
2008年から放送を開始した北海道放送(HBC)「森崎博之のあぐり王国北海道」(現「あぐり王国北海道 NEXT」)で出会った農家さんの数が700を超え、ホクレンアンバサダーに就任して2025年3月で5年を迎えるなど、俳優だけではなく、「農業タレント」として、ますます活躍の幅を広げている森崎。
そんな森崎は2023年、TEAM NACS のメンバー5人がそれぞれの個性を生かした公演を行うソロプロジェクト「5D2 -FIVE DIMENSIONS II-」の一環として、「Hiroyuki Morisaki AGRIman SHOW」を東京・大阪・札幌で上演。同公演では農業をテーマに、歌、芝居、料理、イリュージョンを織り交ぜたエンタメショーを展開し話題を呼んだ。
その「AGRIman SHOW」がパワーアップし、北海道7都市を巡るツアーとして今月12日から開幕。農業従事者はもちろんのこと、一般の皆様にも楽しんでいただけるショーで、一部森崎が描き下ろした新作を交えた道内ツアーとなっている。
森崎は北海道から緊急上京し、「AGRIman SHOW for AGRIman」〜北海道ツアー開幕直前取材会が行われ、出演は「私と農産物のみ」とされているショーの内容に迫った。
マスコミの前に登場した森崎は「こんなに来ていただけるんですね!北海道で取材するって言ってもあんまり来てくれないんですけど、やっぱ東京だとこんなに人が多いんだな〜!」と声を上げる。
再演のきっかけについて、「(2023年に)日本一愉快な農業ショーをやりますと言ってもなかなか面白くなさそうで、愉快なイメージが無いと思うんです。でもやってみたらすごく大喝采をいただきまして、自分で言うといやらしいんですけども、面白かったんですよ!すごく!」と自画自賛。「2時間、1人で農業と酪農業の話しかしない、そんなエンターテインメントです。これを見た人が口を揃えて『もっとたくさんの人に見てもらったら良いのに』『こういうのはちゃんと農家さんに見てもらったら良いんじゃないか』。これまでたくさんの出し物を見てきたアミューズの会長も『お前、これは良いわ』って。TEAM NACSで20年前からお世話になっていますが、『お前を見てきた20年間の中でこれが一番面白い』ってすごい絶賛してもらったんです」と周りの反響の大きさを明かし、「(アミューズの会長から)『全国の農業がある場所を全部回ってこい!』と言われたんですけども、申し訳ないけど、そこは私、北海道で17年間農業番組を務めております。まずはそこ、北海道への感謝がありますので」と北海道ツアーの実現を話しながら「ゆくゆくはですね、これにとどまらず、例えば東北ツアーとか、九州ツアーとか、農業地のあるところどこへでも出かけたいなと思っているところです」と意欲を見せた。
今回のイベントタイトルについては「農家の人にとにかく見てほしい。北海道は全土、どの区域も農業地です。農業・酪農業どこでもございます。そういう人たちにたくさん見てもらいたいなという想いを込めて」と語りながら、「ですが、『スラムダンク』って映画はバスケをやってる人だけが面白いかと言ったらそうじゃない!誰が見たってそんな映画じゃないですか。私が目指すのはそこなんです!」と話し、「農業・酪農業に今のところまだ興味がなくとも、全ての人が食べることには興味があるわけですね。毎日食べて生きているわけです。ですから今回は食べ物への感謝、応援のショーなんだ!ここに想いを込めています。ですから農家さん、酪農家さんだけじゃなくて、全ての人たちに見にきてもらいたいです」と熱弁。
「ニュースでは、農業が厳しい、円安の煽りを受けている、飼料高騰で大変、後継者不足、もう色んなことを言ってきますが、ちょっと待ってくれよと。どんな業界だって同じじゃないですか。次の世代に向けて、農業の明るいところを紹介しないとならないと僕は思って。だから農家さんは全ての人が欲しがっているものを作ってくれていて、育ててくれていて、ちゃんとお仕事して稼げる仕事で、だから農業が素晴らしいんだよと、皆に喜んでもらえる食べ物を作っている仕事なんだよということをちゃんと伝えたい」と農業の課題を語りながら、「農業に光を当てたいというか、私、今53歳なんですけど、おっきくなったら太陽になりたいと思ってるんです。将来の夢がね。そういう存在になっていきたいんです」と真面目に宣言。「だから、見てくれた農家さんや農家さんのお子さんが、うちの仕事ってかっこいいんだ、面白いなと思ってほしいし、我々一般消費者も、やっぱり食べることってすごく大事だし、もっと感謝をして食べようって思ってもらえたらと思います」とコメント。
現在、北海道の農業応援団長を名乗っている森崎だが「ゆくゆくは日本の農業応援団長になれたら。農業だけじゃなく、全ての第一次産業を応援させてもらえるような、そんな存在になれたら良いなと思っています」と大きな目標を掲げた。
前作からパワーアップした部分を聞かれると、全編農業と酪農業で約1時間45分のショーを送る中、「前までやったことなかったんですけど、初めて一人芝居に挑戦します」と明かす。「映像コントや歌をちょっと、イリュージョンをちょっと」と構成を明かし、「今日もちょっとやったんですけど、ラスベガスでショーをやっているような超有名なマジックの先生に教えてもらって、野菜マジックします」と公演に向けての準備も進んでいる様子。また、一人芝居については「3本ありまして、その3本のうち1本は新作を書きました。北海道のトマト農家さんの実話です」と明らかにした。
そして今回は、森崎自身が考案した、市販のルーやブイヨンを使わず、牛乳の味を引き立てるクリームシチュー『なしなし牛乳シチュー』をイリュージョンとともに作る。
芝居に料理、イリュージョンと様々な内容を繰り広げる本作、準備期間が一番かかるものについては「芝居です。脚本です」と即答。「去年からずっと本を書いて、皆の意見も聞きながら直して。TEAM NACSは遠慮ない4人がいますから、地獄のようなダメ出しがきて、泣きながらいつも書き直すんですけど、今回は一人なんで。マネージャーとかに手伝ってもらって、遠慮なく何でも良いから意見ちょうだいって言って、その人たちと一緒に作っています」と話し、「今回はうちのメンバーがいない一人芝居なんだけど、大泉(洋)だったら何て言うかなとか、安田(顕)だったら何も言わないけどどんな顔してるかなとか、そう言うメンバーの顔も考えたりしています」と、一人で稽古しながらもメンバーのダメ出しが聞こえてくるようで、「彼らと一緒に30年近く演劇をずっとやってきてますから。空の上から見守ってくれてるのかな……生きてますけどね(笑)」と笑いを誘う。
ちなみに、そのメンバーは森崎の公演について「一言も何も言ってこないですね。ちなみに2年前の作品も1人も見にきてないです。忙しいんで」と、特にコメントはなかったとのこと。
また、俳優の仕事と農業関係の仕事のバランスについて質問が上がると「北海道が好きすぎるもんですから、ずっと北海道に幸せなんですけども。北海道で大地の仕事をさせてもらっている、そう言う自分もすごく呼吸がしやすいんです。ただ、それだけじゃなくて、自分を高めるためにより多くの仕事にこれからもトライしていきたいなという気持ちは強いです」と意欲的で「だから、そういう意味で東京にはいつも戦のように、ここからお江戸だ、と参勤交代の気持ちです」と心境を語る。
「今回、いつもは札幌がどうしても北海道ではメインの場所となりますけど、本当に珍しいんです!北海道各地に行かせていただくって!注目は根室ですね。根室は人口2万2000人、この街で1000人のお客さんに来てもらいます。札幌で考えたら、人口比で言うと札幌で10万人集めたことになります。もうGLAYです。私、根室のGLAYになります!」と宣言し、「稚内は1300人。羽田からも毎日直行便が出ております。皆さん来たことありますか?運が良ければ流氷に乗っかったアザラシなんかも見れます。ぜひいらしてください!」とPR。
「舞台は見てくれる人がいないと成立しなくて、お客さんがいないと稽古と一緒なんです。だから私たちはいつも、お客さんが揃った時に舞台が完成したなって思うんです。今回、本当に非常に厳しい戦いではあるんですけども、まずはたくさんの人に知っていただくということで、農業のショーではありますが、我々全員が関与している、食べることへの感謝のショーです。多分、見たその日から、食べ物が美味しくなると思うんです。まるですごく良い調味料をお渡ししたような、そんな感じになると思います」を話し、「食べるものというのは、“ながら食べ”。これで美味しくなります。私が推奨したいながら食べは、まず“知りながら”、そして“感謝しながら”、“応援しながら”食べる。そしたら食べるものがどんどん美味しくなっていくんですから!それは私しかやっていません!一番てっぺんにあるのがこの『AGRIman SHOW』です!皆さんお待ちしております。どうぞ、北海道ツアーにいらしてください!」と熱く呼びかけた。
そして、取材会の後には、北海道の農産物の魅力を伝えるべく、東京のマスコミに向け、“アグリマン”森崎特製の手作りクリームシチュー振舞い会を実施し、“北海道の農業応援団長”を名乗る男が作る本気のシチューが振る舞われた。
「AGRIman SHOW for AGRIman」〜北海道ツアーは、2月12日(水)の札幌公演を皮切りに、旭川、北見、七飯、根室、稚内、幕別の7都市で上演される。