今から22年前、ロック映画の金字塔となった、みうらじゅん原作・宮藤官九郎脚本・田口トモロヲの初監督作となった映画『アイデン&ティティ』。その系譜とも呼べる新たな音楽青春映画、田口トモロヲの10年振りの監督最新作『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が3月27日(金)に全国公開となる。

本作の舞台は1978年。わずか1年の間に、その後のロック・シーンに大きな影響を与えた若者たちのムーヴメントがあった。スマートフォンもSNSも存在しない時代、自分たちの音楽を、自分たちの手で届けようと、楽曲も録音スタジオもレコードもすべて自分たちで創り、新しい道を切り開いていく【D.I.Y.】のスピリットで音楽業界に風穴を開ける。メジャーしかなかった世界にインディーズというスタイルを生み出し、自主レーベルを立ち上げ、着席が常識だったライブにオールスタンディングを導入し、数多のバンドが集うロック・フェスを開催。いまや当たり前となったカルチャーの原点を築いたのは、カリスマでもスターでもない——ただ、自らの表現を信じて突き進んだ、若者たちだった。そして彼らが残した火種は消えることなく、日本の音楽シーンに計り知れない影響を与えていくー。ひとつの時代、ひとつの革命をエネルギッシュに描いた新たな青春音楽映画が誕生。

公開に先駆けて開催されたジャパンプレミアに、豪華メンバーが大集結。構想から約10年を経て、映画の完成を迎えた田口監督は「10年かけるつもりはなかったんですけども、いつの間にか年を取ると10年って早いですね。でもこういう形で完成して公開できるのは嬉しいです」と喜びを語る。脚本を担当した宮藤も「まさか10年かかるとは思わなかったですね」と吐露し、「僕が脚本を書いている時に、峯田くんが『いだてん』に出てて、『僕、坊主なんですけど、ストリート・キングダム大丈夫ですかね?』って。それぐらい前から準備はしていたんですけど、こんなに揃うんだったら待っててよかったなって感じです。キャスティング的にも内容的にも素晴らしいです」と自信をのぞかせる。

22年前に公開となった田口の初監督作品『アイデン&ティティ』が俳優デビュー作となる峯田は「ずっと音楽をやってきて、初めてお芝居の世界に田口さんが僕を引き込んで、僕の人生を狂わせた人で。またその座組に呼ばれて、参加できるだけで嬉しかったです。22年経ちましたけど、僕にとって本当に大きい出来事だったので。また自分の中でも、これからやっていく音楽とかに影響を及ぼす映画になっているんじゃないかなと思います」と語る。宮藤の脚本を読み「読み物として面白かったです。原作は原作で好きですけど、台本がめちゃくちゃ好きです」と感想を述べた。
峯田自身はカメラマンを演じていたが、共演者たちがバンド演奏に挑む姿と見て「お世辞抜きでかっこいいです。バンドやった方がいいと思います」と太鼓判を押す。

また、『アイデン&ティティ』の大ファンだという若葉は、本作へ出演について「2020年ぐらいにお話をいただいて、その時は『アイデン&ティティ』を撮ったチームの一味に加われると思って、その場でやりますって言ったのを覚えています」と並々ならぬ思いだったことを語る。バンドシーンで意識していたことを「当時の資料や映像を見させていた大手、それをインプットした上で、田口監督が『若葉くんならどう思う?』と問いかけ続けてくれたので、この人たちがやっていたことを見て、自分がどう感じて、表現するか、ということに徹していました」とコメント。
宮藤の脚本を読んだ感想を「ちょうど色んなことが重なっていた時期で、自分の中のフラストレーションや怒りみたいなものが蓄積されていた時にこの台本をもらって、登場人物のモモが全て言語化してくれていて」と話し、「映画に入る前1冊丸々セリフを覚えてから現場に入るんですけど、大体1週間か5日ぐらいかかるところを、2時間で覚えたんですよ。それぐらい、自分の中で消化しきれない部分はあまりなくて、興奮しました」と当時を振り返る。

撮影で印象に残っているエピソードを聞かれた峯田より「休憩時間があって、吉岡さんと若葉くんと僕がいて、ご飯食べた後に散歩していたんですけど、野良猫が来て。可愛いなと思ったら、俺のところはひゅーと行って、若葉くんにずっと懐いて。他の人にも全然行かなくて、若葉くんだけ。本当に妖精みたいな人だなと。あれなんで?」と、疑問があがった若葉は「わからないです。昔から歩いてたら鳩とかも着いてくる時があって。気持ち悪いぐらい野良のものが着いてくるっていう」と意外なエピソードが披露された。

そして、映画に込めた思いについて、若葉は「この映画はただ懐かしいね、こういう時代もあったよね、という映画じゃなく、今生きる人たちが見ても、あの時代もこの時代も一緒だなと思えると思います」と語り、「そして、20数年前に『アイデン&ティティ』という映画に出会って、ただの映画小僧が、今20年経って、このチームで立てるという、夢が叶った瞬間で」と感極まる場面もあり、「トモロヲ監督、映画を作り続けてくれてありがとうございます。そして、この映画を見届けに来てくれてありがとうございます」と、感謝を伝えた。

続く峯田も「22年前、僕を誘ってくれてトモロヲさんありがとうございます。宮藤さんありがとうございます。まさかこんな感じになるとは…」と感慨深げで、「僕も楽しい時はいいんですけど、外に遊びに行ったりとか。でもそれが毎日続くかと言ったらそうでもなく、なんとかなんねえかなって時に救いを求めるのが、僕にとって音楽でした。そして、映画でした。すごい人たちと一緒に仕事ができて、あの時に助けてくれた映画や音楽が、胸を張って好きっているのが、自分で今嬉しいです」と熱く語った。