
本アワードは、日本経済新聞社のメディアビジネスライフスタイルサイト「THE NIKKEI MAGAZINE」が主催するもので、今年で8回目を迎える。ビジネス、イノベーション、スポーツ、芸術・文化、エンターテインメントなど、それぞれの分野で輝かしい功績をあげられた話題の4名を選出、表彰した。
2025 年のテーマは「サステナブル」。経営の革新や社会に新風をもたらす商品・サービスの開発などを対象とする【ビジネス部門】からは、東宝株式会社 代表取締役社長 社長執行役員の松岡宏泰。
新しい技術やアイデアで産業の進歩に寄与した【イノベーション部門】からは株式会社獺祭 代表取締役社長/4代目蔵元の桜井一宏。
競技の普及と発展に貢献した【スポーツ部門】からは、競泳選手の池江璃花子が登場。さらに芸術やエンターテインメントで世の中に感動を与えた方にフォーカスした【アート&カルチャー部門】からは、歌舞伎俳優の尾上松也が選出。合わせて4名の受賞者が登壇し、今年を象徴する受賞者の喜びの声とともに、それぞれのキャラクターを投影したスーツ姿で煌びやかにアワードを彩った。

【イベントレポート】
2025年11月12日、渋谷のTRUNK(HOTEL)CAT STREETで行なわれた「SUITS OF THE YEAR 2025(スーツ・オブ・ザ・イヤー 2025)」授賞式。まず、オープニングアクトとして、MCの呼び込みで登場したのは、一昨年・昨年に引き続き、「おじフェス」の久保田裕之、直樹、加藤章太郎、TAROの4名。おじフェスとは、インスタグラムやTikTokでのコミカルなダンス動画が⼈気のメンズモデルユニット。フォーマルなスーツに⾝を包んで、コミカルでかっこいいライブパフォーマンスで会場を魅了した。パフォーマンス後は、直樹が「まさかの3回連続出演です。緊張しました! このあとの授賞式も楽しんでいってください」とコメント。式典本編への期待感を高めた。

また、アワードの主催者で審査委員の「THE NIKKEI MAGAZINE」松本和佳編集長は、「世界、そして日本の政治経済が目まぐるしく変化するなかで、平和で豊かな社会の持続可能性という大きな課題に直面しています。普遍的な価値をコツコツと磨く時代なのです」と今回のテーマ「サステナブル」に言及し、開会の挨拶を述べた。
授賞式の冒頭を飾ったのは、「ビジネス部門」での受賞となった、東宝株式会社 代表取締役社長 社長執行役員の松岡宏泰。2025年は配給する「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」「国宝」が記録的ヒット。コンテンツ業界を刺激する、ユニークな先進性が讃えられた。「非常に認知度高い賞のようで、様々な方から『おめでとう』と声をかけてもらいました。嬉しいとともにこれからスーツを着るたびに『大丈夫だろうか?』とプレッシャーを感じます」と微笑んだ松岡。この一年については「コーポレートスローガンを刷新した年。多くの社員に手伝ってもらい、東宝グループの思いをどう伝えたらいいかとみんなで議論しながら辿り着いた言葉なので、我々にとっても、私にとっても将来に向けての大きな出来事になったと思います」と振り返った。

続いては「イノベーション部門」の、株式会社獺祭 代表取締役社長/4代目蔵元・桜井一宏。2023年にはニューヨークに酒蔵を開き、25年は宇宙での醸造に挑戦。日本酒の歴史に新しい地平を拓いた桜井さんも、スタイリッシュなスーツで登壇。「受賞したと聞いたとき、信じられない気持ちでした。獺祭を飲んでくださった皆様が私を連れてきてくれたのだと、本当に感謝しています」と受賞の喜びを語った。

「スポーツ部門」の受賞は、競泳選手の池江璃花子。2016年のリオ五輪で100mバタフライ5位入賞。19年に急性リンパ性白血病が判明し、闘病しながら第2の水泳⼈生をスタートし、困難に立ち向かう不屈のアスリート魂をたたえての受賞となった。今年、オーストラリアから日本に拠点を移したという池江。「これまでもこれからももちろん競泳が本業ですが、社会⼈として、ひとりの⼈間として、さらに様々な仕事にチャレンジしていきたい」と、クリスタルのトロフィーを手に意気込みを語った。

「アート&カルチャー部門」の受賞は、歌舞伎俳優の尾上松也。舞台、映画、ミュージカルなどにも挑戦し、自ら演出する歌舞伎「刀剣乱舞」がヒット。伝統芸能を未来につなぐ飽くなき探究心で精力的に活動している松也は、「大変栄誉ある賞いただいて嬉しく思っております。僕自⾝もだいぶ年を重ねてきたので、より一層スーツが似合う男になっていかなければいけない。さらに⾝が引き締まる思いです」と喜びを明かした。また、MCより「今年印象的だったお仕事は?」と問われると、「23年から演出させていただくようになり、『刀剣乱舞』を手掛けました。今夏に上演した第二弾も、準備期間も含めてかなりの時間を費やしましたので、今年の中でやはり印象に残っていますね。いろんなチャンスを頂けて大光栄です」と語った。

後半は、受賞者4名が「サステナブル」について伺うトークショーへ。脱炭素を目指し水素発電や太陽光発電を採用しているという東宝の撮影所について、松岡は「映画を事業の中心にしている我々にとって、撮影所が一番象徴的な存在でしたので、脱炭素の取り組みを撮影所で行いました。すでに脱炭素ですべて回っています」と紹介。さらに、「このスタジオが目指すゴールは?」と問われると、「以前お酒飲みながら話したことではありますが、いつか『ゴジラ』を脱炭素で撮影したいですね」と、近々叶うかもしれない夢を明かした。
一方、桜井は、酒の持続可能性について問われ「無駄を出さないことが大事。米を磨く際に出る米粉は、すでにいろんな食品に使われていますし、酒粕なんかも然りです」と、酒造業界のサステナブルを紹介。さらに「生産者の皆さんや職⼈さんの継承も一つのサステナブルだと思うので、取り組んでいきたい」と力強く伝えた。
そんな継承を重んじる桜井に、松也も共感。「歌舞伎には400年以上の歴史がありますが、今こうして歌舞伎ができているのは、先輩たちが繋いでくれたから。この伝統を守るだけではなく、まだ見たことのない方に魅力を伝えるため、今後もいろんなチャレンジをしていきたい」と語りつつ、「最近は、東宝さんが『国宝』という(歌舞伎をテーマにした)素晴らしい映画を作ってくださったので、歌舞伎座もたいへん盛り上がっております!」と、松岡に感謝を伝える一幕もあった。

その後は、「様々なプレッシャーや病気を乗り越えて競泳を続けるモチベーションは?」と問われた池江が、「ずっと頑張ることは正直不可能。ただ、たくさんの方に自分のレースを見ていただき応援していただけることで自分の存在意義を感じられますし、頑張れます」と言及。「あとは、純粋に泳ぎが好きだから頑張れているところもありますね」と、競泳愛もモチベーションにつながっていることを明かした。
最後は、松本編集長が「トークショーを聞いていて、やはり日本⼈はコツコツと丁寧に物事を決めていくのだなと感じました。今後も大事にしなければならない、日本の強さですね」と総括。「たゆまぬの努力を続けられている4⼈のみなさんの成功を祈っています」と、激励を送り、授賞式を締めくくった。それぞれのスーツのエレガントな装いで、「2025年の顔」が勢揃いした「SUITS OF THE YEAR 2025」。8回目を迎える今年も、一層の発展に期待が募る日となった。















