
映画祭特集プログラム「カリナリープログラム:食の記憶」にて上映される、実在するラーメン店をモチーフにした作品『私たちが麺処まろに通うまでに至った件』のプロデュースを手掛けた齊藤工が、出演者の朝日奈寛、梨里花、大野嘉悦、一萬田心都、監督の小山巧が登壇。
レッドカーペットセレモニーで齊藤は、「朝日奈寛がコロナ禍にラーメンと向き合って、その一杯をいただいたことによってこれは映画にすべきだと思いました。同時に、カリナリー部門というラーメンの映画を見た後にラーメンを食べていただく、舌と目と心で味わっていただく上映に、映画の未来、短編映画の未来を感じております。素晴らしいキャストの皆様が青春群像を心から演じてくださっているので、皆さんぜひ心と舌でこの作品を味わっていただきたいなと思います」とコメント。

その後のオープニングセレモニーでは、より詳しく企画を立ち上げた経緯について「冷やかし半分で彼のラーメンをいただいた一口目で、彼が今まで今までしてきたどんな表現よりも、彼の人間性とか誠実さ、向き合い方みたいなものが一口で全部伝わってきた気がして。彼の表現として、俳優業と乖離するべきじゃないと、何か一つの形になるべきだと、10年来の仲間としても思いました」と、本作にかけた想いを語り、過去に出演した映画『家族のレシピ』が2018年の第68回ベルリン国際映画祭の「キュリナリー・シネマ」部門に正式出品された際の経験から「まさにカリナリーという部門での上映があり、その点と点が繋がって、今回の企画に形として向かっていきました」と明かした。

俳優として活動しながら、ラーメン屋の店主として実際に厨房に立つ朝日奈は、俳優とラーメンで表現に共通している部分を聞かれると「いかに人の見えないところで準備ができるか」と話し、「陰ながら努力と言うとちょっとおこがましいですが、そういったことをどれだけ積み重ねられるか、ラーメンもスープに味が出たり、俳優業は現場に出て最高のパフォーマンスが出たり、そこの地味な作業の部分が一番肝になっているなと思っています」と実感。さらに「週に200名ぐらいの方に来ていただいているんですけど、皆さんバラバラの個性を持っているので、演じる上で人間観察というか、引き出しの部分を常日頃蓄えられるように意識しています」と、俳優業にも良い作用が働いているようだった。

本作の長編化への構想を聞かれた齊藤は、「脚本自体は出来上がっている部分もあります」と期待ができる回答から「同時に、見た後に舌の後味と作品の後味が重なるこの部門にとても未来を感じております。今、短編映画とSNSのショート動画の棲み分けはあるんじゃないかなと思います」と課題を定義しながら「短編映画ってなんなのかということを肝に銘じて、その軸となるのがこの作品では朝日奈寛がラーメンと向き合った日々であり、その蓄積が画面に、演じるを超えた存在として映っています。その軸をもとに物語を広げていって長編映画、そしてラーメンというIPの強さも、海外に向けて上映をできたら、彼がラーメンを振る舞う形で、長く世界に届けていきたいという構想はあります」と、可能性を感じているようだった。
28回目を迎えた映画祭の今年のテーマは、「シネマエンジニアリング」。”カメラ、照明、音響、そしてAI。それらを緻密に組み合わせ、観客の心に届く体験を組み立てる。”今年の映画祭はそんな「設計学」としての映画に光を当て、映画体験の真の価値をテーマに映画祭を展開。
今年は、世界100以上の国と地域から約5,000点の応募があり、AIを活用した作品は368点と史上最多の応募数となった。その中から選りすぐりの約250作品をリアル会場&オンライングランドシアターで上映する。








