
天候に恵まれて、千葉でロケした時は晴天で日焼けする位だったんですよ。撮影終わった後に少し顔が黒くなったり。風が無くて太陽が出ていたので結構暖かかったですね。言うほど寒い経験はこの撮影中では無かったですね。
――演じていて、印象に残っているシーンはありますか?
コルビーナが居なくなって、ヒラマサが酔っぱらってどうにもならなくなったときに、イサキが「しっかりしろよ」って言いに行ったら逆に言われるっていう長回しのシーンですね。これを撮るときに、まさか長回しで撮ると思わなくて。長回しは綺麗なやりとりがしっかりできていないと違和感がでてしまうので、鈴之介君と不安になりながらやりました。知り合いに完成品を見てもらった時に、長回しのシーンすごく良かったよって言ってもらえて、嬉しかったですね。
――「離さない!」というキャッチコピーが印象的ですが、牧田さんには「離さない!」というものはありますか?
なんだろうなぁ…時計はずっとつけていますね。携帯があるのであんまり時計見ていないんですけど。舞台の稽古があるときは、稽古場で取ってしまうのであんまりつけていっても意味が無いと思って、何回かつけて行くか行かないか迷ったんですけど、やっぱりつけて行きましたね。今は時計をつけない人も居るじゃないですか。なんでつけないんだろうって思うくらい、僕は手放せません(笑)
――映画の見どころを教えてください。
イサキとヒラマサの友情関係というのはすごく好きで、自分と近いものがあったりして感情移入しやすい所がありました。そういう間柄を、人としてもすごく好きな鈴之介くんと一緒に作り上げることが出来て、結果的に周りの人から「良かったよ」って言ってもらえるのはすごく嬉しいことですね。そういう男の友情って女性も憧れる部分でもあるのかなって。あとは、最後の戦うシーンも一日がかりで撮影したので、この盛り上がりも見てほしいと思いますね。

――オフの日の過ごし方は?
僕、何もしなくても平気なんですよ。なので家で結構ぼけーっとしています(笑)。家に居るのがダメな人って居るじゃないですか。僕テレビっ子なんですよ。家に帰って一番初めにすることはテレビをつけることで、テレビをつけてぼけーっとするとリラックスもできるんです。
――ご自身の出演された番組はチェックしますか?
チェックはします。でも何度も繰り返して見ることはなかなか出来ないですね。
――名古屋出身ということで、東京に出てきて驚いたことや印象に残っているエピソードはありますか?
東京はちょくちょく来ていたんですけど、電車乗っていると前の人が怖いんですよ。何ですかね、あれは。めっちゃ怖いですよね。なんだか冷たくて冷酷な感じがして、一人ぼっちだ…みたいな。でも実際住んでみたら案外普通の人ばかりだったって(笑)。ランドセル背負った小学生が普通に電車で通学しているのにも驚きました。僕が電車一人で乗り出したのって高校の途中位でしたからね。
――今後どのような活動をしていきたいですか?
説得力のある人になりたいです。どんな役を演じるにあたっても、例えばすごく人の良い役をやるとして、普段あまり良く思われていない人が人の良い役をやっても説得力が全く無いと思うんです。「うわ、偽善者だ」って。良いセリフを言ってそれはそれでちゃんと成り立っても、その人の人間性が表に出てきてしまうことってあるじゃないですか。それが全てじゃないですけど。悪い役は悪い役で地が悪い訳ではなくて、その人の役への向かい方とか人間性が大切だと思うんです。『D-BOYS STAGE』で酒井敏也さんと舞台を一緒にやらせていただいて、この前お話したんですが、舞台をやるにあたって芝居の上手い下手は関係なくて、どれだけ舞台でその人の生き様を見せるかっていう所が重要だって。人が人を演じるんだから人間性っていうのは本当に大事で、技術だけあっても、聞こえは良くても心には響かないんですよ。俳優や女優って「優れる」って字が入っていますよね。俳優である以上、人としても優れていたいっていうのはありますね。
――プライベートで挑戦したいことは?
タイに別荘を持ちたいです。親父が3年位タイに住んでいて、タイはすごく良いですよ。人も優しいですし、落ち着くんですよ。ちょっと休みがあったら、タイに行くっていうのをしたいですね。
――最後にファンの皆さんにメッセージをどうぞ!
舞台『ヴェニスの商人』では、『アベックパンチ』とは全く違うキャラクターを演じているんですよ。道化の役なのでバカなことをする役なんです。あと2役も別の役を演じるんですが、そちらもバカな役。だから、『ヴェニスの商人』を見た方に『アベックパンチ』を見ていただいたら、その二つの作品を見た上で僕っていう俳優がどう見えるのかなっていうのには非常に興味があります。また、夏に公開を控えている『ヴァンパイア・ストーリーズ』もまた今までとはガラッと違う役所なので、こちらも是非お楽しみに!

6月18(土)より、シネマート六本木ほか全国順次公開!
出演:牧田哲也/鈴之助/水崎綾女/武田梨奈
監督:古澤健
配給:アンプラグド
原作コミック:タイム涼介(BEAM COMIX)
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