本作は、劇作家・演出家の蓬莱竜太と、蓬莱とのタッグ復活を待望した井上芳雄が、2015年の主演舞台『正しい教室』以来、6年ぶりに再び手を組んで取り組む。
魑魅魍魎が渦巻く王室を舞台に、大人たちの欲望が先走る様子をシニカルな笑いをまぶしながら描き出す、ブラックで、しかし人間の真実に迫 る“現代の寓話”。

癇癪持ちで自分勝手、傍若無人の“首切り王子”役を井上が、その王子に慕われ、世話係にまで上りつめた貧しい村の“愚かな女”役を井上と初共演の伊藤沙莉が演じる。
井上、伊藤に加え、高橋努、入山法子、太田緑ロランス、石田佳央、和田琢磨、小磯聡一朗、柴田美波、林大貴、BOW、益田恭平、吉田萌美、若村麻由美が出演する。
公開されたチラシビジュアルにはイラスト化されたキャストが描かれた。

公演は6月15日から7月4日まで東京・PARCO劇場で上演され、その後は大阪・サンケイホールブリーゼ、広島・JMSアステールプラザ 大ホール、福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールでも上演される。

東京公演のチケットは2021年5月8日(土)より一般発売開始。

<あらすじ>
王子の宿命 死が怖くない女 消せない野心 正義と忠誠と反乱
未来が無い国 愛か使命か 呪いの秘密
・・・誰も知らない王子の歌
雪深い暗い王国ルーブ。
英雄であり人格者であった先王バルが早くに没して20年。女王デン(若村麻由美)は「永久女王」としてルーブを統治していたが、溺愛していた第一王子ナルが病に倒れてからは国のことを見なくなり、魔法使いを城に招き入れ、閉じこもるようになった。ルーブ国は統治者を失った国になっていた。国は呪われ、民は貧しさに疲弊し、反乱の気運が高まっていく。
そこで城に呼ばれたのが第二王子トル(井上芳雄)であった。トルは幼い頃から「呪われた子」とされ城から遠ざけられていたが、反乱分子を鎮圧するために再び城に戻される。使命に燃えたトルは、反乱分子の首を次々に落とし「首切り王子」として恐れられるようになる。
リンデンの谷に住む娘、ヴィリ(伊藤沙莉)は死ぬことにした。これ以上、生きる理由が見当たらなかったからだ。最果ての崖にたどり着いたヴィリが目にしたものは白い空と黒い海と首切りの処刑であった。
首切り王子トルは死を恐れないヴィリに興味を持ち、召使いとして自分に仕えるように命令する。
城に連れられていくヴィリが耳にしたのは王子の歌であった。美しくも悲しい歌。ヴィリはトルに深く暗い孤独を見る。
こうしてヴィリは召使いとして首切り王子に仕える日々を送り始める。
そこに見たのは野心や愛憎、陰謀が渦巻く人間たちの姿であった。