
20年間、ずっと片隅で“脇役”として生きてきた大学生・田中信子。そんな彼女が初めて恋心を寄せるのが、同じスーパーでアルバイトをしている大学生・入江博基。穏やかで控えめながら、周囲の小さな変化にも気づくやさしい性格の入江は、信子の日常にこれまでなかった温もりをもたらす存在だ。何気ない会話やさりげない気遣いの積み重ねが、信子の心を少しずつ動かしていく。静かに相手と向き合う入江の姿は、観る者にやわらかな余韻を残す。
そんな入江を演じるのは、木戸大聖。「First Love 初恋」(22)で注目を集め、爽やかなルックスと人懐っこいキャラクター、そして繊細な感情表現を駆使した高い演技力で多くの人を魅了してきた。以降もドラマや映画への出演が続き、等身大の人物像を自然体で演じる俳優として唯一無二の存在感を高めている。本作では、派手なアプローチではなく、相手を思いやる静かなやさしさを持つ入江という役柄を、細やかな表情や佇まいで丁寧に体現。信子の変化に寄り添いながら、そっと背中を押す存在として、物語に温かな空気をもたらしている。

本作への出演について木戸は、「原作を読ませていただいて、このやさしさと温かさに包まれたラブストーリーは、他にはない『モブ子の恋』だけの世界観だと感じました」と語り、「入江という役は、これまであまり演じてこなかったキャラクターだったので、自分にとって良いトライができる作品だと思い、オファーをお受けしました」と明かした。また、入江のキャラクターについて、「他人に対して『こう言ったらどう思うかな?』と、いろんな想定しながら言葉を選ぶところは、似ているなと思います」と述べ、相手を思いやるがゆえに慎重になるところに共感したという。静かで控えめながらも、確かなやさしさを持つ入江という人物像を、木戸は表情と佇まいを巧みに使い分けて見事に表現。信子の小さな変化に気づき、そっと寄り添う入江の存在が、物語に心地よい温度を加える。

今回解禁された3点の場面写真では、入江のさりげないやさしさがにじむ瞬間が切り取られている。バイト先のスーパーで、揃いの青いジャケットを羽織り、やさしい眼差しで信子を見守る入江。夜のファミレスでは、信子の言葉に静かに耳を傾けながら、やわらかく微笑む。そして、夕暮れの淡い光が差し込む公園で、信子にそっと飲み物を手渡すひとコマなど、二人の距離が少しずつ近づいていく様子が映し出されている。
「silent」「海のはじまり」『バジーノイズ』といった作品で、言葉にならない想いの重なりを描いてきた風間監督。本作でも、何気ない沈黙や視線の交差、ささやかな気遣いといった、日常の中にある小さな変化をすくい上げていく。入江のやさしさは、“脇役”として生きてきた信子にとって、静かに心をほどいて、少しずつ光が差し込むような変化をもたらしていく。






