
『鉄コン筋クリート』(06年)『海獣の子供』(19年)『映画 えんとつ町のプペル』(20年)など、これまで数々の名作を世に送り出してきたSTUDIO4°Cの最新作『ChaO』。
『となりのトトロ』『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)のラインプロデューサーを務めた田中栄子が主宰するクリエイティブ集団STUDIO4°Cは、ハイクオリティな映像と独特な世界観で世界中に多くのファンを抱えているが、最新作で描かれるのは【種族と文化を超えた恋と奇跡の物語】。オリジナルアニメーションとなる本作では、絵を1枚1枚描く手書きアニメーションにこだわり、圧倒的な作画量と斬新な処理の背景美術で、瑞々しくもかわいく人間と人魚の恋模様を描く。
早くも国内外から大きな注目を集める本作で描かれるのは、種族と文化を超えたミラクルなピュアラブストーリー。本作の舞台は、人間と人魚が共存する未来社会。船舶をつくる会社で働くサラリーマンのステファンは、ある日突然、人魚王国のお姫さま・チャオに求婚される。ステファンは訳も分からないまま、チャオと一緒に生活することに!?純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、ステファンは少しずつチャオに惹かれていく――。2人の恋の行方はどうなる!?
公開に先んじて、アニメーション映画祭としては世界で最も長い歴史を持つ世界最大級の映画祭、「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」長編コンペティション部門で準グランプリ相当の審査員賞を受賞、さらに北米最大のジャンル映画祭である「ファンタジア国際映画祭」のコンペティション部門にもノミネートが決定。早くも世界で大きな話題を集めている。
この度、主人公ステファン&チャオを捉えた貴重な原画5点と、制作の舞台裏を語るスタッフ陣のコメントが到着した。
まず、公開されたのは、主人公・ステファンの豊かな表情やキュートに微笑むチャオの姿などが描かれた、合計5点の原画。
原画に残されたスタッフのメモ書きからも抜かりないこだわりが伝わる。本作では総作画枚数10万枚超えの超緻密なアニメーションで表現される多様な人間模様や恋の物語が大きな見どころの一つ。計算し尽くされたアニメーション誕生の背景について、監督は「アドリブが多く上がってくることが多かったのですが、そういうものを楽しみに作っているところもありますし、それを殺してしまうとこの作品の味や良さというものがなくなってしまいますよね」と振り返り、制作現場で生まれる“アドリブ”も積極的に採用していたという。「いっぱい描くのって大変ですからね。忙しい中で皆さん受けてくださって、それでやってきたことは無下にできなかったんです。(キャラクターデザイン・総作画監督の)小島さんの立場からすると、(素材が)いっぱいある有り難さがありつつも、画としては整えなければいけないという大変さはあったと思います(笑)」と当時を回顧。
一方、小島は「STUDIO4℃だからこそ、“このくらいはいいだろう”という良い意味で自由度があったので、他の作品ではできないことをやろうと思って挑みました」と“自由さ”が大きな武器になったことを明かす。「今回に関してはアナログでやりたかったので、鉛筆で描きました。『海獣の子供』を観て鉛筆の良さを感じたので、なるべく鉛筆でいきたいなと思いまして…。原画を描くときも、キャラクター表も、ティザーも全部鉛筆で。この作品には鉛筆のタッチのような、生きている感じが必要でした」とこだわりをコメントしている。