1970年に「週刊少年キング」で連載された鬼才・手塚治虫氏原作の壮大なSF青春ストーリー『アポロの歌』を現代解釈し、実写ドラマ化。人間のダークな部分を掘り下げた手塚治虫のノアール作品“黒手塚”とも呼ばれており、大きな叙情詩の中で、手塚が真っ向から愛を描き讃歌を謳った傑作として、今改めて注目を集めている。「愛のいくつかのケースについて、それが人間の生き方とどうかかわりがあるかを描きたいと思いました」との言葉を手塚が残しているこの物語を、手塚プロダクション監修のもと、現代解釈版の物語として蘇らせた。

timeleszの佐藤勝利と髙石あかりがW主演を務め、西垣匠、森田想、河井青葉、ふかわりょう、池内博之がレギュラーキャストとして、手塚治虫の“スターシステム”を登用し、全世界で演じ分ける。

第1話先行上映会後に行われたトークイベントには、佐藤勝利、髙石あかり、西垣匠、森田想、監督の二宮健が登壇。会場の後ろから、客席通路を通ってのサプライズでの登場となった。

本作で2年ぶりにドラマ主演を飾り、前人未到のパラレル・ラブストーリーに挑む佐藤は「この作品は自分にとっても大事な作品で、久々に映像でお芝居をしたのもそうですし、僕としてはものすごく自信がある作品になっていますので、これからに繋がっていったら嬉しいなと思っています」とコメント。

幼少期の母とのトラウマのせいで、愛を軽蔑して生きている大学生・近石昭吾を演じる役どころだが、「難しい役柄ではあったかなとも思うんですけど、自分が演じたことのないシチュエーションであったり、喫煙シーンもそうですしワンナイトのシーンがあったりとか、なかなか僕としても新境地的な部分もあったので、自分でも現場でどういう感情になるんだろうとか、本当に吸っている人に見えるかなとかも考えながら、でも面白かったです。難しかったですけれど、こういう役はやりたかったなってずっと思っていたので。なんかそういうとたばこ吸いたいみたいになっちゃいますけど(笑)」と振り返りながら、「でも紙たばことか分からないので、大人に教えてもらいながら、リアルにはできたのかなという自負もあります」と自信をのぞかせた。

そんな佐藤の印象を二宮監督は「初めてあった時に色々話して、手塚先生が書かれていた主人公像を託すというところではあったんですけど、それとは別に、勝利くんの中にある、多分すごいパーソナルな部分だとは思うんですけども、そこを作品の中で掬い取りたいと初めて会った時に思って。正しい言葉が思い浮かばないんですけども、どこか傷ついている気がしたんですよね」と佐藤を分析し、「その傷ついている気持ちみたいなものを作品の中で一緒に寄り添いながら、それを撮っていきたいという気持ちが強くありました。勝利くんの中で自分のパフォーマンスとして出していいこと、出しちゃいけないことの整理がまだついていない部分の中で、多分これは勝利くんの中で共有してくれていいものなんだよという部分に触れてみたいという気がありました」と話す。

反対に佐藤から監督へ聞いてみたいことを聞かれると、「まず傷ついたっておっしゃったのが……」と監督の言葉を気にした様子で、「お芝居に対してご相談させていただいたことでもあり、怖さみたいな恐怖心があったこともお話しさせていただいたので、そういう部分ですかね?」と確認すると、二宮監督は「そういう部分もあるし、彼のキャリアを見ても普通の人とは違うキャリアで、多分自分が整理ついていない部分も人前で開示していく機会が人よりも多かったと思うので、そこで積み上がっているパーソナリティみたいなものは到底僕は分からないですし。でも、傷ついたっていうとちょっと言葉が強いんで、良い言葉じゃないな…」とと迷いながら、「でもすごく良い意味で、自分の立場だったり目の前の構造に対して理解と意欲がある、良い意味で疑問を持っている人だなと思って。一面的に捉えていないというか、常に二つの可能性を感じながら生きている、両極にある可能性を捉えながら生きている人だなと感じたので、そういう人だから語れる物語はあるなと」と続けると、「人として深みがあるということですかね」と返す佐藤だった。

さらに、佐藤から「監督は演出するという意味で人を見つめる仕事でもあると思うんですけど、僕もオーディション(timelesz project)ということで人を見る経験を今まさにしているんですけど、監督はどうやって人の良さを引き出していますか?どの入り口から人を見ているんですか?」と質問を投げかけると、二宮監督は「フックになる言葉や行動を探したいと思うし、自分もそれをあえて出したりする中で、どこに人との接地面を見つけられるかというのは常に考えたいなと思っていて。絶対何かあるし、まずは相手を信じないと始まらないので、どこでこの人が食いつくのか、どこで自分が反応できるのか、まずは自分がどこで反応できるだろうということに対しては敏感でいたいなと思っています」と真摯に答えた。

そして、物語の中に出てくる“合成人の王”にちなみ、「この人、〇〇王」のテーマでフリップトークをする企画が行われ、撮影現場で一番だった人のことをエピソードと共に発表。
佐藤は西垣を「すべての王」と称し、「スポーツもそうだし…すごいんですよ!西垣くん!フェンシングのすごい人なんですよ!プロです!お芝居もさすがでしたし、かっこいいなぁ…」と褒めると、西垣が「国宝級に言われても……」とタジタジになる場面が。続けて佐藤は「本当に優しいし、才色兼備の名にふさわしいぐらい、食事制限のストイックさもそうですし、隙を見つけたいぐらいすごいです!」と大絶賛だった。

「キャンピングカー王」と書いた西垣は、「俳優さんが移動する時に送迎とかがあって、大体車種は決まっているんです。で、静岡でロケをしていた時、ロケの近くにいつも派手目のキャンピングカーが停まってて、あれなんだろうと思っていたら、撮影終わって『お疲れさまでした〜』って勝利くんが入っていって。それでずっと移動してたんですよ!目立ってしょうがないなと印象に残っていた話です」と暴露が。
すると佐藤が「色々説明することがあるな」と前置きし、「大変なロケだと、現場もスタンバイ場所やメイク場所がなかなか無かったりして、撮影のために便利だなと思ったのが最初なんですけど。派手というかでかいんだよね。でかさが目立ってたね」と振り返ると、「ピンクでしたよね?」と西垣から聞かれ、「違うよ!全然ピンクじゃないよ!普通の白のやつ!」と返すも、西垣は「配色がアイスクリーム屋さんぐらいの」と記憶していたようで、「あれ?すべての王じゃないな?」と西垣の勘違いにつっこむ佐藤だった。
また、キャンピングカーには悲しい結末があり、「最後の日の前日にエンジンがかからなくなっちゃって。歴史のあるちょっと古めのやつをお借りしたんですけど、動かなくなっちゃって。マネージャーさんはすごくなんとも言えない顔をしていましたね。本当に感謝してます」と残念エピソードとなった。

さらに、転生がテーマとなる作品ということで、“繰り返す愛の試練コーナー”と題し、一人ずつ作品にまつわる単語を言い、次の人はその前の単語も順番に言っていき、答えられなかったら負けのゲームを行った。
「軍人将棋」から始まり、「デコルテ」「転生」「シグマ」「メガネ」「大学生」「キャンピングカー」「海」「レジュメ」と単語が続く中、直前の森田の発した「砂丘」が出てこず、佐藤がアウトに。「僕ができない空気感ですけど、全国大会ですからね!!」と諦めの悪さを見せた佐藤だった。罰ゲームは、後ほど公式SNSで発表・投稿の予定となる。

最後に、佐藤が「一貫して愛がテーマになっています。シンプルなテーマだからこそなかなか現代で描かれていない、描く作品が少なくなっているように感じてもおります。なので、改めて愛というものを見つめ直す時間になってほしいなと思いますし、手塚さんが捉えた、普遍的なことですが、愛の本質を改めてこの現代解釈版『アポロの歌』で、ぜひ一緒に受け止めていただけたら嬉しいです」とメッセージを送った。